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03「もう、こうするしかないんだ」
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部屋に戻った途端、王子が勢いよく僕に飛びついてきた。
「ちょっ、王子!?」
そのまま押し倒されるような形でベッドに倒れ込んだ僕は、慌てて抵抗を試みる。しかし、相手は毎日身体を鍛えている王子。力の差がありすぎてびくともしなかった。
「王子!放してください!誰かに見られたらますます誤解されてしまいます……!」
必死に訴えるが、全く聞き入れてもらえなかった。それどころか、さらに強い力で抱きしめられる。
「王子!王子ってば!」
「……うるさい」
ようやく発せられた言葉は、とても冷たいものだった。あまりの声の低さに一瞬ビクッとする。
「ど、どうして……」
思わず涙が出そうになったが、なんとか堪えて再び説得を試みた。
「王子、お願いですから話を聞いてくださ……」
「もう、こうするしかないんだ」
「……え」
思い詰めたような声でそう言ったかと思うと、彼は突然僕の服の中に手を入れてきた。
「ちょっ!?何やってるんですか!?」
驚いて暴れるが、彼は気にせず手を動かし続けている。やがて胸元までたどり着いたところで、今度は突起をつまんできた。
「ひあっ!?」
今まで感じたことの無い刺激に、僕は思わず高い声を上げてしまう。すると、それを聞いた彼がニヤリとした表情を浮かべた。
「へぇ……ここ弱いんだ?」
「ち、違います!今のはただ驚いただけで……」
必死に否定するも、彼は聞く耳を持たないようだ。指先でコロコロと転がしたり、軽く引っ掻いたりしてくる。その度に僕の口からは甘い吐息が漏れていった。
「んん……ふぅ……んぁ……」
自分のものとは思えないような声が、静かな部屋に響き渡る。
「ん……はぁ……やめて……くださ……あっ……」
しばらく弄られたあと、ようやく解放された。
やっと息を整えられると思ったのも、束の間。
「ルセット、次はこっちだ」
そう言うと、彼は僕の下半身に手を伸ばしてきたのだ。
「えっ!?待っ……」
制止しようとした時には既に遅く、下着ごとズボンを脱がされてしまう。
「やっ……何を……」
恥ずかしさのあまり、顔が一気に熱くなった。
そんな僕をよそに、彼は強引に脚を開くと、その間に顔を近づけてくる。
「うわぁ!?ちょっと!ふざけるのもいい加減にしてください!」
「ぐあぁ!?」
僕は力いっぱい彼を突き飛ばし、急いで服を着直した。
「まったく!一体どういうつもりなんですか!」
「いてて……何も突き飛ばすことないじゃないか」
「王子が悪いんですよ!いったい何なんですか!何か不満があるならちゃんと言ってくれないとわからないです!」
「いや、不満というか……だからその……」
「もう、限界です……!」
僕は王子をキッと見据えながら言う。
「ランヴェルセ王子!今日こそ貴方様から逃げさせていただきます!」
そう叫ぶと、勢いよく扉を開けて部屋を飛び出した。
「ま、待ってくれ!ルセット!俺が悪かった……!」
後ろの方で王子の声が聞こえたが、無視をして走り続ける。気が付くと、城の外まで出ていた。
――そして、冒頭に戻るというわけだ。
***
「もう!思い出したらまた腹が立ってきたぞ!」
歩きながら過去を思い返していた僕は、怒りに任せて石ころを思いっきり蹴飛ばす。
「うわっ!?」
その拍子にバランスが崩れ、僕は地面に尻もちをついてしまった。
「痛たたたた……はぁ……何をやってるんだ僕は……」
転んだ痛みで冷静になった僕は立ち上がり、ゆっくりと歩き出す。
突然逃げ出したりして、王子は怒っているだろうか。でも、あれは王子も悪いはずだ。あんなことをされたら、誰だって逃げ出すだろう。
しかし、どうして王子は僕なんかに構うんだろうか。そんな疑問が頭に浮かんだ。
王子の周りには、素敵な人がたくさんいるはずなのに。もしかしたら王子は、僕がずっと一緒にいるせいで他の人に目を向けられていないのではないか。
それならば、今回僕が逃げ出したのは、良かったことなのかもしれない。
「王子には、王子に相応しい素敵な人と結ばれて欲しいな」
そうポツリと呟いた瞬間、なぜか胸の奥がチクッと痛んだ。
(あれ……なんだこれ……?)
初めての感情に戸惑ってしまう。
「おや、君はランヴェルセ王子の従者ではないか?」
その時、突然背後から声をかけられた。
「えっと……どちらさまでしょうか?」
突然話しかけられて動揺する僕に、男は続けて言った。
「失礼、私は魔術師のムラングというものだ。以前城で働いていたことがあってね」
「そうだったんですね。僕は従者のルセットです」
名乗られたのでとりあえず僕も答えてみたが、なんだか胡散臭そうな気がする。警戒しながら様子を見ていると、彼は僕に近づいてきた。
「実は君に頼みたいことがあるのだが……」
「頼み……ですか?」
「ああ、そうだ。どうか私の願いを聞いてはくれまいか?」
男は手を差し出しながら言ってくる。
「えっと……」
どうすればいいか分からず迷っていると、いきなり腕を掴まれた。
「え?あの……」
男はそのままぶつぶつと何か呪文のようなものを呟き始める。すると、突然目の前が真っ暗になってきた。どうやら意識が薄れてきているようだ。
(これはまずい……早くこの場から離れないと……)
なんとか逃げようとするものの、身体が思うように動かない。やがて完全に視界が奪われると、僕はそのまま倒れ込んだ。
「ククク……おやすみ、可愛い子猫ちゃん」
最後に聞いた言葉の意味を理解する間もなく、僕の意識は闇へと落ちていった。
「ちょっ、王子!?」
そのまま押し倒されるような形でベッドに倒れ込んだ僕は、慌てて抵抗を試みる。しかし、相手は毎日身体を鍛えている王子。力の差がありすぎてびくともしなかった。
「王子!放してください!誰かに見られたらますます誤解されてしまいます……!」
必死に訴えるが、全く聞き入れてもらえなかった。それどころか、さらに強い力で抱きしめられる。
「王子!王子ってば!」
「……うるさい」
ようやく発せられた言葉は、とても冷たいものだった。あまりの声の低さに一瞬ビクッとする。
「ど、どうして……」
思わず涙が出そうになったが、なんとか堪えて再び説得を試みた。
「王子、お願いですから話を聞いてくださ……」
「もう、こうするしかないんだ」
「……え」
思い詰めたような声でそう言ったかと思うと、彼は突然僕の服の中に手を入れてきた。
「ちょっ!?何やってるんですか!?」
驚いて暴れるが、彼は気にせず手を動かし続けている。やがて胸元までたどり着いたところで、今度は突起をつまんできた。
「ひあっ!?」
今まで感じたことの無い刺激に、僕は思わず高い声を上げてしまう。すると、それを聞いた彼がニヤリとした表情を浮かべた。
「へぇ……ここ弱いんだ?」
「ち、違います!今のはただ驚いただけで……」
必死に否定するも、彼は聞く耳を持たないようだ。指先でコロコロと転がしたり、軽く引っ掻いたりしてくる。その度に僕の口からは甘い吐息が漏れていった。
「んん……ふぅ……んぁ……」
自分のものとは思えないような声が、静かな部屋に響き渡る。
「ん……はぁ……やめて……くださ……あっ……」
しばらく弄られたあと、ようやく解放された。
やっと息を整えられると思ったのも、束の間。
「ルセット、次はこっちだ」
そう言うと、彼は僕の下半身に手を伸ばしてきたのだ。
「えっ!?待っ……」
制止しようとした時には既に遅く、下着ごとズボンを脱がされてしまう。
「やっ……何を……」
恥ずかしさのあまり、顔が一気に熱くなった。
そんな僕をよそに、彼は強引に脚を開くと、その間に顔を近づけてくる。
「うわぁ!?ちょっと!ふざけるのもいい加減にしてください!」
「ぐあぁ!?」
僕は力いっぱい彼を突き飛ばし、急いで服を着直した。
「まったく!一体どういうつもりなんですか!」
「いてて……何も突き飛ばすことないじゃないか」
「王子が悪いんですよ!いったい何なんですか!何か不満があるならちゃんと言ってくれないとわからないです!」
「いや、不満というか……だからその……」
「もう、限界です……!」
僕は王子をキッと見据えながら言う。
「ランヴェルセ王子!今日こそ貴方様から逃げさせていただきます!」
そう叫ぶと、勢いよく扉を開けて部屋を飛び出した。
「ま、待ってくれ!ルセット!俺が悪かった……!」
後ろの方で王子の声が聞こえたが、無視をして走り続ける。気が付くと、城の外まで出ていた。
――そして、冒頭に戻るというわけだ。
***
「もう!思い出したらまた腹が立ってきたぞ!」
歩きながら過去を思い返していた僕は、怒りに任せて石ころを思いっきり蹴飛ばす。
「うわっ!?」
その拍子にバランスが崩れ、僕は地面に尻もちをついてしまった。
「痛たたたた……はぁ……何をやってるんだ僕は……」
転んだ痛みで冷静になった僕は立ち上がり、ゆっくりと歩き出す。
突然逃げ出したりして、王子は怒っているだろうか。でも、あれは王子も悪いはずだ。あんなことをされたら、誰だって逃げ出すだろう。
しかし、どうして王子は僕なんかに構うんだろうか。そんな疑問が頭に浮かんだ。
王子の周りには、素敵な人がたくさんいるはずなのに。もしかしたら王子は、僕がずっと一緒にいるせいで他の人に目を向けられていないのではないか。
それならば、今回僕が逃げ出したのは、良かったことなのかもしれない。
「王子には、王子に相応しい素敵な人と結ばれて欲しいな」
そうポツリと呟いた瞬間、なぜか胸の奥がチクッと痛んだ。
(あれ……なんだこれ……?)
初めての感情に戸惑ってしまう。
「おや、君はランヴェルセ王子の従者ではないか?」
その時、突然背後から声をかけられた。
「えっと……どちらさまでしょうか?」
突然話しかけられて動揺する僕に、男は続けて言った。
「失礼、私は魔術師のムラングというものだ。以前城で働いていたことがあってね」
「そうだったんですね。僕は従者のルセットです」
名乗られたのでとりあえず僕も答えてみたが、なんだか胡散臭そうな気がする。警戒しながら様子を見ていると、彼は僕に近づいてきた。
「実は君に頼みたいことがあるのだが……」
「頼み……ですか?」
「ああ、そうだ。どうか私の願いを聞いてはくれまいか?」
男は手を差し出しながら言ってくる。
「えっと……」
どうすればいいか分からず迷っていると、いきなり腕を掴まれた。
「え?あの……」
男はそのままぶつぶつと何か呪文のようなものを呟き始める。すると、突然目の前が真っ暗になってきた。どうやら意識が薄れてきているようだ。
(これはまずい……早くこの場から離れないと……)
なんとか逃げようとするものの、身体が思うように動かない。やがて完全に視界が奪われると、僕はそのまま倒れ込んだ。
「ククク……おやすみ、可愛い子猫ちゃん」
最後に聞いた言葉の意味を理解する間もなく、僕の意識は闇へと落ちていった。
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