私のことを追い出したいらしいので、お望み通り出て行って差し上げますわ

榎夜

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32話 義父side

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「えぇー!?別に子爵家なんて放っておいても侯爵家が手に入るんだから良いじゃない」

ユーミアは、何も悪びれる様子もなく、俺に向かってそう言ってきた。

侯爵家が手に入る、だと.....?

「な、何を言っているんだ?」

ユーミアの言葉に、なんとか声を絞り出してそう尋ねたが、全く理解が出来ない。

いや、だって、侯爵家はセリスティアのもので、俺たちは後見人なだけだから兄上が残した財産をどうにかできる権利は存在しない。

そのことは、兄上が亡くなった時にしっかりと話をしたはずだろう?

それなのに、なぜそのような考えになるんだ?

そう思いながら、とりあえずユーミアたちの主張を聞こう、と耳を傾けると、ユーミアは俺の言葉に対してバカにしたような表情で

「だって、侯爵家の領地を管理するように、ということは、あいつじゃなくて貴方のほうが侯爵に相応しい、ということでしょう?」

と俺に言ってきた。

それに続いて、アーリアまでもが

「そうですわ。だからお父様がお試しで2つの領地を管理して、侯爵家を任せても良いか確認しているんでしょう?」

たっぷりとついた肉を揺らしながら、目をキラキラと輝かせているが、こいつらは脳みそをどこかにおいて来てしまったのか?

そうじゃなきゃ、これほどまでバカな考えは出来ないだろうし、もしそうだとしたらセリスティアに侯爵家の領地を管理させている時点で事件になるようなことなんだぞ?

こいつらは何もわかっていない、ということなのか?

そう思いながら、思わずため息が出そうだったのをグッと堪えて、2人に

「そんなわけがないだろう!そもそも、俺たちはセリスティアの後見人なだけで、何の権利も持っていないんだぞ!」

と叫んだ。

するとユーミアは

「でも、出て行ったんだから私達に譲るっていうことでしょう?」

そう言って、俺のことを睨みつけてきたが、何がどうやったらそんな解釈になるんだ?

そもそも、もし本当に侯爵家を俺たちがもらったとして、子爵家はどうなるんだ、という話じゃないか。

今まで自分の親たちが築いてきたものを、爵位の為だけに全て捨てる、という考えなのか?

ユーミアのあまりにも身勝手な考えに、少しずつ苛立ってきたが、ここで言い争いをしても時間の無駄だ。

だが、

「そんな訳があるか!この家の物はすべてセリスティアにしか権利がない!」

ということだけは、これ以上勘違いを増長させないために、ハッキリと2人に向かって叫んでやった。

俺たちは、侯爵家をどうこうする権利を持っていない。

それがわかったら、バカでも諦めるだろう、と思ったからな。

俺の言葉に、ユーミアは案の定

「えぇ!?そんなの聞いていないわ!侯爵家を私の物に出来ると思ったから後見人になってあげたのに!」

と叫んでいたが、そんなこと知るか!

俺はしっかりと説明して、それで後見人になったんだ。

話を聞いていないバカが悪い!

なんて思いながら

「俺たちは何をどう頑張っても子爵家だ。昇格さえあれば話は変わってくるけどな。そんなのは無理なことはお前たちもわかっているだろう。つまり子爵家の領地が終わったら、俺たちは平民になる、ということだ」

という言葉を残して、客室を後にした。

その後ろで醜い2人が

「そんな!お母様、話が違いますわ!」

「わ、私だって今知ったのよ!」

とギャーギャー言い合っているが、自業自得だな。

俺には関係のない事だ。
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