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婚約はまだしません

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ガデュエット邸では楽しい晩餐会となっている。
旧友同士の尽きない昔話に花を咲かせていた。

ピノール子爵、子爵夫人、両親と私の5人で食事をしている。

ピノール夫妻はガデュエット邸に滞在予定だ。



子「ビビアン嬢が卒業したことだし、正式な婚約を結ばないか」

父「もちろんです」

子「ビビアン嬢、どうかな?」

私「ピノール子爵。私の意見をお聞きになったら尊重してくださるのですか?」

母「ビビアン!」

私「当然の質問だと思います。
父同士が友人だからと 子が巻き込まれているのですから。
それなのに聞いてどうなさるのか知りたいのです」

夫人「最近は会うようになったと聞いていたから、てっきり乗り気なのかと」

私「いずれもロバート様のご意志ですわ。
今まで何の関わりももたなかったのに 急にエスコートすると言い出し、屋敷に訪ねて来るようになりました。
私にはロバート様の思惑が全くわかりません」

母「貴女の成長を待っていたのよ きっと」

私「ですが、別の令嬢をパートナーにして参加したパーティで、相手の胸を揉みしだき ドレスの裾を捲って下着に手を入れかけておりましたわ。
デビュータントの少し前ですのよ?」

子「不快な思いをさせて申し訳ない」

父「ロバート殿は男なのだから少しくらい遊んだからといって目くじらを立てなくてもいいだろう」

私「ピノール子爵、お父様。少しではございません。たっぷり遊んでいらっしゃいます。

それが許されるのは仮婚約をする前までだと私は思うのです。
私の人生に縛りをかけた以上、ロバート様のやっていることは不貞です。裏切りです。

何故 何事も無かったかのように私の前に現れることができるのか、気が知れません」

父「男と女では違うんだ」

私「違う? でもお相手しているのは女性ですよ?
違わないと彼が証明しているではありませんか。
つまり、私もそうしていいということではありませんか?」

母「ビビアン」

子「ビビアン嬢がこんなに怒っているとは思わなかった。
ロバートにはキツく言い聞かせるから 前向きに考えてはくれないか」

私「彼は女遊びを止めるそうです。
ですが今更そんな必要はありませんわ」

夫人「ロバートと婚姻したくないと仰るの?」

私「率直に申し上げれば その通りです。

茶会やパーティ会場には、彼と交わった女性で溢れているのですよ? そこに妻として腕を絡めて参加しろと?

私が側にいても、あの夜はどうだったとか また会いたいとか平気で言ってくるのですよ?
何故 私だけが犠牲にならなければいけないのですか?」

全員「……」

私「婚約はまだしません。
どうしても結婚させるなら白い結婚にしてください。
妾候補は大勢おりますわ。これまで通り好きになさってください。
但し、相手の当主や夫から慰謝料を求められてもガデュエット家や私の持参金からはお支払いいたしません。

また、それを元に困窮すれば離縁をさせていただきます。妻を貴族夫人として養えないのでしたら当然ですよね?

どうなさるのか、両家で話し合われてください」

その後は沈黙した場となったので、さっさと食事を済ませて退席した。




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