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227話 アーリアside
しおりを挟む私が小屋の方に現れたことにすぐに気付いた御者は
「お、お嬢様.......」
今まで見たこともないくらい都合の悪そうな顔をして呟いたけど、今の私にはそんな御者に対して何かを言う元気が残っていなかったから、スッと御者の横を通り過ぎたわ。
ただ、そんな私を見た御者は相当怖いと思ったんでしょうね。
「ず、随分と早かったですね!もう少ししてから広場の方まで迎えに行こうと思っていたんですよ!」
私の機嫌を取るようにそう言って普段はやらないのに、馬車のドアを開けてきたわ。
はぁ.......正直、あの話を聞いてからだと、そんな行動もうざく感じるわね。
なんて思いながら、ドアを開けてニコニコしている御者に冷たい視線を向けた私は
「早く出発してちょうだい」
視線と同じくらい冷たい声で、淡々とそう指示を出したわ。
そんな私の指示に
「か、かしこまりましたっ!」
と慌てた様子で馬の方に向かって行ったけど.........他の御者たちに、視線で何かを語っていたの、気付いているんだからね。
はぁ.......まさか雇われている立場の御者たちが裏であのような会話をしているとは思ってもいなかったわ。
それに、私がブスでデブなお嬢様......って呼ばれているなんて.........。
確かに他の令嬢よりも豊満な体をしている、と自覚はあったわよ?
でも、まさか私が声をかけた人に対して、被害者だ、なんて表現されるとは思わないし、相当失礼だとは思わない!?
貴族である私に声をかけられているんだから、逆に光栄だ、と思っていなさいよ!
そう思った私は、思わず馬車の椅子を思いっきり殴りそうになったわ。
でも、なんとか殴らずにグッと堪えたの。
だって、家に帰ってすぐにお父様に頼んで婚約者を用意してもらう、って決めたもの。
私に婚約者が出来たら、こんなことをしなくてもよくなるし、バカにされなくても済む。
時間はかかるでしょうけど、ここは我慢してあげようじゃないの!
ー------
そう思って家に帰ってきたのに........
「ここで大人しくしていたなら慰謝料の請求だけは勘弁してやろうと思ったが、そんな気遣いも無用だったみたいだな」
私が家に戻ってくると、お父様のそんな冷たい声が一番最初に耳に入ってきたわ。
慰謝料......?
えっと.....今、話をしているのはお父様とお母様よね?
その2人が慰謝料の話をしているってことは........い、いや、違うわよね?
そう思いながらも、2人の間に入ることは出来ることもなく、陰から会話を聞いていると
「慰謝料って言うのは不貞行為をした方が支払うんだ。今回の離婚はお前が他の男と子作りをしていたり、家の金を横領したり、平民達の暮らしを脅かしたから。つまり原因は全てお前にある」
そう言ったお父様は、自分の勝利と言うか....自分は何も悪くない、と確信しているみたいね。
普段とは雰囲気が全く違って、自信に満ちているような顔をしているわ。
そんなお父様に向かって
「そうやって言っていられるのも今のうちだから!」
とお母様が叫んでいたけど、お父様は振り返ることもなく、その場を後にしたわ。
今までのお父様だったら絶対にありえないし、ここまでハッキリと自分の意思を伝えているのは初めて見た。
だからなのかしら?
なんだか嫌な予感がするというか.......。
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