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第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件
93. カラス
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僕《しもべ》である黒猫のネロと馬のノアールを連れて、リヒトとサラと一緒に森を散歩する。
二人には、ただの散歩と言ってあるが、私の本当の目的は三体目の僕の確保だ。
目指すは空、空を飛べる鳥、具体的にはカラスだ。
他の鳥でもいいが、闇魔法を使って僕にしようとすれば、結局黒くなってしまう。
それなら、最初から黒いカラスの方はいいだろう。カラスは賢いとも聞くし。
森を散歩していると都合が良いことにすぐに木の枝に止まったカラスを発見した。
だが、相手は木の上だ、簡単には捕まえられそうにない。しかし、それは、想定内だ。
「ジャァーン! 撒き餌」
私は、予め用意していたカラスの餌を懐から取り出し、それを撒き始めた。
「急にどうしたんだ? ああ、カラスの餌か」
「これでカラスを捕まえますわ」
「カラスなんて捕まえてどうするんだ?」
「勿論、僕にしますわ。僕三号ですわ」
「僕一号は私ですよ」
サラがまた何か言っているが無視だ。
「でもどうやって捕まえる気だ。近付けば逃げるだろう」
リヒトも慣れてきたのかサラのことは気にしないようだ。
「それはもちろん僕二号に任せますわ。ネロ、君に決めた! あのカラスを捕まえなさい」
「ニャー」
黒猫のネロは、私の命令に従ってカラスに飛びかか……らなかった。
ひと声鳴いてから少し離れて丸くなって昼寝を始めた。
「プッ! よく躾けられた僕だな」
「クッ! こんなはずでは。猫は気まぐれなだけよ!」
ネロは僕にしてまだ日が浅いし仕方がない。
「私の僕はネロだけではないわ」
「はい、はい! 次は私ですね」
「ノアール、任せたぞ! あのカラスを捕まえなさい」
「ヒヒーン」
馬のノアールは大きく嘶くと、カラスに向けて走り出した。
流石僕一号。長年仕込んだだけはある。
ノアールが駆け寄ると、カラスは飛び立ってしまった。そして、飛びながらノアールの背中を突き出した。
くそう! ノアールの足蹴りも、噛みつき攻撃も届かない死角を狙うとは、カラスめ、なかなかやるな。
「苦戦しているようだが大丈夫か?」
「ヒッ、ヒヒン」
「クッ! ノアール戻れ」
私はノアールを撤退させる。
カラスは何事もなかったように地上に降りると、また餌を啄み始めた。
「クソー。人をおちょくりやがって!」
「おい、おい。令嬢らしからぬ言葉を使ってるぞ」
「オホホホホ。リヒト兄様、私何か言いましたか?」
「笑いながら、こっちを睨むな。それより、あっちが何か期待しているぞ」
実は、ずっと無視しているが、サラが期待を込めた目でこちらを見ながら「次は私ですね。次は私ですね」と繰り返していた。
「はぁー。仕方ないですね。サラ。やってしまいなさい!」
「お任せください!」
言うが早いか、サラがすかさず飛び出した。そして、カラスを抑え込んだ。
「お嬢様、捕まえました」
「おお、流石サラ、素早いわね」
「動きが見えなかったぞ。本当にメイドか?」
だが、カラスは捕まえられながらも、サラの手を嘴で突いていた。血が盛大に出ているが、サラは大丈夫なのか?
その後、カラスには闇魔法をかけて、おとなしく寝てもらった。
僕三号ゲットだぜ。
二人には、ただの散歩と言ってあるが、私の本当の目的は三体目の僕の確保だ。
目指すは空、空を飛べる鳥、具体的にはカラスだ。
他の鳥でもいいが、闇魔法を使って僕にしようとすれば、結局黒くなってしまう。
それなら、最初から黒いカラスの方はいいだろう。カラスは賢いとも聞くし。
森を散歩していると都合が良いことにすぐに木の枝に止まったカラスを発見した。
だが、相手は木の上だ、簡単には捕まえられそうにない。しかし、それは、想定内だ。
「ジャァーン! 撒き餌」
私は、予め用意していたカラスの餌を懐から取り出し、それを撒き始めた。
「急にどうしたんだ? ああ、カラスの餌か」
「これでカラスを捕まえますわ」
「カラスなんて捕まえてどうするんだ?」
「勿論、僕にしますわ。僕三号ですわ」
「僕一号は私ですよ」
サラがまた何か言っているが無視だ。
「でもどうやって捕まえる気だ。近付けば逃げるだろう」
リヒトも慣れてきたのかサラのことは気にしないようだ。
「それはもちろん僕二号に任せますわ。ネロ、君に決めた! あのカラスを捕まえなさい」
「ニャー」
黒猫のネロは、私の命令に従ってカラスに飛びかか……らなかった。
ひと声鳴いてから少し離れて丸くなって昼寝を始めた。
「プッ! よく躾けられた僕だな」
「クッ! こんなはずでは。猫は気まぐれなだけよ!」
ネロは僕にしてまだ日が浅いし仕方がない。
「私の僕はネロだけではないわ」
「はい、はい! 次は私ですね」
「ノアール、任せたぞ! あのカラスを捕まえなさい」
「ヒヒーン」
馬のノアールは大きく嘶くと、カラスに向けて走り出した。
流石僕一号。長年仕込んだだけはある。
ノアールが駆け寄ると、カラスは飛び立ってしまった。そして、飛びながらノアールの背中を突き出した。
くそう! ノアールの足蹴りも、噛みつき攻撃も届かない死角を狙うとは、カラスめ、なかなかやるな。
「苦戦しているようだが大丈夫か?」
「ヒッ、ヒヒン」
「クッ! ノアール戻れ」
私はノアールを撤退させる。
カラスは何事もなかったように地上に降りると、また餌を啄み始めた。
「クソー。人をおちょくりやがって!」
「おい、おい。令嬢らしからぬ言葉を使ってるぞ」
「オホホホホ。リヒト兄様、私何か言いましたか?」
「笑いながら、こっちを睨むな。それより、あっちが何か期待しているぞ」
実は、ずっと無視しているが、サラが期待を込めた目でこちらを見ながら「次は私ですね。次は私ですね」と繰り返していた。
「はぁー。仕方ないですね。サラ。やってしまいなさい!」
「お任せください!」
言うが早いか、サラがすかさず飛び出した。そして、カラスを抑え込んだ。
「お嬢様、捕まえました」
「おお、流石サラ、素早いわね」
「動きが見えなかったぞ。本当にメイドか?」
だが、カラスは捕まえられながらも、サラの手を嘴で突いていた。血が盛大に出ているが、サラは大丈夫なのか?
その後、カラスには闇魔法をかけて、おとなしく寝てもらった。
僕三号ゲットだぜ。
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