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魔王が何故か、主神?の乗り物を召喚した件
か弱い状態を何とかしたい
しおりを挟む【スレイプニル】
主神の乗る、八本足の聖なる生き物。
おかしい。
さっき画面では「ユニコーン召喚」って出ていた筈なんだけど、目の前にいるのは確かに八本足の厳つい馬。もしかして、何処ぞのゲームみたいな召喚事故だろうか?あれだよね、『お前丸かじり』とか言っちゃう系統のゲーム事故、それで高レベルの悪魔が召喚されちゃうって寸法。
実際召喚されたスレイプニルはレベル1だけど、他の召喚された魔物とは違って、明らかに強そう…。
『ブルルルルルッ』
おおお、凄い鼻息。
此方を見て威嚇するかの様に……ん?
え、威嚇!?
物凄く目で訴えてくる!
な、ななななな、ナンダコレハ!?
ガンッと眼光鋭く睨まれるのは何故っ
そしてその目線は……
あーーー!
「鍋えええええ!」
危なかった!お鍋吹いてたよ!
ぐらぐら煮えすぎてた。そしてすっかり忘れていた!
慌てて窯から下ろして蓋を開ける。
「大丈夫かな?」
そして仕方がねーなって感じで見下ろして来るスレイプニル。いや、見下ろして居るわけではなくて、単純にスレイプニルが大きいからなんだろうけど。
ほんっと大きい。
馬の腰の辺りが二メートル位あるんじゃないかな?つまり頭の辺りが…もしかして三メートルは流石に無いとしても、二メートル半位は楽にあるんじゃなかろうか。そしてそんなスレイプニルがジトーーーとした目で此方を見詰めてくる。
「火から目放しちゃ駄目だよね、有難うね」
うんうんと頷いて居るスレイプニル。
だたその頭まで大きいためにブンブンと動かすと風圧がっ!
と言うか威圧?威圧なの!?
タッシタッシと前足を此方にして地面を掻いてって、え、え~と…
「もしかして名前を催促でございますでしょうか」
何故ココで咄嗟に出た台詞が謎の敬語なのだろうか。
そしてこのスレイプニル、並々ならぬ迫力でズモモモオ!って感じでバックに効果音付いている顔で「そう」っていう様に頷いてるし。と言うかさっきから此方の言葉を理解しているのか。流石召喚。何だか諸々万能だね!
「名前、名前、っと」
黒龍王とか暗黒王とか妙な名前が頭を過ったけどそれは一旦放置して、スレイプニルか。ペガサスならアンドロメダを救出した有名な神話を思い出したけど、スレイプニルは確か北欧神話なんだよね。
北欧かぁ~個人的に好きなのはトリックスターのロキだけど、うっかり曲者な性格に育ってしまうと恐ろしい気がする。それでなくても北欧神話の有名所は中々どうして、癖が強いのが多い。
争いの女神エリスとか
オーディン(主神)
運命の女神のウルズ・ヴェルダンディ・スクルド
フレイ・フレイヤ(双子神)
ミーミル(巨人。賢者の神)
ヨルズ
…ミーミルは無いな。
首を切断されてオーディンに首を腐敗されないように処理された後に魔法で生き返させられ、大切な事はミーミル首に相談したってあるし、何だか嫌な感じがする。
とすると、北欧神話からは離れて考えたほうが良い気がする。碌な事が無いような、さっきから嫌な予感がヒシヒシ来ているし。
「今から貴方の見た目で幾つか候補を出すから、気に入ったのがあったら教えてね」
いやだって、思い浮かんだのがやっぱり黒炎王とか大黒丸とか何だかねってな感じだったから…それ、出来たら避けたいし。
「フェルス 岩って意味ね
ファウスト 幸運
カイ 鍵を守るもの
ラントランカー 騎士の従者
ノルベルト 北方の輝き
ジークフリート 勝利の平和
ヴァルヘルム 守護者…」
脳内にある辞書…っていうか、アデルもそうだったけどこの世界ってドイツ語っぽい名前が多いなぁ。そういう名前がスラスラと出てくるんだよね。
幾つか候補を話していくと、トントンと床を蹄で叩く音がする。それも床を傷付けないように配慮しているのか、軽くトントンと言った感じで。
「気に入ったのがあった?」
聞くと、うんうんと馬の首を縦に動かす。
どうやらヴァルヘルムと言う名が気に入ったらしい。
「そっか、ヴァルヘルム宜しくね」
『ブルルルルルッ!』
気に入ってくれたのは嬉しい。
嬉しいんだけど…
ゴリゴリとその巨大な馬面で私の頭にすり寄るのは頼むから勘弁して欲しい。
だって、擦り寄る度に力加減が出来てないのか私の身体がポーンッと…飛んでくんだよーっ!
その度にヴァルヘルムが凹んだ顔をしているのは分かるんだけど、力加減が出来るまで頬擦り厳禁と言い渡したら泣きそうな顔をしていた。
私の配下よりか弱い状態を何とかしたい……。
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