7 / 49
07.王子の所有物になってきてるんですが!?
しおりを挟む
「今日はどうするんだい?」
朝食を済ませた後、王子が尋ねてきた。
「そうだなぁ。まずは、この国のことをもっと知りたいと思ってるんだけど……」
「じゃあ、城下町に行ってみるかい?そこなら色んなものがあるから楽しいと思うよ」
「いいね。行ってみたい」
というわけで、俺たちは城下町に向かった。
城を出てしばらく歩いていると、周りは賑やかな街並みになっていた。
「うわぁ、すごい活気だなぁ……」
「ここは王都だからね。いつもたくさんの人で溢れているんだよ」
「へぇ~」
俺は感心しながら辺りを見回した。
「まずはどこに行きたい?」
「うーん、服とか見てみたいかなぁ……」
俺は自分の服装を見ながら言った。今着ているのは、王子から借りた服だ。上質な服だが、サイズが合わないため、不格好なのだ。
サイズの合っていないシャツのせいで肩がずり落ちているし、ズボンも裾を折り曲げている。靴はもともと履いていたビジネスシューズのままで、服装と合っていない。はっきり言ってダサい……。
こんな格好で王子と並んで歩くのも、申し訳ない気持ちになる。
「それなら、あの店なんてどうかな」
王子が指差したのは、小洒落た感じのブティックだった。
「うん、そこにしよう」
中に入ると、店員らしき人が出迎えてくれた。
「これはアルベール王子、いらっしゃいませ。本日はどのようなものをお望みですか?」
「彼に似合うものをいくつか見繕ってくれないかな?」
「かしこまりました」
しばらくすると、店員が何着かの服を持ってきてくれた。
「こちらなどいかがでしょう?」
「ほう……。これはなかなかいいね。ミノルはどうだい?」
俺は渡されたものを見てみた。どれも上品なデザインで、とても良さそうに見える。
「うん、すごくいいと思う」
「よろしければご試着してみてはいかがでしょうか?」
店員が試着室へ案内してくれた。早速一着来てみると、サイズはぴったりだった。
しかし、鏡を見て気が付く。襟が大きめに開いた服のため、首筋の赤い跡が丸見えになっていた。
「ミノル、どうだい?着たら私にも見せてくれ」
王子に外から声をかけられる。どうしよう……このままカーテンを開けたら確実にバレてしまう。でも、断るのも不自然だし……。仕方ない。覚悟を決めよう。
俺は意を決してカーテンを開けて、王子に姿を見せた。王子はその姿を見て満足げに笑った。
「よく似合っているよ」
「そっか……。ありがとう」
俺はつい首筋を手で隠してしまった。
「首元、どうかしたのかい?」
「えっ!?」
しまった、これじゃ余計に目立ってしまった。
「あー、これはその……」
どう言い訳すれば……。考えていると、王子は突然俺の首に手を伸ばして触れてきた。
「ひゃあっ!!」
俺は驚いて飛び上がった。
「ああ、悪い。驚かせちゃったね」
「ほんとだよ……、いきなり触るのは止めろって……」
心臓がドキドキしている。王子は俺の反応を見て楽しんでいる様子だ。くそう……。
「ああ、やっぱりこれか」
王子は俺の首に付いた赤い印を見て納得していた。
「王子が付けたの?」
「ああ、ミノルが寝ている間にね」
そういえば、昨夜魔力を補充されて寝落ちた後、首にチクッと痛みがあった気がする。あれがそうだったのか……。
しかし、なんでわざわざそんなことを……。
「どうしてキスマークを付けたんだ?」
「それはもちろん、私のものだという証を付けておかないとね」
恥ずかしいことを平然と言ってくる。この王子様は何を言っているんだ……。
「それで、君は首元の赤い痕を見て恥ずかしくなったわけだ」
「うるさいなぁ……。分かってるなら聞くなよ」
「ふふ、可愛いね」
王子は楽しげな表情を浮かべていた。
「どうかなさいましたか?」
店員が心配そうな顔で尋ねてくる。
「い、いえ、大丈夫です」
俺は慌てて首筋を隠す。店員は不思議そうな顔をしていたが、すぐに営業スマイルに戻った。
「お客様、よくお似合いですね」
「ああ、どうも……」
こんな場所を見られたりしないだろう、と思っていた朝の俺を殴りたい。まさか、こんなことになるとは……。
「じゃあ、この服を貰おう。あとはこの靴と……」
王子が次々と選んでくれている。嬉しいのだが、大きな問題が一つある。
「あの、俺、お金持ってないんだけど……」
異世界から来た俺は、当然一文無しである。もともと着ていた服や靴を売ったら少しはお金になるかなと考え、そのお金で新しい服を買おうと思っていたのだ。
この店の服はどれも高級そうで、俺の服を売ったくらいの金額じゃとても足りないと思う。
「気にしなくていいよ。私がプレゼントしたいんだ」
「えっ、そんなの悪いよ」
「いや、いいんだよ。私の気持ちだから受け取ってくれ」
「……うう、じゃあ、ありがたくいただきます……」
「ああ、そうしてくれ」
ヒモみたいで申し訳ないが、今の俺にはお金を稼ぐ手段も無いし、王子に頼るしかない。
すでに食事や生活場所も提供してもらっている状態だ。俺は彼に甘えるしかなかった。
会計が終わり、早速王子に買ってもらった洋服一式に着替える。
「服だけじゃなく、靴まで……」
俺は改めて自分が着ている服を見た。全て王子が選んでくれて、買ってもらったものだ。
「ふふ、全身私が選んだ服を着てくれているのは気分がいいな」
王子はニヤリとした笑みを浮かべた。そういえば、男性が服を贈るのは女性を脱がせるためだという話があったな……。いやでも俺は男だし……でも付き合っているのか……でもお試しだし……あああもう!考えるのを止めよう!なんか頭が混乱してきた。
とりあえずとんでもなくダサかったのが、解決したのだ。素直に感謝しよう。うん、そうだ。
俺は気を取り直し、王子にお礼を言う。
「ありがとう。おかげで恥ずかしくなくなったよ」
「ふふ、気に入ってくれたようで良かった」
「うん、本当に嬉しいよ」
こうして、無事に服をゲットすることができた。
朝食を済ませた後、王子が尋ねてきた。
「そうだなぁ。まずは、この国のことをもっと知りたいと思ってるんだけど……」
「じゃあ、城下町に行ってみるかい?そこなら色んなものがあるから楽しいと思うよ」
「いいね。行ってみたい」
というわけで、俺たちは城下町に向かった。
城を出てしばらく歩いていると、周りは賑やかな街並みになっていた。
「うわぁ、すごい活気だなぁ……」
「ここは王都だからね。いつもたくさんの人で溢れているんだよ」
「へぇ~」
俺は感心しながら辺りを見回した。
「まずはどこに行きたい?」
「うーん、服とか見てみたいかなぁ……」
俺は自分の服装を見ながら言った。今着ているのは、王子から借りた服だ。上質な服だが、サイズが合わないため、不格好なのだ。
サイズの合っていないシャツのせいで肩がずり落ちているし、ズボンも裾を折り曲げている。靴はもともと履いていたビジネスシューズのままで、服装と合っていない。はっきり言ってダサい……。
こんな格好で王子と並んで歩くのも、申し訳ない気持ちになる。
「それなら、あの店なんてどうかな」
王子が指差したのは、小洒落た感じのブティックだった。
「うん、そこにしよう」
中に入ると、店員らしき人が出迎えてくれた。
「これはアルベール王子、いらっしゃいませ。本日はどのようなものをお望みですか?」
「彼に似合うものをいくつか見繕ってくれないかな?」
「かしこまりました」
しばらくすると、店員が何着かの服を持ってきてくれた。
「こちらなどいかがでしょう?」
「ほう……。これはなかなかいいね。ミノルはどうだい?」
俺は渡されたものを見てみた。どれも上品なデザインで、とても良さそうに見える。
「うん、すごくいいと思う」
「よろしければご試着してみてはいかがでしょうか?」
店員が試着室へ案内してくれた。早速一着来てみると、サイズはぴったりだった。
しかし、鏡を見て気が付く。襟が大きめに開いた服のため、首筋の赤い跡が丸見えになっていた。
「ミノル、どうだい?着たら私にも見せてくれ」
王子に外から声をかけられる。どうしよう……このままカーテンを開けたら確実にバレてしまう。でも、断るのも不自然だし……。仕方ない。覚悟を決めよう。
俺は意を決してカーテンを開けて、王子に姿を見せた。王子はその姿を見て満足げに笑った。
「よく似合っているよ」
「そっか……。ありがとう」
俺はつい首筋を手で隠してしまった。
「首元、どうかしたのかい?」
「えっ!?」
しまった、これじゃ余計に目立ってしまった。
「あー、これはその……」
どう言い訳すれば……。考えていると、王子は突然俺の首に手を伸ばして触れてきた。
「ひゃあっ!!」
俺は驚いて飛び上がった。
「ああ、悪い。驚かせちゃったね」
「ほんとだよ……、いきなり触るのは止めろって……」
心臓がドキドキしている。王子は俺の反応を見て楽しんでいる様子だ。くそう……。
「ああ、やっぱりこれか」
王子は俺の首に付いた赤い印を見て納得していた。
「王子が付けたの?」
「ああ、ミノルが寝ている間にね」
そういえば、昨夜魔力を補充されて寝落ちた後、首にチクッと痛みがあった気がする。あれがそうだったのか……。
しかし、なんでわざわざそんなことを……。
「どうしてキスマークを付けたんだ?」
「それはもちろん、私のものだという証を付けておかないとね」
恥ずかしいことを平然と言ってくる。この王子様は何を言っているんだ……。
「それで、君は首元の赤い痕を見て恥ずかしくなったわけだ」
「うるさいなぁ……。分かってるなら聞くなよ」
「ふふ、可愛いね」
王子は楽しげな表情を浮かべていた。
「どうかなさいましたか?」
店員が心配そうな顔で尋ねてくる。
「い、いえ、大丈夫です」
俺は慌てて首筋を隠す。店員は不思議そうな顔をしていたが、すぐに営業スマイルに戻った。
「お客様、よくお似合いですね」
「ああ、どうも……」
こんな場所を見られたりしないだろう、と思っていた朝の俺を殴りたい。まさか、こんなことになるとは……。
「じゃあ、この服を貰おう。あとはこの靴と……」
王子が次々と選んでくれている。嬉しいのだが、大きな問題が一つある。
「あの、俺、お金持ってないんだけど……」
異世界から来た俺は、当然一文無しである。もともと着ていた服や靴を売ったら少しはお金になるかなと考え、そのお金で新しい服を買おうと思っていたのだ。
この店の服はどれも高級そうで、俺の服を売ったくらいの金額じゃとても足りないと思う。
「気にしなくていいよ。私がプレゼントしたいんだ」
「えっ、そんなの悪いよ」
「いや、いいんだよ。私の気持ちだから受け取ってくれ」
「……うう、じゃあ、ありがたくいただきます……」
「ああ、そうしてくれ」
ヒモみたいで申し訳ないが、今の俺にはお金を稼ぐ手段も無いし、王子に頼るしかない。
すでに食事や生活場所も提供してもらっている状態だ。俺は彼に甘えるしかなかった。
会計が終わり、早速王子に買ってもらった洋服一式に着替える。
「服だけじゃなく、靴まで……」
俺は改めて自分が着ている服を見た。全て王子が選んでくれて、買ってもらったものだ。
「ふふ、全身私が選んだ服を着てくれているのは気分がいいな」
王子はニヤリとした笑みを浮かべた。そういえば、男性が服を贈るのは女性を脱がせるためだという話があったな……。いやでも俺は男だし……でも付き合っているのか……でもお試しだし……あああもう!考えるのを止めよう!なんか頭が混乱してきた。
とりあえずとんでもなくダサかったのが、解決したのだ。素直に感謝しよう。うん、そうだ。
俺は気を取り直し、王子にお礼を言う。
「ありがとう。おかげで恥ずかしくなくなったよ」
「ふふ、気に入ってくれたようで良かった」
「うん、本当に嬉しいよ」
こうして、無事に服をゲットすることができた。
26
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。
かざみはら まなか
BL
24歳の英雄公爵✕29歳の日本に帰りたい異世界転移した青年
魔王に転生したら幼馴染が勇者になって僕を倒しに来ました。
なつか
BL
ある日、目を開けると魔王になっていた。
この世界の魔王は必ずいつか勇者に倒されるらしい。でも、争いごとは嫌いだし、平和に暮らしたい!
そう思って魔界作りをがんばっていたのに、突然やってきた勇者にあっさりと敗北。
死ぬ直前に過去を思い出して、勇者が大好きだった幼馴染だったことに気が付いたけど、もうどうしようもない。
次、生まれ変わるとしたらもう魔王は嫌だな、と思いながら再び目を覚ますと、なぜかベッドにつながれていた――。
6話完結の短編です。前半は受けの魔王視点。後半は攻めの勇者視点。
性描写は最終話のみに入ります。
※注意
・攻めは過去に女性と関係を持っていますが、詳細な描写はありません。
・多少の流血表現があるため、「残酷な描写あり」タグを保険としてつけています。
【完】心配性は異世界で番認定された狼獣人に甘やかされる
おはぎ
BL
起きるとそこは見覚えのない場所。死んだ瞬間を思い出して呆然としている優人に、騎士らしき人たちが声を掛けてくる。何で頭に獣耳…?とポカンとしていると、その中の狼獣人のカイラが何故か優しくて、ぴったり身体をくっつけてくる。何でそんなに気遣ってくれるの?と分からない優人は大きな身体に怯えながら何とかこの別世界で生きていこうとする話。
知らない世界に来てあれこれ考えては心配してしまう優人と、優人が可愛くて仕方ないカイラが溺愛しながら支えて甘やかしていきます。
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる