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因縁の女(アレン)
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【 アレンの視点 】
クレアの実家に調査に向かった者達からの連絡は“男爵家の拘束”だった。
クレアが出発した後に起こったことかもしれないが、おそらくクレアが侯爵家に来たのは拘束のせいだろう。
何かを盗み出したいのか、俺の命か、情報が欲しいのか。
だがこんな純粋な子を選んだ馬鹿は誰だ?
ショーンに指示を出した。
「クレアの家族が人質に取られて クレアがここに来たと仮定しよう。
他の者にもクレア自身にも内緒にして こっそり持ち物の確認をしたい。
クレアが授業を受けている間にやろう」
「かしこまりました」
結果、出てきたのは赤い液体の入った瓶と小さなケースに入った丸薬だった。
「医師が薬師に聞いてきてくれ」
「かしこまりました」
間違いないだろう。彼女は俺に殺しを命じられた刺客だ。ただ家族を人質に取られて仕方なくやってきただけの。
そうだよな?クレア
1時間半後。
「丸薬は死に至らしめる毒です。液体の方は色からして去勢薬ではないかと」
「は?」
「つまり勃たなくなり、搾り出せても子種は入っておらず、女を悦ばせることも孕ますことも出きなくなります」
「なんて残酷な物を…」
「アレン様を狙っていることは間違いなさそうですね」
「丸薬があれば去勢薬など意味がないだろう。苦しめてから止めを刺そうとしているのか?」
「もしくは彼女用の薬かもしれません」
「口封じということか」
次に子爵家の調査結果が手に入った。
「セルヴラ子爵家とアルティメヌ男爵家に接点は見当たりません。
セルヴラ子爵家は当主夫妻と息子2人に娘1人。
跡継ぎは婚姻しています。
次男は学園を卒業して婿入り待ち、娘は学生です。
夫妻は平凡な貴族で問題行動はありません。
子供の方は、兄と弟の兄弟仲があまりよくないようです。
兄の方は努力は然程せず遊ぶことが好きで、賭け事をしたり女を引っ掛けたり。弟は真面目なタイプで、兄が努力せずに子爵家を継ぐことに不満を持っています。
長男トニーが今夢中になっているのが…ララ・ソヴェリオ。公爵家の長女です」
「ララ・ソヴェリオを見張ってくれ」
「かしこまりました」
ショーンと2人になり、ソファの肘掛けに頭と足を乗せた。
「ソヴェリオ嬢とは恐れ入りましたね」
「……」
「でも何がきっかけでソヴェリオ嬢はアルティメヌ男爵家に目を付けたのでしょう」
「……」
「アレン様?」
「つまり俺のせいでクレアの家族は人質になって、彼女は危険な任務をさせられているということだ。
普通、あんな物を持って侯爵家に潜入したら…成功していたら男爵令嬢の命など簡単に散らされる。
あの丸薬は口封じだ。
食事に不味いものがひとつ入っていただけで、態とだと思い 傷付くような子になんてことをさせるんだ」
「確かに。可愛い子ですからね」
ララ・ソヴェリオは半年前まで俺の婚約者だった。
幼い頃に父親同士が決めた婚約だった。
彼女は成長するごとに高飛車で我儘になっていった。
チヤホヤしてもらえないと機嫌が悪く、自分より目立つ女を攻撃していた。
学園を卒業し、父上に仕事を教わりながら社交も始めた。2年経つと婚姻の催促が始まった。
契約書には婚姻の時期までは記されていないことをいいことに話を避けてきた。
そこで父上が発作で急逝した。
侯爵となり喪に服しながら仕事をした。慣れないことに忙しくララのことは放置していた。
半年前、夜会で出会った女と一夜を過ごした。
ララは見張りを付けていたのか、それを知って相手の女を襲わせて庭園に放置。ほぼ裸に近い事後の無惨な姿を晒すことになった彼女は 後日死を選んだ。
王家主催のパーティだったことと、被害者が貴族令嬢だということもあり徹底して調査された。
結果、ララが主犯だと判りソヴェリオ公爵家は謝罪文を新聞に載せ、多額の慰謝料を支払った。
実行犯は除籍と労働刑、その家門は慰謝料を支払った。
ララ本人には王都からの永久追放。
これによりララの有責で婚約を破棄した。
まだあの女が俺に執着しているということだ。
クレアの実家に調査に向かった者達からの連絡は“男爵家の拘束”だった。
クレアが出発した後に起こったことかもしれないが、おそらくクレアが侯爵家に来たのは拘束のせいだろう。
何かを盗み出したいのか、俺の命か、情報が欲しいのか。
だがこんな純粋な子を選んだ馬鹿は誰だ?
ショーンに指示を出した。
「クレアの家族が人質に取られて クレアがここに来たと仮定しよう。
他の者にもクレア自身にも内緒にして こっそり持ち物の確認をしたい。
クレアが授業を受けている間にやろう」
「かしこまりました」
結果、出てきたのは赤い液体の入った瓶と小さなケースに入った丸薬だった。
「医師が薬師に聞いてきてくれ」
「かしこまりました」
間違いないだろう。彼女は俺に殺しを命じられた刺客だ。ただ家族を人質に取られて仕方なくやってきただけの。
そうだよな?クレア
1時間半後。
「丸薬は死に至らしめる毒です。液体の方は色からして去勢薬ではないかと」
「は?」
「つまり勃たなくなり、搾り出せても子種は入っておらず、女を悦ばせることも孕ますことも出きなくなります」
「なんて残酷な物を…」
「アレン様を狙っていることは間違いなさそうですね」
「丸薬があれば去勢薬など意味がないだろう。苦しめてから止めを刺そうとしているのか?」
「もしくは彼女用の薬かもしれません」
「口封じということか」
次に子爵家の調査結果が手に入った。
「セルヴラ子爵家とアルティメヌ男爵家に接点は見当たりません。
セルヴラ子爵家は当主夫妻と息子2人に娘1人。
跡継ぎは婚姻しています。
次男は学園を卒業して婿入り待ち、娘は学生です。
夫妻は平凡な貴族で問題行動はありません。
子供の方は、兄と弟の兄弟仲があまりよくないようです。
兄の方は努力は然程せず遊ぶことが好きで、賭け事をしたり女を引っ掛けたり。弟は真面目なタイプで、兄が努力せずに子爵家を継ぐことに不満を持っています。
長男トニーが今夢中になっているのが…ララ・ソヴェリオ。公爵家の長女です」
「ララ・ソヴェリオを見張ってくれ」
「かしこまりました」
ショーンと2人になり、ソファの肘掛けに頭と足を乗せた。
「ソヴェリオ嬢とは恐れ入りましたね」
「……」
「でも何がきっかけでソヴェリオ嬢はアルティメヌ男爵家に目を付けたのでしょう」
「……」
「アレン様?」
「つまり俺のせいでクレアの家族は人質になって、彼女は危険な任務をさせられているということだ。
普通、あんな物を持って侯爵家に潜入したら…成功していたら男爵令嬢の命など簡単に散らされる。
あの丸薬は口封じだ。
食事に不味いものがひとつ入っていただけで、態とだと思い 傷付くような子になんてことをさせるんだ」
「確かに。可愛い子ですからね」
ララ・ソヴェリオは半年前まで俺の婚約者だった。
幼い頃に父親同士が決めた婚約だった。
彼女は成長するごとに高飛車で我儘になっていった。
チヤホヤしてもらえないと機嫌が悪く、自分より目立つ女を攻撃していた。
学園を卒業し、父上に仕事を教わりながら社交も始めた。2年経つと婚姻の催促が始まった。
契約書には婚姻の時期までは記されていないことをいいことに話を避けてきた。
そこで父上が発作で急逝した。
侯爵となり喪に服しながら仕事をした。慣れないことに忙しくララのことは放置していた。
半年前、夜会で出会った女と一夜を過ごした。
ララは見張りを付けていたのか、それを知って相手の女を襲わせて庭園に放置。ほぼ裸に近い事後の無惨な姿を晒すことになった彼女は 後日死を選んだ。
王家主催のパーティだったことと、被害者が貴族令嬢だということもあり徹底して調査された。
結果、ララが主犯だと判りソヴェリオ公爵家は謝罪文を新聞に載せ、多額の慰謝料を支払った。
実行犯は除籍と労働刑、その家門は慰謝料を支払った。
ララ本人には王都からの永久追放。
これによりララの有責で婚約を破棄した。
まだあの女が俺に執着しているということだ。
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