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233話
しおりを挟むまぁ、ということで、私としては残りの1週間特にやることもないですし、シャリア様とレオンハルト様が来てくれるのは凄くありがたいですわ。
本当は残りの1週間の期間、伯母様達に何か恩返し出来ると良いな、と思っていましたが、何も思いつきませんし伯母様に言っても
「当たり前のことをしただけよ」
と言われてしまいましたし......。
伯父様にも何か、手伝えることはないか、と聞いてみたんですが、国に戻ってからも会いに来てくれたら何も要らない、なんて言うんですのよ?
嬉しいですが、なんだか凄く複雑な心境ですわよね。
なんて思いながら、新しく淹れてもらったばかりのお茶に口を付けていると
「でも、セリスティアが国に帰ってからが一番大変でしょうね」
とシャリア様が呟くようにそう言いましたわね。
私が帰った後、ですか......。
正直、なぜ大変なのか理解が出来ませんわね。
だって、私がこの国に来る前と戻るだけですし、婚約者がいるレオンハルト様に対して変なことをしてくる令嬢が居たら咎めることも可能になったんですのよ?
逆に大変というより、以前より楽になると思うんですが......。
そう思った私は、首を傾げながらシャリア様に
「どうしてですか?」
と尋ねると
「だって、レオンハルト様の婚約者という邪魔者が居なくなったのよ?今までは婚約者が居なかったから皆で牽制し合っていた感じがしたけど、婚約者が出来てしまった今では、獣のような勢いで言い寄ってくるでしょうね」
そう言ったシャリア様の顔は、レオンハルト様に対する令嬢たちの行動を想像しているのか、眉間に皺を寄せて呆れている顔をしていますわ。
レオンハルト様もシャリア様の言葉に対して、何か思うことがあったらしく
「うわぁ.......」
と小さな声で呟きながら物凄く嫌そうな顔をしていますわね。
令嬢たちは獣のような勢いで言い寄ってくる、ですか.......。
言われてみると、婚約者の私が隣にいるにも関わらず凄い令嬢も多々いましたからね。
それに、レオンハルト様の婚約者候補だ、と言われていたユーティン様のことも気になりますわ。
あのパーティーではレオンハルト様がハッキリとお断りしていましたし、他にも貴族が居たので大人しく引き下がっていましたが......なんとなくユーティン様はあれくらいで終わらないような気がしますのよね。
ただ、私に出来ることは限られていますし.....
「そうは言っても、国に帰らないわけもいきませんわよね」
と私が呟くと、シャリア様は複雑そうな顔で
「私としては残ってくれた方が嬉しいけど、自分の領地があるから仕方ないですわね」
そう言って、寂しそうに微笑みましたわ。
うーん.......それこそ、レオンハルト様が入り婿の立場ではなく、私が嫁いでくるような立場だったら、帰らなくても問題なかったんでしょうけどね。
こればかりは仕方ありませんわ。
なんて思っていると、きっとレオンハルト様も私と同じ結論に至ったのでしょう。
手をパンっと叩くと
「まぁ、こんな話を今からしても仕方ない。心配していても変わらないし、もしかしたら何もないかもしれないんだ」
顔を少し引きつらせてはいますが、そう言いましたわ。
もう、本当にその通りですのよね。
心配するだけ無駄、という可能性もありますし、ここで話をしても何も変わりませんわ。
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