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第203話 巡回②
しおりを挟む「よし、取り敢えず一階からチェックを――いや、先に外を終わらせた方が良いか?各部屋を調べている間に、何か仕掛けられても困るしな!!」
左手に持つハンディライトと、腰にぶら下げてある警棒を弄りながら、正面入り口を挟むように立っている警備員に挨拶をし、そのまま入り口を通って駐車場に向かう。
「無いとは思うが、車の下もチェックしておいた方が良さそうだ、車高の高い車程、最高の隠れ蓑だからな!!同じ部隊で『偽装の達人』とか呼ばれてたあいつ、元気にしているだろうか!」
淡々と車の下を調べていく真田だったが、残り最後の車に近づこうとした時、遠くからこちらに向かって歩いて来る、人影と懐中電灯の光が見えた。
歩く速度から、その足取りはしっかりとしていて、確実にこちらを目標に接近していることが感じられる。
真田は、近づいて来る光から目離さないように注意をしながら、手元のライトを三回点滅させてみるが、特に変化は起きない。
右手を腰にぶら下げてある警棒に添えておく。
「っ、反応は無いか。確か今日は、この時間に駐車場付近の警備に当たっている人は居ない筈なんだが、一体誰だ?」
徐々に、歩いて来る人影の顔が見えるぐらいの距離にまで近づくと、先程、正面入り口に立っていた警備員と、まったく同じ格好をした30代くらいの男性であることが分かった。
それと同時に、少しだけ男性の格好に気になる箇所が二つほどあったのだが、今は―――
「こんばんは!ここの警備の者ですけど、どうしましたか?あっ、もしかして巡回の方ですかね?」
「あぁ、良かった!ちゃんと話が伝わっているようで、ホッとしました!あっ、もし良ければ、今から向かう裏口の警備にもついて来て貰って大丈夫ですかね?いやー、今日初めてこの仕事に就いたので、分からない部分も多くて!」
「・・そうしましょうか!!もし、侵入者が居た場合、一人では危ないですからね!!さぁ、行きましょう!」
話している最中、僅かに目が、左下と右上を行き来していたのを確認。
真田を先導するように裏口へと歩いていく、怪しい男性の後ろ姿を見ながら、周りへの警戒と選択肢を忘れないように気を付け、自然体へと見えるように後ろをついていく。
冷静に相手を分析し、体重、身長、筋肉の付き方から、戦闘力経験の有無と弱点の把握、相手の目標を予測、これから考えられる行動を出来る限り把握。
男性との適切な距離を保ち、警棒の他に武器となりえる物を所持しているのか、毒物は?薬品の類は持っていないのかも確認する。
気付くと、正面入り口とは正反対にある裏口にまで辿り着いていた。
最低限の準備は整った筈だ。
「すいません、一回止まって貰っても良いですか?ちょっと、靴紐がほどけてしまって!!いやー、せっかく警備員として働いているのに、この体たらくじゃ駄目ですね!!・・そう言えば、あなたのお名前を聞かせて貰っても?」
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