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第十二章 異世界探訪
12ー2 フロバリオンにて その一
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「トロイジェム」は、新たに見つけたこの世界に俺がそう名付けたのだが、現地の人々は単に「世界」と言っている。
未だ自分たちが住んでいる世界が球体の惑星であることを知らないのだから、仕方のない話ではあるのだが、宗教的な観念から来る天動説が蔓延っているからだ。
こっちではコペルニクスもガリレオもまだ生まれていないようだな。
ところでこのトロイジェムに魔物は棲んでいないんだが、魔法はあるんだぜ。
どうも魔法族と呼ばれる亜人が魔法に長けているらしい。
魔法族と称される亜人の中には、ドワーフもエルフも含まれているし、妖精族と呼ばれる種族も居るらしい。
しかしながらラノベに出て来る角の生えた魔族やヴァンパイアは居ないようだ。
中でも一番魔法に長けた種族は妖精族のようだ。
彼ら妖精族は相応の魔力と力量を有する者でなければ姿を見ることもできない存在だ。
ヒト族は1割程度の確率で魔力を保有し、魔法を扱える者が存在するが、魔法の実力では魔法族にかなり劣る。
獣人族は魔力を持っているが、魔法を具現化できず、もっぱら身体強化に使えるだけだが、対人戦においてはその秀逸な身体能力でヒト族を圧倒する。
ドワーフは同じく身体能力を魔法によって上昇させ、なおかつ金属の錬金ができるので鍛冶師として活躍している。
また、武器に付与魔法をかけることのできるドワーフも存在する。
エルフは風魔法と樹木魔法に長けている。
妖精族は、風、火、水、地、雷、氷、闇、光の七属性の種族に別れ、それぞれが得意な魔法が決まっているようだ。
妖精族で二つの属性魔法を使える者は居ないようだが、時に彼らは協調・連合するために、複数の魔法が複数の妖精によって同時発動されることもままあるようだ。
魔法族は概ね温厚な性格であり、戦いに自ら赴くことは滅多にしないが、自衛のため若しくは報復のために動くときには苛烈であり、敵対したものには容赦がないことで知られている。
但し、どこにでも例外は有り、はぐれと呼ばれる個体が世界を放浪し、時に悪さを働くようだ。
そんなトロイジェム世界に俺は一歩を踏み出すことにした。
当然それまでに22世紀の地球の技術であらゆる危険因子をチェックしたぜ。
正直なところ、ホブランドに降り立った時には気にもしなかったんだが、異世界というのは俺と似た様な姿形をした者が何気なく住んでいても、メンタリティは違うし 危険なウィルスや病気も存在するようだ。
色々調べた結果ではあるんだが、セカンダリオ世界の空気中にはどうも精神疾患を惹起させやすい希少ガスが含まれているらしい。
それも、セカンダリオ世界を見限った大きな理由の一つだ。
トロイジェム世界の足掛かりとして、俺はフロバリオン郊外の小高い丘の地下に根拠地を作った。
フロバリオン城塞からは100キロ近く離れた場所だし、瀝青岩が主体の瓦礫の丘なので地元住民は見向きもしない場所だ。
植生もほとんどない黒っぽい丘なので、フロバリオンの住民からは「死」を象徴する黒い丘と呼ばれている。
余り現地人は近づかない場所ということだな。
地下100mに延べ床面積で二千平米程度の二階建て建造物を造り、512か所に分岐させた吸気孔と、同じく512か所の排気口で強制換気をさせている。
常温核融合発電装置で電力を得ており、動力源に支障はない。
妖精族が異常なエネルギー源を察知すると困るので、最初に地下施設の建造空間にバリアを張って周囲から隔絶した。
一応外部からの侵入は阻止できるはずなんだが、俺の出入り口は確保しなければならないんで、出入りする時だけ当該玄関口のバリアだけは解除せざるを得ない。
そんなバリアの中で造り上げた秘密基地なんだが、素材を含めて用意周到に準備していたから実質三日ほどで出来上がったよ。
ちょっと豪華なオクションぐらいの感じかな。
少なくともここは俺のセーフティエリアだ。
Üβバリアは22世紀のドイツで開発された航宙船用のバリアで、対隕石、対放射線等の物理シェルター機能を有している。
俺がついでに魔法陣を追加して、魔法攻撃も防御できるようにしているし、転移魔法で内部に侵入することも防げるようになっている。
尤も、吸気口と排気口だけは、塞ぐと酸欠になりかねないから、ここだけはセンサーを置いておかしなものが侵入しないようにはしている。
その吸気口と排気口を極力小さくするために512か所に分散しているわけだ。
吸気口も排気口も直径1センチ程度の代物であり、メッシュの細かい何層ものフィルターを設置してあるから、ウィルス等の微小生物以外では内部への侵入は難しいはずだ。
但し、仮に空間転移で外部から侵入しようとすれば、ここがウィークポイントになるから、一応空間転移魔法の罠も仕掛けてある。
無理矢理侵入しようとしても反対方位の吸気口又は排気口に抜けてしまう仕組みになっており、その意味ではこの秘密基地のバイパス路だな。
秘密基地以外については、周辺情勢を探るために全部で32体のδ型ゴーレムを各地に配置した。
フロバリオンがさほど大きな島ではないのに何故城塞都市にしているのかその理由が判明した。
過去に大陸からの侵略が少なからずあったことが理由の一つだが、それにも増して海賊が周辺に出没するらしい。
海賊というのは、通常海上で船を襲うと思われているが必ずしもそうではない。
昔中国や朝鮮半島の沿岸を荒らした倭寇(必ずしも日本人ではないらしい)は、沿岸部の村々を襲撃していたらしい。
このトロイジェムでも海賊は商船も襲うけれど、沿岸の防備の手薄な集落を襲うこともあるならず者の集団らしい。
このためフロバリオンでは要所、要所に、砦を築いて警備の者を配置している様だ。
島の中央部に元火山であった山地があり、なだらかな傾斜の麓には畑や牧畜が盛んであるほか林業も盛んなようだ。
このフロバリオンの主たる産業は農業と水産業なのである。
此処の生産物を大陸や大陸沿岸部の島嶼に持ち込んで交易をしているらしい。
その意味では平和で豊かな生活圏のようだが、戦争が起きると一変する。
元々人口の少ない島であるから、大国が押し寄せてくると籠城しか手が無くなる。
生憎と都市国家同士の同盟からも外れている辺境なのである。
三十年も昔に、3万もの大軍で攻め寄せられた事例があったようだが、籠城中に敵の軍船多数が嵐で沈没、敵軍は這這の体で本国に逃げ帰ったようだ。
なんだか元寇の役みたいだよね。
それ以降は国家規模の侵略は無いのだが、海賊行為は割合と頻繁にあるようだ。
俺の身分なんだが、ある意味でこの世界の最南端の僻地みたいなところに単なる旅人じゃ説明がつかないから、やっぱり商人を装うことにした。
扱う商品については、ちょっと思案しなければならん。
此処は亜熱帯なんで砂糖はあるし、海辺なんで塩も腐るほどある。
従ってここに無い物で、なおかつ、希少価値の高い物を取り扱うことにした。
幸いにしてここは自由交易を許しているので商船であれば自由に入港して交易が可能なんだ。
早速、二本マストのダウ船紛紛いをつくったよ。
荷物を運べる運搬船だから長さが15mほども有って、ディンギークラスのような一人乗りじゃないからね。
俺の場合、乗組員が居なくても魔法で動かせるんだが、外部から余計な懸念を持たれないようにするためには偽装の乗組員が要るんだ。
それで、ゴーレムというよりもアンドロイドを作ったよ。
このアンドロイド、一見してヒト族以外には見えないはずだ。
内部に小型高出力電池を備えて72時間は連続でフル稼働できる。
動力は魔力じゃないから妖精族にどう見えるかはわからんが、幸いにしてフロバリオンには魔法族は居ない。
フロバリオンに住んでいるのは9割がヒト族で、残り一割が獣人族だ。
ドワーフも居ないんだがドワーフに教えを受けたヒト族の鍛冶師が居て鍛冶全般を請け負っている様だ。
だからアンドロイドを使っていても直ぐにはばれないはずだ。
ヒトと同じ動きができるし、場合によってははるかに俊敏な動きと馬鹿力を発揮できる優秀な奴だぜ。
一応人前では1号機をマリオ、2号機をサレマン、3号機をカゼルと呼ぶことにした。
彼らも22世紀半ばのAI搭載なんで会話も一通りこなせるんだぜ。
ぼろが出ないように、原則として俺が対人対応をすることになっているんだが、やむを得ない場合は彼らの判断で対応できるようにしている。
そんなわけで、四人乗りのダウ船紛いの船は、フロバリオンに無事入港した。
入港の際に必要なのは国旗若しくは所属ギルドの紋章旗である。
俺の船は、北方大陸南部に在る都市国家ブレオンに属し、旗はブレオン商業ギルドの紋章である王冠を被り金貨を両脚で掴んでいるドラゴンだ。
ブレオンは都市国家群のアルバラン同盟に入って北方大陸の大国に対抗している。
ブレオンの場合、国旗も有るんだが、それよりも商業ギルドの赤地に白のドラゴンの方が他所に知れ渡っているのである。
突然トロイジェムに出現した俺がブレオンの商業ギルドにに登録しているかって?
当然のことながら、事前工作で商業ギルドには5年前、ブレオンの戸籍簿にも25年前の日付で俺の名が記載されている。
俺が勝手に登録したから担当者は記憶にない筈だが、原簿に記載してあれば誰もその事実は疑わないものだ。
フロバリオンでは入国管理の一環なのか、港では一応官憲がやってきて入港目的や滞在予定などを尋ねられた。
「ブレオンから来た船商人のモルデンと申します。
此処にはブレオンやその他の地の特産品を販売するために来ました。
ブレオンに戻る際には、こちらでの特産品を購入して行こうと思っています。
予定は、今のところ未定ですが、私の持ち込んだ品が売れ、またこちらの特産品が相当量入手できましたらブレオンに戻りたいと考えています。」
「そうか、ここでの商いは自由だが、商業ギルドに届け出をしてからにするようにな。
あと、フロバリオンでは面倒ごとを起こさないようにしてくれよ。」
この辺は既に先行して情報収集をしていたδ型ゴーレムから情報を貰っているので、すんなりと行ったな。
次いで、フロバリオンの港の近くに有る商業ギルドの出張所に出向く。
此処で市場売買の仮登録の届けを受理されて、所定の委託保証金を支払うとフロバリオンの大市場で店を開く権利が得られるのだ。
その際に、与えられるスペースの広さと場所が指定されることになる。
仮登録が遅くなればなるほど市場での場所取りで良い場所が得られなくなることになる。
事前の情報では、幸いにして今のところ空きはあるはずだが、客が多く集まる通りからやや離れたところになるはずだ。
俺の売り物の場合、目に付く、目に付かないの違いで影響を受けることにはならないはずだ。
むしろ人伝の噂がどれほど広まるかで売れ行きが変わることになるだろうと思う。
未だ自分たちが住んでいる世界が球体の惑星であることを知らないのだから、仕方のない話ではあるのだが、宗教的な観念から来る天動説が蔓延っているからだ。
こっちではコペルニクスもガリレオもまだ生まれていないようだな。
ところでこのトロイジェムに魔物は棲んでいないんだが、魔法はあるんだぜ。
どうも魔法族と呼ばれる亜人が魔法に長けているらしい。
魔法族と称される亜人の中には、ドワーフもエルフも含まれているし、妖精族と呼ばれる種族も居るらしい。
しかしながらラノベに出て来る角の生えた魔族やヴァンパイアは居ないようだ。
中でも一番魔法に長けた種族は妖精族のようだ。
彼ら妖精族は相応の魔力と力量を有する者でなければ姿を見ることもできない存在だ。
ヒト族は1割程度の確率で魔力を保有し、魔法を扱える者が存在するが、魔法の実力では魔法族にかなり劣る。
獣人族は魔力を持っているが、魔法を具現化できず、もっぱら身体強化に使えるだけだが、対人戦においてはその秀逸な身体能力でヒト族を圧倒する。
ドワーフは同じく身体能力を魔法によって上昇させ、なおかつ金属の錬金ができるので鍛冶師として活躍している。
また、武器に付与魔法をかけることのできるドワーフも存在する。
エルフは風魔法と樹木魔法に長けている。
妖精族は、風、火、水、地、雷、氷、闇、光の七属性の種族に別れ、それぞれが得意な魔法が決まっているようだ。
妖精族で二つの属性魔法を使える者は居ないようだが、時に彼らは協調・連合するために、複数の魔法が複数の妖精によって同時発動されることもままあるようだ。
魔法族は概ね温厚な性格であり、戦いに自ら赴くことは滅多にしないが、自衛のため若しくは報復のために動くときには苛烈であり、敵対したものには容赦がないことで知られている。
但し、どこにでも例外は有り、はぐれと呼ばれる個体が世界を放浪し、時に悪さを働くようだ。
そんなトロイジェム世界に俺は一歩を踏み出すことにした。
当然それまでに22世紀の地球の技術であらゆる危険因子をチェックしたぜ。
正直なところ、ホブランドに降り立った時には気にもしなかったんだが、異世界というのは俺と似た様な姿形をした者が何気なく住んでいても、メンタリティは違うし 危険なウィルスや病気も存在するようだ。
色々調べた結果ではあるんだが、セカンダリオ世界の空気中にはどうも精神疾患を惹起させやすい希少ガスが含まれているらしい。
それも、セカンダリオ世界を見限った大きな理由の一つだ。
トロイジェム世界の足掛かりとして、俺はフロバリオン郊外の小高い丘の地下に根拠地を作った。
フロバリオン城塞からは100キロ近く離れた場所だし、瀝青岩が主体の瓦礫の丘なので地元住民は見向きもしない場所だ。
植生もほとんどない黒っぽい丘なので、フロバリオンの住民からは「死」を象徴する黒い丘と呼ばれている。
余り現地人は近づかない場所ということだな。
地下100mに延べ床面積で二千平米程度の二階建て建造物を造り、512か所に分岐させた吸気孔と、同じく512か所の排気口で強制換気をさせている。
常温核融合発電装置で電力を得ており、動力源に支障はない。
妖精族が異常なエネルギー源を察知すると困るので、最初に地下施設の建造空間にバリアを張って周囲から隔絶した。
一応外部からの侵入は阻止できるはずなんだが、俺の出入り口は確保しなければならないんで、出入りする時だけ当該玄関口のバリアだけは解除せざるを得ない。
そんなバリアの中で造り上げた秘密基地なんだが、素材を含めて用意周到に準備していたから実質三日ほどで出来上がったよ。
ちょっと豪華なオクションぐらいの感じかな。
少なくともここは俺のセーフティエリアだ。
Üβバリアは22世紀のドイツで開発された航宙船用のバリアで、対隕石、対放射線等の物理シェルター機能を有している。
俺がついでに魔法陣を追加して、魔法攻撃も防御できるようにしているし、転移魔法で内部に侵入することも防げるようになっている。
尤も、吸気口と排気口だけは、塞ぐと酸欠になりかねないから、ここだけはセンサーを置いておかしなものが侵入しないようにはしている。
その吸気口と排気口を極力小さくするために512か所に分散しているわけだ。
吸気口も排気口も直径1センチ程度の代物であり、メッシュの細かい何層ものフィルターを設置してあるから、ウィルス等の微小生物以外では内部への侵入は難しいはずだ。
但し、仮に空間転移で外部から侵入しようとすれば、ここがウィークポイントになるから、一応空間転移魔法の罠も仕掛けてある。
無理矢理侵入しようとしても反対方位の吸気口又は排気口に抜けてしまう仕組みになっており、その意味ではこの秘密基地のバイパス路だな。
秘密基地以外については、周辺情勢を探るために全部で32体のδ型ゴーレムを各地に配置した。
フロバリオンがさほど大きな島ではないのに何故城塞都市にしているのかその理由が判明した。
過去に大陸からの侵略が少なからずあったことが理由の一つだが、それにも増して海賊が周辺に出没するらしい。
海賊というのは、通常海上で船を襲うと思われているが必ずしもそうではない。
昔中国や朝鮮半島の沿岸を荒らした倭寇(必ずしも日本人ではないらしい)は、沿岸部の村々を襲撃していたらしい。
このトロイジェムでも海賊は商船も襲うけれど、沿岸の防備の手薄な集落を襲うこともあるならず者の集団らしい。
このためフロバリオンでは要所、要所に、砦を築いて警備の者を配置している様だ。
島の中央部に元火山であった山地があり、なだらかな傾斜の麓には畑や牧畜が盛んであるほか林業も盛んなようだ。
このフロバリオンの主たる産業は農業と水産業なのである。
此処の生産物を大陸や大陸沿岸部の島嶼に持ち込んで交易をしているらしい。
その意味では平和で豊かな生活圏のようだが、戦争が起きると一変する。
元々人口の少ない島であるから、大国が押し寄せてくると籠城しか手が無くなる。
生憎と都市国家同士の同盟からも外れている辺境なのである。
三十年も昔に、3万もの大軍で攻め寄せられた事例があったようだが、籠城中に敵の軍船多数が嵐で沈没、敵軍は這這の体で本国に逃げ帰ったようだ。
なんだか元寇の役みたいだよね。
それ以降は国家規模の侵略は無いのだが、海賊行為は割合と頻繁にあるようだ。
俺の身分なんだが、ある意味でこの世界の最南端の僻地みたいなところに単なる旅人じゃ説明がつかないから、やっぱり商人を装うことにした。
扱う商品については、ちょっと思案しなければならん。
此処は亜熱帯なんで砂糖はあるし、海辺なんで塩も腐るほどある。
従ってここに無い物で、なおかつ、希少価値の高い物を取り扱うことにした。
幸いにしてここは自由交易を許しているので商船であれば自由に入港して交易が可能なんだ。
早速、二本マストのダウ船紛紛いをつくったよ。
荷物を運べる運搬船だから長さが15mほども有って、ディンギークラスのような一人乗りじゃないからね。
俺の場合、乗組員が居なくても魔法で動かせるんだが、外部から余計な懸念を持たれないようにするためには偽装の乗組員が要るんだ。
それで、ゴーレムというよりもアンドロイドを作ったよ。
このアンドロイド、一見してヒト族以外には見えないはずだ。
内部に小型高出力電池を備えて72時間は連続でフル稼働できる。
動力は魔力じゃないから妖精族にどう見えるかはわからんが、幸いにしてフロバリオンには魔法族は居ない。
フロバリオンに住んでいるのは9割がヒト族で、残り一割が獣人族だ。
ドワーフも居ないんだがドワーフに教えを受けたヒト族の鍛冶師が居て鍛冶全般を請け負っている様だ。
だからアンドロイドを使っていても直ぐにはばれないはずだ。
ヒトと同じ動きができるし、場合によってははるかに俊敏な動きと馬鹿力を発揮できる優秀な奴だぜ。
一応人前では1号機をマリオ、2号機をサレマン、3号機をカゼルと呼ぶことにした。
彼らも22世紀半ばのAI搭載なんで会話も一通りこなせるんだぜ。
ぼろが出ないように、原則として俺が対人対応をすることになっているんだが、やむを得ない場合は彼らの判断で対応できるようにしている。
そんなわけで、四人乗りのダウ船紛いの船は、フロバリオンに無事入港した。
入港の際に必要なのは国旗若しくは所属ギルドの紋章旗である。
俺の船は、北方大陸南部に在る都市国家ブレオンに属し、旗はブレオン商業ギルドの紋章である王冠を被り金貨を両脚で掴んでいるドラゴンだ。
ブレオンは都市国家群のアルバラン同盟に入って北方大陸の大国に対抗している。
ブレオンの場合、国旗も有るんだが、それよりも商業ギルドの赤地に白のドラゴンの方が他所に知れ渡っているのである。
突然トロイジェムに出現した俺がブレオンの商業ギルドにに登録しているかって?
当然のことながら、事前工作で商業ギルドには5年前、ブレオンの戸籍簿にも25年前の日付で俺の名が記載されている。
俺が勝手に登録したから担当者は記憶にない筈だが、原簿に記載してあれば誰もその事実は疑わないものだ。
フロバリオンでは入国管理の一環なのか、港では一応官憲がやってきて入港目的や滞在予定などを尋ねられた。
「ブレオンから来た船商人のモルデンと申します。
此処にはブレオンやその他の地の特産品を販売するために来ました。
ブレオンに戻る際には、こちらでの特産品を購入して行こうと思っています。
予定は、今のところ未定ですが、私の持ち込んだ品が売れ、またこちらの特産品が相当量入手できましたらブレオンに戻りたいと考えています。」
「そうか、ここでの商いは自由だが、商業ギルドに届け出をしてからにするようにな。
あと、フロバリオンでは面倒ごとを起こさないようにしてくれよ。」
この辺は既に先行して情報収集をしていたδ型ゴーレムから情報を貰っているので、すんなりと行ったな。
次いで、フロバリオンの港の近くに有る商業ギルドの出張所に出向く。
此処で市場売買の仮登録の届けを受理されて、所定の委託保証金を支払うとフロバリオンの大市場で店を開く権利が得られるのだ。
その際に、与えられるスペースの広さと場所が指定されることになる。
仮登録が遅くなればなるほど市場での場所取りで良い場所が得られなくなることになる。
事前の情報では、幸いにして今のところ空きはあるはずだが、客が多く集まる通りからやや離れたところになるはずだ。
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