私のことを追い出したいらしいので、お望み通り出て行って差し上げますわ

榎夜

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19話

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クリストファー公爵家に到着するまでの間、今までされてきたことや自分自身がどうしたいのか、改めて冷静に考えることが出来ましたわ。

やっぱり、なんど思い出してもあの2人......いや、叔父様を含めて3人を許す、という選択肢は私にありませんわね。

そのこともカイン様に伝えておくべきでしたわ。

そう思っていると、急に馬車がピタッと止まりましたわ。

ど、どうしたのかしら?

もしかして、道が塞がれていたとか?

そう思って窓から外の様子を見ると、私が考え事をしている間に公爵家の前に到着していたみたいで、私が焦って窓を覗き込んだのを見たミリアに

「到着しましたよ」

と苦笑されてしまいましたわ。

ちょっと恥ずかしいですわね。

ま、まぁ、そうだと思っていましたのよ。

そろそろ到着する時間ですものね。

なんて、なぜか心の中で強がりながら、馬車のドアを開けたネイトに

「ありがとう、ここまで大変だったでしょう?ご苦労様」

と声を掛けましたわ。

するとネイトは

「いえいえ!久しぶりだったので楽しかったですよ」

と、本当に楽しかったのか満面の笑みでそう返してきました。

なんだか意外ですわね。

馬の扱いは大変だ、と聞いたことがあるので、楽しんでくれたなら良かったですが.........。

そう思いながら、ネイトに手を借りてべ社から降りましたわ。

まずは門番に話をして門を開けてもらわないといけないわね。

そう思った私は、クリストファー公爵家の門番に

「あの、公爵に話があるんだけど通してもらっても良いかしら?」

と尋ねてみましたわ。

すると、思った通り

「まずは名乗るのが先だろう。怪しいものを屋敷の中に入れることは出来ない!」

と言われてしまいましたわ。

まぁ、当然の反応ですわね。

逆に、こんなことを言って通されたら驚きですわよね。

ただ、言い方には気を付けないといけない、というところかしら?

その証拠に、ユーリは門番の対応に眉を顰めていますもの。

なんて思いながら、門番の2人に

「ごめんなさい。セリスティア・リンプトン、と言えば公爵もわかるんじゃないかしら?」

と言って首を傾げると、門番2人はまだ信用していないような表情でしたが

「少し待っていろ!」

とだけ言い残すと、2人のうちの片方がお屋敷の中に入っていきましたわ。

クリストファー公爵家......とても久しぶりに来ましたわね。

前に来たのは10年前でしょうか?

あの頃はお父様もお母様も元気で、とても楽しそうでしたわよね。

そう思いながら、改めてお屋敷の外観をボーっと眺めていると、門の内側の方から

「せ、セリス様ですか.........?」

という、聞き覚えのある懐かしい声が聞こえてきましたわ。

声のした方をパッと見ると、そこには白い髪の毛に白いひげを生やした執事服を着た男性が立っていて、

「貴方、もしかして.......」

と反射的に呟きましたわ。

だって、まだクリストファー公爵家で働いているとは思っていなかったんですもの。

年齢も年齢なので、もう引退したものとばかり.......。

驚きで口を手で覆っている私に、男性は

「セバスです!幼い頃にセリス様と一緒に遊んだ!」

そう言うと、目に涙を溜めましたわ。

やっぱりそうですわよね!

セバス、というのは、私のお母様が幼い時からクリストファー公爵家の執事として働いている執事ですわ。

今は、すでに60歳を超えているんじゃないかしら?

執事やメイドは60歳で引退する人が多いので、まさかセバスに会えるなんて思っていませんでしたわ。
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