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273話 ユースティンside
しおりを挟むなかなか言葉を発さない私に、お父様は呆れてしまったのか大きなため息をついた後にこう言いましたわ。
「なぜこんなことをしたのか、については大体想像が出来るからおいておこう」
お父様の性格上、徹底的に問い詰めて来るものだと思っていた私は、思わず
「え?」
と間抜けな声を出してしまいましたわ。
それと同時に、なんだかお父様に見捨てられたような、そんな気分になって物凄く不思議な気分になりましたが、
「お前は自分の感情を優先して出した命令のせいで他人の人生を狂わせた。それをわかっているのか?」
というお父様の言葉を聞いて、落ち込んでいた気分が一気に上がったのがわかりましたわ。
だって、咄嗟に出た言葉が
「ということは、あの令嬢に危害を加えることが出来ましたのね!?」
なんですもの。
自分でも驚きましたが、これほどまでにあの令嬢に対して何かしてやりたい、と強く思っていましたのね。
まぁ、この私からレオンハルト様を奪ったんですから、多少の被害には遭ってもらわないと私も気が晴れませんし、それは私だけではなく他の令嬢だって同じことだと思いますわ。
それにしても、あの3人もやろうと思えば出来ますのね。
命令をした時の表情があまりにも曇っていたから怖じ気づいて逃げ出すものだと思っていました。
そう思いながら、緩んだ口元を隠すことなくお父様を見ると、まるで信じられないものでも見るかのような、そんな顔をして私のことを見ていると思ったら、ハッと我に返ったかのような顔をした後に
「そうではない!」
と大きな声を出しましたわ。
そうではない、って.....それ以外に何がありますの?
もしかして、あの令嬢が3人のうちの誰かを殺してしまった、とかそんな感じの事があったのかしら?
それに、なぜかお父様は物凄く怒っている顔をしていますし........。
何があったのか、そしてお父様がなぜ怒っているのか理解が出来ない私は首を傾げてお父様の言葉を待っていると、
「お前の命令のせいで、従者たちは犯罪者扱い、おまけに我が家は隣国に喧嘩を売ってしまったようなものなんだぞ!」
困惑と怒りが入り混じったような、そんな顔をしながら私にそう怒鳴りつけてきましたわ。
従者は犯罪者、って........あの3人がなぜ犯罪者になりますの?
あの令嬢を殺すどころか怪我もさせられなかったのだから、罪に問われることがありませんわよね?
そう思った私は、純粋に気になって
「ですが、誰も亡くなっていませんし令嬢も無事なんですのよね?ここまで怒られる理由がわかりませんわ」
と質問をしてみましたわ。
すると、これもまたお父様の気分を害するようなことだったらしく、
「まさかお前がここまで話の通じないバカだったとはな......もっと常識のわかる自慢の娘だと思っていたのに残念だ」
無表情でそう言うと、椅子から立ち上がって書斎の扉を開けましたわ。
そして、私のことを憎いものでも見るかのような視線で一瞥するとこう言ってきましたの。
「出て行け。今日でお前はこの家の者でも何でもない」
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