私のことを追い出したいらしいので、お望み通り出て行って差し上げますわ

榎夜

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20話

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目に涙を浮かべているセバスに、門番2人は驚いた顔をして

「セ、セバスさん?あの人は.........」

と尋ねると、セバスは悲しいような、寂しいような、そんな表情で

「セリスティア様はな、あのセリアーティ様の娘だ」

と2人に言いましたわ。

ただ、あのセリアーティ様、って........。

あ、セリアーティというのは私のお母様の名前ですわ。

門番2人はセバスの言葉に

「えぇ!?」

大げさだ、と言いたくなるほど大きく仰け反って驚いた後に、マジマジを私のことを眺めると

「た、確かに似ているような.......」

「いや、そっくりだろ........」

と何やらブツブツと呟いていますわ。

似ている、ですか。

確かに私とお母様は、よく生き写しだ、と言われるほど顔が似ていますわ。

唯一違うのは目の色くらいかしら?

お母様は綺麗なエメラルドグリーンの瞳ですが、私はお父様と同じスカイブルーの瞳をしていますの。

ただ、あまり違いがないので、ぱっと見ではお母様と間違えられてもおかしくないと思っていますわ。

そう思いながら、少し引っかかったので

「セバス?あのセリアーティ、というのは一体どういうことなの?」

と聞いてみましたわ。

だって、お母様の娘、だったらわかりますが、ってつけられていますのよ?

違和感しかありませんわ。

なんて思っていると、セバスは

「す、すみません........旦那様も奥様もセリアーティ様のことを亡くなった後でもとても大事にしている、というのは従者たちの仲で有名な話なんです」

と言って苦笑していますわ。

な、なるほど.........そういうことでしたのね。

言われてみると、10年前に来たとき、お母様に対する態度と言いますか、なぜか皆お母様に物凄く優しかったんですのよね。

昔は久しぶりだから、皆喜んでいるのかしら?と思っていましたが、どうやらお母様は純粋に家族から愛されていましたのね。

お母様はいなくなってしまいましたが、その後でも皆に愛されている、とわかって、私も嬉しいですわ。

そう思っていると、セバスは急にハッとしたような顔をした後に

「申し訳ございません!このようなところで立ち話をさせてしまって......すぐに中に案内しますので........」

と言って、凄い勢いで頭を下げましたわ。

そんなセバスに驚きながら

「え、えぇ、ありがとう。我が家の従者たちも一緒にいるけど大丈夫かしら?」

と尋ねて馬車の方をチラッと見ると、私とセバスが話をしている間に、皆で荷物を下ろしていてくれましたわ。

こうやって見ると、5人分の荷物なので物凄く多いですわね。

......いや、よく見て見ると、ほとんどが私の物じゃないですか!

いくら皆に荷造りを頼んだとはいえ、流石に多すぎますわよ!?

合計10数個もの鞄に思わずため息をつきそうになりましたが、とりあえずセバスの

「もちろんでございます。旦那様もセリスティア様が来たと聞いてとても喜びますよ」

という許可を貰ってお屋敷の中に入ることが出来ましたわ。

伯父様との再会ですか..........。

なんだか緊張しますわね。

私のことを覚えているでしょうか?

メイド達は雇ってもらえるかしら?

など、色々と思うことはありますが、今はグッと堪え、セバスの後ろへと続きましたわ。
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