272 / 344
272話 ユースティンside
しおりを挟む
絶体絶命の状況ですが、どうにかしてこの状況を切り抜けようと頭をフル回転させながら、
「お、お父様?これには理由が……」
となんとか声を出しましたが、そんな私の様子を見て察したんでしょうね。
「なるほどな」
と冷たく呟くと、もう話すことは無い、とでも言わんばかりに椅子に座ったまま私に背中を向けましたわ。
流石にこれはまずい、と瞬時に判断した私は、縋るような気持ちで
「お、お父様?違いますの!これは何かの勘違いで……」
と言って机に置かれた紙をビリビリに破り捨てようとしましたが、これが逆効果だったみたいで
「お前がそこまで取り乱すという時点で聞かなくても答えを言われたようなものだ」
お父様はそう言うと、今までされたことがないくらい冷たい眼差しで私のことを見てきましたわ。
正直、私も咄嗟のことだったとはいえ、お父様に届いた手紙を破り捨てる、なんてことを自分がするとは思ってもいなかったので、驚いていますのよね。
だって、この私が、ですわよ?
勉強もマナーも全て完璧だ、と言われている私がこんなことをするなんて......それほどまでにあの令嬢に対して腹を立てている、ということなのかしら......。
呆然としながらビリビリになった手紙を眺めていると、急に黙り込んだ私に対してお父様は大きくため息をついた後に
「なぜこのような事をした」
静かに、でも怒りを含むような低い声でそう聞いてきましたわ。
なぜこのようなことを、ですか....。
私自身がなぜこのようなことをしてしまったのか知りたいのに、答えられるわけがありませんわよね。
なんて思いながら、お父様の質問に答えることなく俯いていると、
「普段のお前なら、いくら腹を立てたとはいえ隣国の令嬢に対して失礼な行動はしないはずだ」
さっきの質問に付け加える様にそう言われましたわ。
これには何か自分の意見といいますか、思いを伝えた方が良い、と思った私は、なんとか
「だ、だって……」
と話をしようと思いましたが、何も言葉が思いつかず結局は言葉を詰まらせてしまいましたわ。
すると、そんな私を見たお父様は、何度目かわからない大きなため息をついたかと思ったら
「元々言ってあったはずだぞ?レオンハルト殿を我が家の入り婿として迎えるつもりはない、と」
呆れた、とでも言いたそうな顔をしながらそう言いましたわ。
......やっぱり、私がレオンハルト様に好意を持っていたことを知っているお父様はすぐに察したみたいですわね。
いや、そもそも私があのような令嬢に負けるわけがありませんのよ。
だって、私の方がレオンハルト様と長い年月を共にしていますし、私の方がレオンハルト様の好きな物も癖もお茶を飲むときのお砂糖の量だって把握しています。
それに、パーティーの時だって他の令嬢はエスコートしなかったのに私のことだけはエスコートしてくれましたわ。
考えれば考えるほど、レオンハルト様と私は相思相愛だとしか思えませんわよね?
「お、お父様?これには理由が……」
となんとか声を出しましたが、そんな私の様子を見て察したんでしょうね。
「なるほどな」
と冷たく呟くと、もう話すことは無い、とでも言わんばかりに椅子に座ったまま私に背中を向けましたわ。
流石にこれはまずい、と瞬時に判断した私は、縋るような気持ちで
「お、お父様?違いますの!これは何かの勘違いで……」
と言って机に置かれた紙をビリビリに破り捨てようとしましたが、これが逆効果だったみたいで
「お前がそこまで取り乱すという時点で聞かなくても答えを言われたようなものだ」
お父様はそう言うと、今までされたことがないくらい冷たい眼差しで私のことを見てきましたわ。
正直、私も咄嗟のことだったとはいえ、お父様に届いた手紙を破り捨てる、なんてことを自分がするとは思ってもいなかったので、驚いていますのよね。
だって、この私が、ですわよ?
勉強もマナーも全て完璧だ、と言われている私がこんなことをするなんて......それほどまでにあの令嬢に対して腹を立てている、ということなのかしら......。
呆然としながらビリビリになった手紙を眺めていると、急に黙り込んだ私に対してお父様は大きくため息をついた後に
「なぜこのような事をした」
静かに、でも怒りを含むような低い声でそう聞いてきましたわ。
なぜこのようなことを、ですか....。
私自身がなぜこのようなことをしてしまったのか知りたいのに、答えられるわけがありませんわよね。
なんて思いながら、お父様の質問に答えることなく俯いていると、
「普段のお前なら、いくら腹を立てたとはいえ隣国の令嬢に対して失礼な行動はしないはずだ」
さっきの質問に付け加える様にそう言われましたわ。
これには何か自分の意見といいますか、思いを伝えた方が良い、と思った私は、なんとか
「だ、だって……」
と話をしようと思いましたが、何も言葉が思いつかず結局は言葉を詰まらせてしまいましたわ。
すると、そんな私を見たお父様は、何度目かわからない大きなため息をついたかと思ったら
「元々言ってあったはずだぞ?レオンハルト殿を我が家の入り婿として迎えるつもりはない、と」
呆れた、とでも言いたそうな顔をしながらそう言いましたわ。
......やっぱり、私がレオンハルト様に好意を持っていたことを知っているお父様はすぐに察したみたいですわね。
いや、そもそも私があのような令嬢に負けるわけがありませんのよ。
だって、私の方がレオンハルト様と長い年月を共にしていますし、私の方がレオンハルト様の好きな物も癖もお茶を飲むときのお砂糖の量だって把握しています。
それに、パーティーの時だって他の令嬢はエスコートしなかったのに私のことだけはエスコートしてくれましたわ。
考えれば考えるほど、レオンハルト様と私は相思相愛だとしか思えませんわよね?
15
お気に入りに追加
4,199
あなたにおすすめの小説


使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。気長に待っててください。月2くらいで更新したいとは思ってます。

7年ぶりに帰国した美貌の年下婚約者は年上婚約者を溺愛したい。
なーさ
恋愛
7年前に隣国との交換留学に行った6歳下の婚約者ラドルフ。その婚約者で王城で侍女をしながら領地の運営もする貧乏令嬢ジューン。
7年ぶりにラドルフが帰国するがジューンは現れない。それもそのはず2年前にラドルフとジューンは婚約破棄しているからだ。そのことを知らないラドルフはジューンの家を訪ねる。しかしジューンはいない。後日王城で会った二人だったがラドルフは再会を喜ぶもジューンは喜べない。なぜなら王妃にラドルフと話すなと言われているからだ。わざと突き放すような言い方をしてその場を去ったジューン。そしてラドルフは7年ぶりに帰った実家で婚約破棄したことを知る。
溺愛したい美貌の年下騎士と弟としか見ていない年上令嬢。二人のじれじれラブストーリー!

前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします
柚木ゆず
恋愛
※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。
我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。
けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。
「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」
そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。

どーでもいいからさっさと勘当して
水
恋愛
とある侯爵貴族、三兄妹の真ん中長女のヒルディア。優秀な兄、可憐な妹に囲まれた彼女の人生はある日をきっかけに転機を迎える。
妹に婚約者?あたしの婚約者だった人?
姉だから妹の幸せを祈って身を引け?普通逆じゃないっけ。
うん、まあどーでもいいし、それならこっちも好き勝手にするわ。
※ザマアに期待しないでください

酷い扱いを受けていたと気付いたので黙って家を出たら、家族が大変なことになったみたいです
柚木ゆず
恋愛
――わたしは、家族に尽くすために生まれてきた存在――。
子爵家の次女ベネディクトは幼い頃から家族にそう思い込まされていて、父と母と姉の幸せのために身を削る日々を送っていました。
ですがひょんなことからベネディクトは『思い込まれている』と気付き、こんな場所に居てはいけないとコッソリお屋敷を去りました。
それによって、ベネディクトは幸せな人生を歩み始めることになり――反対に3人は、不幸に満ちた人生を歩み始めることとなるのでした。

「本当に僕の子供なのか検査して調べたい」子供と顔が似てないと責められ離婚と多額の慰謝料を請求された。
window
恋愛
ソフィア伯爵令嬢は公爵位を継いだ恋人で幼馴染のジャックと結婚して公爵夫人になった。何一つ不自由のない環境で誰もが羨むような生活をして、二人の子供に恵まれて幸福の絶頂期でもあった。
「長男は僕に似てるけど、次男の顔は全く似てないから病院で検査したい」
ある日ジャックからそう言われてソフィアは、時間が止まったような気持ちで精神的な打撃を受けた。すぐに返す言葉が出てこなかった。この出来事がきっかけで仲睦まじい夫婦にひびが入り崩れ出していく。

完璧令嬢が仮面を外す時
編端みどり
恋愛
※本編完結、番外編を更新中です。
冷たいけど完璧。それが王太子の婚約者であるマーガレットの評価。
ある日、婚約者の王太子に好きな人ができたから婚約を解消して欲しいと頼まれたマーガレットは、神妙に頷きながら内心ガッツポーズをしていた。
王太子は優しすぎて、マーガレットの好みではなかったからだ。
婚約を解消するには長い道のりが必要だが、自分を愛してくれない男と結婚するより良い。そう思っていたマーガレットに、身内枠だと思っていた男がストレートに告白してきた。
実はマーガレットは、恋愛小説が大好きだった。憧れていたが自分には無関係だと思っていた甘いシチュエーションにキャパオーバーするマーガレットと、意地悪そうな笑みを浮かべながら微笑む男。
彼はマーガレットの知らない所で、様々な策を練っていた。
マーガレットは彼の仕掛けた策を解明できるのか?
全24話 ※話数の番号ずれてました。教えて頂きありがとうございます!
※アルファポリス様と、カクヨム様に投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる