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2章 迷猫編
第18話 錯誤する戦闘
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この戦闘はバンファイTVとして公開できない。でも、映像撮ってたほうが気分は盛り上がる! ドローンカメラを実現化させて、戦闘開始っ!
「始めるよっ!」
「待て待て! 武器なしでやる気か⁈」
「あ、そうか。じゃあ……これで良い⁈」
僕はそれぞれの個性に合った武器を思い描いて実現化させた。
「ん、俺のは槍か⁉︎」
「で、俺は斧と……。偶然にも、桜の武器と同じか」
「まあ僕はまだ何を使えるか分からないから状況判断してみるよ」
「そっちのほうが危ねぇぜ。お前は武器を使わず、その能力で戦っとけ」
テイラのまっすぐな指示に、僕は嬉しくて大きく笑って頷いた。
「よしっ! やるぞ!」
「うん。思いっきり!」
「全力でやったるぜ!」
やる気をみなぎらせて、僕達は一気に散開した。背中を決して離すことなく。
「キィーーッ!」
「へっ、隙だらけだぜぃ!」
「っ! テイラ、後ろ!」
隙だらけの上段構えをしている機兵に目を奪わせて背後から奇襲をかける。良い作戦だけど、テイラを守るのは僕の役目だよ。
にしても、本能のまま生きるバケモノだけど、この機兵にはバケモノに考える能力でも与えているのかな。
「まったく、前しか見てないんだからさ!」
「へへっ、でも後ろにはお前がいてくれるだろ!」
「……ま、そうだね!」
振り下ろされた機兵の日本刀を、僕が思い描いた太刀で払いのける。戦うのはまだ怖いけど、テイラとなら恐怖心が全部消え失せる。ううん、それだけじゃない。楽しいって気持ちに変換されるんだ。
「サンキュ!」
「こっちこそ」
僕達は、笑顔で、グータッチで気持ちを交わした。
「お前ら、仲良しなのは良いことだが早くしろ!」
「あ、ごめんなさい!」
「まあ良いじゃねぇの。それより、コイツら俺たちに夢中だぜ!」
作戦通り、街の破壊から僕達に標的を変えてきた。そのおかげで、戦闘はやりやすくなった。
『ウィーアーレディ?』
『ゴーッ!』
「なになに⁉︎」
突然、空から大音量で響く声がした。見上げれば、空一面を覆い隠すほどの飛行船が停まっている。
「来たぜ。帝防スカイライン!」
「その名も、大鷲船!」
大鷲船が砲撃を放った。と、思ったらその砲丸は桜だった。しかも、僕達の分もある。
「さっ、早く搭乗して!」
「おまたせ! エリス、張り切っちゃうよ!」
「戦闘準備、完了している」
みんなが待っている。僕達も行かなきゃ。より一層激しい、楽しいを、経験しに。
「よっと! 桜、機動!」
「よっしゃ! 気張ってこうぜ!」
「……あとは頼んだ」
桜に搭乗し終えた僕達を眺めて、ドラバースは悔しさを歯に噛みながらそう言った。
「……あのっ!」
「? 早く行けよな」
「……ずっと、そばにいてください。僕からの約束です」
「あぁ、もう離れたりしねぇよ」
『オッホホホホ! 愉快愉快、実に不愉快なほどに愉快だぞえ!』
約束を交わし合えたと思ったのに、あの高飛車な笑い声が突如響き渡る。
「奈落!」
「人間とは実に浅ましき愚物よ。妾が相手にせずとも事足りるわ。行け、ヤジロベエ!」
奈良がかんざしを突き刺す。だが、それで気がついた。奈良のかんざしが、鍵であることに。
その鍵が突き刺さった場所から、新たな騎兵が出現する。それはオモチャのやじろべえのように腕が長く、一本足の形をしており、両手には扇が握られている。
「俺様が相手になるぜ。奈落殿は準備を」
「任せたぞよ。帝防、せいぜい足掻いてみるが良いさ、オーッホッホッホッホ!」
余裕綽々といった高笑いをし、奈落は地中へと溶け込んでいった。
「目標、ヤジロベエと他の機兵の撃退!」
「……決め台詞、忘れてんぜ」
「へ?」
「あっ、まだ教えてなかった!」
「ったく。じゃあ、俺が言っとく。帝都防衛華荘団、出陣!」
「『イエッサー!』」
僕が知らないせいで、ドラバースに決め台詞言わせちゃったな。指揮権は僕にあるんだ、次からは気をつけないと。
「エリスは敵機の動きを教えて! テイラと僕で協力して、敵機兵を撃破する! プレイアさんは光を集めてください!」
「分かった!」 「お前とならやれるぜ!」 任せて!」
今の僕には、やれることは限られているかもしれない。でも、そんな僕にやれる精一杯はやる。その覚悟はある。
「おじちゃん、来るよ!」
「テイラ、背中は任せたよ!」
「へっ、お安い御用だぜ!」
僕の太刀と、テイラの槍。実力はテイラのほうがずっと上だろう。でも、さばきは僕のほうが上だ。実力と技術でフォローし合えば、きっと勝てる。
そう、思っていた――
「なっ⁉︎」
飛び出す僕についてこようとしたテイラの桜が、ピクリとも動かない。搭乗して、ケーブルを繋げられてもだ。指一つ動かない。
「テイラ、どうしたの⁉︎」
「ど、どうなっちまったんだ?」
「もうアンタに用はねぇ。消えなぁ!」
ヤジロベエが飛び跳ねて、テイラを桜ごと踏み潰そうという大胆な動きを見せた。
「なっ――」
「あぶなぁい!」
「くっ⁉︎ どうなってやがる⁉︎」
エリスが間一髪のところで、超能力で動きを止め、ヤジロベエの攻撃を食い止めた。
「エリス、戦いは嫌い。でも、誰かがいなくなるのはもっと嫌い! アンタなんか、どっか飛んでっちゃえぇぇぇぇ!」
暴走するエリスの異能力。桜がまたボンボンと音を立てて煙を上げる。それでも止まらない暴走。彼女の桜がショートする。それと同時に、ヤジロベエの機体もまた、彼女の異能力でフッと消えてしまった。
「と、とりあえず……敵機兵を撃破のみに目標変更」
「あ、あのさ。機兵の動き停止しちゃってるよ?」
プレイアさんの言う通り、敵機兵は面の光を消し、動く気配を見せない。
「えっと……じゃあ、帰投で」
何が起こっているのか分からず混乱したまま、僕達は大鷲船に回収され、モール地下へと帰投した。胸の奥で、不安と得体の知れない恐怖心に煽られながら。
「始めるよっ!」
「待て待て! 武器なしでやる気か⁈」
「あ、そうか。じゃあ……これで良い⁈」
僕はそれぞれの個性に合った武器を思い描いて実現化させた。
「ん、俺のは槍か⁉︎」
「で、俺は斧と……。偶然にも、桜の武器と同じか」
「まあ僕はまだ何を使えるか分からないから状況判断してみるよ」
「そっちのほうが危ねぇぜ。お前は武器を使わず、その能力で戦っとけ」
テイラのまっすぐな指示に、僕は嬉しくて大きく笑って頷いた。
「よしっ! やるぞ!」
「うん。思いっきり!」
「全力でやったるぜ!」
やる気をみなぎらせて、僕達は一気に散開した。背中を決して離すことなく。
「キィーーッ!」
「へっ、隙だらけだぜぃ!」
「っ! テイラ、後ろ!」
隙だらけの上段構えをしている機兵に目を奪わせて背後から奇襲をかける。良い作戦だけど、テイラを守るのは僕の役目だよ。
にしても、本能のまま生きるバケモノだけど、この機兵にはバケモノに考える能力でも与えているのかな。
「まったく、前しか見てないんだからさ!」
「へへっ、でも後ろにはお前がいてくれるだろ!」
「……ま、そうだね!」
振り下ろされた機兵の日本刀を、僕が思い描いた太刀で払いのける。戦うのはまだ怖いけど、テイラとなら恐怖心が全部消え失せる。ううん、それだけじゃない。楽しいって気持ちに変換されるんだ。
「サンキュ!」
「こっちこそ」
僕達は、笑顔で、グータッチで気持ちを交わした。
「お前ら、仲良しなのは良いことだが早くしろ!」
「あ、ごめんなさい!」
「まあ良いじゃねぇの。それより、コイツら俺たちに夢中だぜ!」
作戦通り、街の破壊から僕達に標的を変えてきた。そのおかげで、戦闘はやりやすくなった。
『ウィーアーレディ?』
『ゴーッ!』
「なになに⁉︎」
突然、空から大音量で響く声がした。見上げれば、空一面を覆い隠すほどの飛行船が停まっている。
「来たぜ。帝防スカイライン!」
「その名も、大鷲船!」
大鷲船が砲撃を放った。と、思ったらその砲丸は桜だった。しかも、僕達の分もある。
「さっ、早く搭乗して!」
「おまたせ! エリス、張り切っちゃうよ!」
「戦闘準備、完了している」
みんなが待っている。僕達も行かなきゃ。より一層激しい、楽しいを、経験しに。
「よっと! 桜、機動!」
「よっしゃ! 気張ってこうぜ!」
「……あとは頼んだ」
桜に搭乗し終えた僕達を眺めて、ドラバースは悔しさを歯に噛みながらそう言った。
「……あのっ!」
「? 早く行けよな」
「……ずっと、そばにいてください。僕からの約束です」
「あぁ、もう離れたりしねぇよ」
『オッホホホホ! 愉快愉快、実に不愉快なほどに愉快だぞえ!』
約束を交わし合えたと思ったのに、あの高飛車な笑い声が突如響き渡る。
「奈落!」
「人間とは実に浅ましき愚物よ。妾が相手にせずとも事足りるわ。行け、ヤジロベエ!」
奈良がかんざしを突き刺す。だが、それで気がついた。奈良のかんざしが、鍵であることに。
その鍵が突き刺さった場所から、新たな騎兵が出現する。それはオモチャのやじろべえのように腕が長く、一本足の形をしており、両手には扇が握られている。
「俺様が相手になるぜ。奈落殿は準備を」
「任せたぞよ。帝防、せいぜい足掻いてみるが良いさ、オーッホッホッホッホ!」
余裕綽々といった高笑いをし、奈落は地中へと溶け込んでいった。
「目標、ヤジロベエと他の機兵の撃退!」
「……決め台詞、忘れてんぜ」
「へ?」
「あっ、まだ教えてなかった!」
「ったく。じゃあ、俺が言っとく。帝都防衛華荘団、出陣!」
「『イエッサー!』」
僕が知らないせいで、ドラバースに決め台詞言わせちゃったな。指揮権は僕にあるんだ、次からは気をつけないと。
「エリスは敵機の動きを教えて! テイラと僕で協力して、敵機兵を撃破する! プレイアさんは光を集めてください!」
「分かった!」 「お前とならやれるぜ!」 任せて!」
今の僕には、やれることは限られているかもしれない。でも、そんな僕にやれる精一杯はやる。その覚悟はある。
「おじちゃん、来るよ!」
「テイラ、背中は任せたよ!」
「へっ、お安い御用だぜ!」
僕の太刀と、テイラの槍。実力はテイラのほうがずっと上だろう。でも、さばきは僕のほうが上だ。実力と技術でフォローし合えば、きっと勝てる。
そう、思っていた――
「なっ⁉︎」
飛び出す僕についてこようとしたテイラの桜が、ピクリとも動かない。搭乗して、ケーブルを繋げられてもだ。指一つ動かない。
「テイラ、どうしたの⁉︎」
「ど、どうなっちまったんだ?」
「もうアンタに用はねぇ。消えなぁ!」
ヤジロベエが飛び跳ねて、テイラを桜ごと踏み潰そうという大胆な動きを見せた。
「なっ――」
「あぶなぁい!」
「くっ⁉︎ どうなってやがる⁉︎」
エリスが間一髪のところで、超能力で動きを止め、ヤジロベエの攻撃を食い止めた。
「エリス、戦いは嫌い。でも、誰かがいなくなるのはもっと嫌い! アンタなんか、どっか飛んでっちゃえぇぇぇぇ!」
暴走するエリスの異能力。桜がまたボンボンと音を立てて煙を上げる。それでも止まらない暴走。彼女の桜がショートする。それと同時に、ヤジロベエの機体もまた、彼女の異能力でフッと消えてしまった。
「と、とりあえず……敵機兵を撃破のみに目標変更」
「あ、あのさ。機兵の動き停止しちゃってるよ?」
プレイアさんの言う通り、敵機兵は面の光を消し、動く気配を見せない。
「えっと……じゃあ、帰投で」
何が起こっているのか分からず混乱したまま、僕達は大鷲船に回収され、モール地下へと帰投した。胸の奥で、不安と得体の知れない恐怖心に煽られながら。
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