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9話
しおりを挟む隣国まで大体1週間。
お母様の実家まで1週間と2日ほど。
結構時間がありますわね。
なんて思いながら馬車から外を眺めていると、ふと1つ疑問に思うことがありましたわ。
この馬車、借りているものだったらまたネイトが戻らないといけないんじゃないかしら?ということ。
だって、借りているものは返さないといけないでしょう?
それなのに、皆でここに来てしまったらネイトはどうするの、ってなるじゃないですか。
そう思った私は、皆が外を見ていた中、唯一本を読んで大人しくしていたミリアに
「この馬車ってどうしますの?返さないといけないでしょう?」
と聞いてみましたわ。
すると
「あぁ、この馬車ですか」
ミリアはそう呟くと、本をぱたんと閉じてニヤッと笑いましたわ。
ど、どうしたんでしょう?
まさか.....盗んできた、とか......?
ミリアの反応に、思わず息を呑んで覚悟を決めて耳を傾けると、急にミリアは隣に置いてあった鞄の中を漁って、一枚の紙を取り出しましたわ。
そして
「この馬車、お母さんのものなんですよ」
と言ってニッコリと微笑みながら、取り出した紙を私に手渡してきました。
ミリアのお母様、ということは.......メイド長ですわよね?
メイド長の馬車って一体どういう........。
そう思いながらミリアが取り出した紙を見ると、そこには馬車の番号、それからメイド長の名前が書いてあって、後はこれを買った日付まで書いてありますわね。
えっと......。
馬車を買ったときの証明書なんて、初めて見たのであんまりジロジロと見るものではない、とわかってはいるんですが、やっぱり見てしまいますわよね。
少しの罪悪感と共に、書類を読み進めると、勝った時の日付の所に、今日の日付が書いてありましたわ。
これには驚いて
「えぇ!?」
と声を上げてしまいましたわよ。
だって、今日、ですわよ?
何がどうなっているんだ、って話じゃないですか。
なんて思っていると、ミリアが紙を見ながら
「お母さんが移動の時に御者に頼んでも良いけど、こっちの方が良い、ってわざわざ手配しに行ってくれたんですよ。本当はお嬢様に言ったら、お金がどうこう、って言うと思うから言わないように、って言われているんですけどね」
と苦笑しましたわ。
そんなミリアに
「そ、それは当然ですわ!だったら私が馬車の分を出して........」
と私が言いかけたところで
「いえ、これはこの家から私達を救い出してくれたお礼ですよ。本当はこれじゃ、足りないくらいだ、ってお母さんが言っていましたし」
というミリアの言葉で遮られてしまいました。
あの家から救い出してくれた.....だなんて、そんな大層なことはしていませんわよ。
だって、皆がついて来てくれる、と言ってくれなかったら私も行動には移せていませんし.......。
そう思った私は、
「そんなの、私だって皆が居なかったら家から出よう、だなんて考えなかったし.......だからお礼も何も、私の方が感謝しないといけないですわよ!」
と言いながら、鞄の中から頭金としてミリアにお金を渡そうとしたんですが、
「まぁまぁ、だったら今度はお給料を少し上げてくださいよ。それでこの話は、なしです」
というミリアの言葉で止められてしまいましたわ。
お給料のことなんて、私が決められることではない、ってミリアもわかっているはずなのに、そう言わないと私が引かない、って思ったんでしょうね。
本当にズルいですわ。
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