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57 回想からコンニチハからの混乱
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side.嵯峨憲真
俺が混乱して威嚇やら牽制やらすれば良いかとグルグルと(パニックに陥って馬鹿な考えをしていた)していたら、カウンター席に居る常連客のおじさん達にあっという間に囲まれた。
このおじさん達、若くは無いが中々どうしてやりおる。
「(馬鹿野郎!威嚇したら店内のαはどうでも良いけど、一般人であるβや可愛いΩちゃん達に迷惑掛けるだろうが!)」
「(え)」
何時の間にか来ていたらしい不破さん(α♂)とその奥方である末明さん(Ω♂)、更には不破さんの友人?追っ掛け?らしい外国人部隊みたいに体格の良いクラウディオさん(α♂)。
その部下のライモンドさん(α♂)、神宮寺代紋(だいもん/α♂)・木村壽人(ひさと/β♂)の三名は店内に入りきれない為、店の外に作られている座席へと注文をしてから移動して居る。
確かにαである俺がβは兎も角(失礼)、混乱して居たとはいえ不破さんの奥方である末明さんに威嚇してはならない。
何故なら確実に報復と言う名の反撃が来るから!
特に末明さんの普段朗らかでやんちゃな表情を消してからの報復は恐ろしいし(不破さんが何かやらかして怒られ、尻に敷かれているのを何度か見たことがある)、彼は細身に見えて体術が一般人とは思えない。当人も「黒帯?あ~…数年前に師匠から「実力的には黒帯より上」だって。ただ年齢制限があるからまだ取れないけどね。」と、へロリと述べていた。
黒帯より上って…彼、一体どれだけ強いのだ。と言うか、その時に道場に通っていたのを知った。
(現在は育児に専念したいらしく、休養中らしいが)
更には不破さんを怒らせてはならない。
特に怒った状態と言うのを見たことは無いのだけど、ふっと滲み出る何かが彼、不破晃洋さんにはある。それは纏った影のようで、ふとした拍子に覗く何か得体の知れないもので。きっと不破さんは俺の見たことが無い世界に居たことがあるのだろう。普段の身の熟し方も見ていれば分かるが、その手のプロ集団であるクラウディオさん達とつるんでいることが多い事も察することが出来る。
出来ることならば彼の影の部分は知りたくはないし、今後も見たくはないと思っている。
不測の事態で見てしまったら仕方がないと思うが、今のような距離感が俺には丁度いい塩梅なのだろう。
触らぬ神に祟り無しと言うし。
「(正気に返して貰って有難うございます)」
「(おう、良いってことよ!)」
「(店長ちゃんが嵯峨のボウズに気があるようなのは悔しいけどな!)」
あるのかなぁ…初な小林さんだぞ?
「(どう見てもあるじゃろ。そうでなければ落合のボウズ達とダブルデートなんぞせんじゃろうし)」
そう言えばこの人達、一戸君と落合君が店内にいる時にダブルデートの約束をしている場面を見ていたのだった。最も小林さんは「遊びに行く約束」だと思って居るようだったが。
「(小林さんだからなぁ…)」
「(だなぁ)」
「(店長ちゃん、結構天然ちゃんじゃしな)」
「(だが其処が良い)」
俺達が全員でこっそりと頷いている間に不破さん達が何やら小林さんと話しているなと思っていたら、
「んでー小林さん、何あったんだ?」
と言う末明さんの声。
何だ?と思って小林さんの方へ視線を向けると――…
「秘密です」
己の唇に右手の人差し指を一本立て、「内緒」と言う小林さん。
途端ドキンと心臓に矢ではなく槍が突き刺さった様な、変な感覚が!
先程まで俺の周囲に居たおじさん達が一斉に「ぐぉぉぉ」と奇声を上げてカウンター席に突っ伏すわ、俺まで悶に悶えて抑えが効かずに「うう、小林さんその顔!」と言って胸を掻きむしった。
小林さん!
貴方俺達独身αになんて言う蠱惑的な表情を作るのだ!
悶えが止まらなくなるだろう~~!
俺が混乱して威嚇やら牽制やらすれば良いかとグルグルと(パニックに陥って馬鹿な考えをしていた)していたら、カウンター席に居る常連客のおじさん達にあっという間に囲まれた。
このおじさん達、若くは無いが中々どうしてやりおる。
「(馬鹿野郎!威嚇したら店内のαはどうでも良いけど、一般人であるβや可愛いΩちゃん達に迷惑掛けるだろうが!)」
「(え)」
何時の間にか来ていたらしい不破さん(α♂)とその奥方である末明さん(Ω♂)、更には不破さんの友人?追っ掛け?らしい外国人部隊みたいに体格の良いクラウディオさん(α♂)。
その部下のライモンドさん(α♂)、神宮寺代紋(だいもん/α♂)・木村壽人(ひさと/β♂)の三名は店内に入りきれない為、店の外に作られている座席へと注文をしてから移動して居る。
確かにαである俺がβは兎も角(失礼)、混乱して居たとはいえ不破さんの奥方である末明さんに威嚇してはならない。
何故なら確実に報復と言う名の反撃が来るから!
特に末明さんの普段朗らかでやんちゃな表情を消してからの報復は恐ろしいし(不破さんが何かやらかして怒られ、尻に敷かれているのを何度か見たことがある)、彼は細身に見えて体術が一般人とは思えない。当人も「黒帯?あ~…数年前に師匠から「実力的には黒帯より上」だって。ただ年齢制限があるからまだ取れないけどね。」と、へロリと述べていた。
黒帯より上って…彼、一体どれだけ強いのだ。と言うか、その時に道場に通っていたのを知った。
(現在は育児に専念したいらしく、休養中らしいが)
更には不破さんを怒らせてはならない。
特に怒った状態と言うのを見たことは無いのだけど、ふっと滲み出る何かが彼、不破晃洋さんにはある。それは纏った影のようで、ふとした拍子に覗く何か得体の知れないもので。きっと不破さんは俺の見たことが無い世界に居たことがあるのだろう。普段の身の熟し方も見ていれば分かるが、その手のプロ集団であるクラウディオさん達とつるんでいることが多い事も察することが出来る。
出来ることならば彼の影の部分は知りたくはないし、今後も見たくはないと思っている。
不測の事態で見てしまったら仕方がないと思うが、今のような距離感が俺には丁度いい塩梅なのだろう。
触らぬ神に祟り無しと言うし。
「(正気に返して貰って有難うございます)」
「(おう、良いってことよ!)」
「(店長ちゃんが嵯峨のボウズに気があるようなのは悔しいけどな!)」
あるのかなぁ…初な小林さんだぞ?
「(どう見てもあるじゃろ。そうでなければ落合のボウズ達とダブルデートなんぞせんじゃろうし)」
そう言えばこの人達、一戸君と落合君が店内にいる時にダブルデートの約束をしている場面を見ていたのだった。最も小林さんは「遊びに行く約束」だと思って居るようだったが。
「(小林さんだからなぁ…)」
「(だなぁ)」
「(店長ちゃん、結構天然ちゃんじゃしな)」
「(だが其処が良い)」
俺達が全員でこっそりと頷いている間に不破さん達が何やら小林さんと話しているなと思っていたら、
「んでー小林さん、何あったんだ?」
と言う末明さんの声。
何だ?と思って小林さんの方へ視線を向けると――…
「秘密です」
己の唇に右手の人差し指を一本立て、「内緒」と言う小林さん。
途端ドキンと心臓に矢ではなく槍が突き刺さった様な、変な感覚が!
先程まで俺の周囲に居たおじさん達が一斉に「ぐぉぉぉ」と奇声を上げてカウンター席に突っ伏すわ、俺まで悶に悶えて抑えが効かずに「うう、小林さんその顔!」と言って胸を掻きむしった。
小林さん!
貴方俺達独身αになんて言う蠱惑的な表情を作るのだ!
悶えが止まらなくなるだろう~~!
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