95 / 118
第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件
94. クロウ
しおりを挟む
(リヒト視点)
マリーと一緒に散歩に出たら、マリーがカラスを捕まえた。最初からそれが目的だったようで、僕《しもべ》にするのだということだ。
クロウという名前を付けて可愛がっている。
しかし、闇魔法というのは動物を操る魔法もあるのだろうか? もしかして、人間も操れる?
少し気になったので、マリーに直接聞いてみることにした。
「マリー、そのカラスを大人しくしているのは、闇魔法だよな。人間にも効くのか?」
「えっ! や、や、闇魔法? なんのことですの?」
いくら何でも動揺し過ぎだろう。俺が、マリーが闇魔法を使えるのを知らないと思っているようだ。
「これは、秘孔を突いて眠らせているだけですわ」
闇魔法のこと俺には隠すつもりだな。それならと、俺は少しマリーをからかってやることにした。
「秘孔ね……。どこで習ったんだ、そんなこと?」
「それは……。秘伝ですから秘密ですわ」
「そんなこと言わずに、俺にも教えてくれよ」
「無理なものは無理ですわ」
まあ、魔法は俺には使えないからな。教わっても無理だな。
「そんなことより、どうです。だいぶ慣れたでしょ」
そう言って、マリーはクロウを右肩に乗せた。
すると、さっきまで床に寝ていた黒猫のネロが起き上がり、マリーの左肩に乗った。
「え、ちょっと。ネロ、両肩は重い」
「ノアールがいなくて良かったな。いれば押し潰されていたところだぞ」
「うー」
「こら、二匹とも退きなさい。そこは私の場所です」
ネロとクロウを払い除け、メイドのサラがマリーの首にしがみ付いた。
「ぐぇっ! く、首が……」
「あー。第一の僕がいたか。ははは」
サラに首を絞められているマリーをみて俺は笑い声をあげる。なんとも和やかなものである。今までの生活からは考えられないな。
「笑い事じゃないわよ。サラ、首が苦しい」
「あっ。すみません、お嬢様」
「楽しそうでいいわねぇ」
いつもゴロゴロしている侍女のララエルが、珍しくそばにやって来た。
「ララエルも抱き付いたらどうだ?」
「私は遠慮しておくわ。それより、本当はリヒト様がマリー様に抱き付きたいんじゃないの?」
「そ、そんなことない!」
「あぁー。赤くなった。あやしぃー」
ララエルをからかうつもりが、逆にからかわれてしまった。
「あら、二人は随分仲良くなったのね」
「「そんなことないから!」」
「息もぴったりね」
二人同時に怒鳴り返したので、マリーはビックリして、俺とララエルの顔を見比べていた。
マリーと一緒に散歩に出たら、マリーがカラスを捕まえた。最初からそれが目的だったようで、僕《しもべ》にするのだということだ。
クロウという名前を付けて可愛がっている。
しかし、闇魔法というのは動物を操る魔法もあるのだろうか? もしかして、人間も操れる?
少し気になったので、マリーに直接聞いてみることにした。
「マリー、そのカラスを大人しくしているのは、闇魔法だよな。人間にも効くのか?」
「えっ! や、や、闇魔法? なんのことですの?」
いくら何でも動揺し過ぎだろう。俺が、マリーが闇魔法を使えるのを知らないと思っているようだ。
「これは、秘孔を突いて眠らせているだけですわ」
闇魔法のこと俺には隠すつもりだな。それならと、俺は少しマリーをからかってやることにした。
「秘孔ね……。どこで習ったんだ、そんなこと?」
「それは……。秘伝ですから秘密ですわ」
「そんなこと言わずに、俺にも教えてくれよ」
「無理なものは無理ですわ」
まあ、魔法は俺には使えないからな。教わっても無理だな。
「そんなことより、どうです。だいぶ慣れたでしょ」
そう言って、マリーはクロウを右肩に乗せた。
すると、さっきまで床に寝ていた黒猫のネロが起き上がり、マリーの左肩に乗った。
「え、ちょっと。ネロ、両肩は重い」
「ノアールがいなくて良かったな。いれば押し潰されていたところだぞ」
「うー」
「こら、二匹とも退きなさい。そこは私の場所です」
ネロとクロウを払い除け、メイドのサラがマリーの首にしがみ付いた。
「ぐぇっ! く、首が……」
「あー。第一の僕がいたか。ははは」
サラに首を絞められているマリーをみて俺は笑い声をあげる。なんとも和やかなものである。今までの生活からは考えられないな。
「笑い事じゃないわよ。サラ、首が苦しい」
「あっ。すみません、お嬢様」
「楽しそうでいいわねぇ」
いつもゴロゴロしている侍女のララエルが、珍しくそばにやって来た。
「ララエルも抱き付いたらどうだ?」
「私は遠慮しておくわ。それより、本当はリヒト様がマリー様に抱き付きたいんじゃないの?」
「そ、そんなことない!」
「あぁー。赤くなった。あやしぃー」
ララエルをからかうつもりが、逆にからかわれてしまった。
「あら、二人は随分仲良くなったのね」
「「そんなことないから!」」
「息もぴったりね」
二人同時に怒鳴り返したので、マリーはビックリして、俺とララエルの顔を見比べていた。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
筋トレ民が魔法だらけの異世界に転移した結果
kuron
ファンタジー
いつもの様にジムでトレーニングに励む主人公。
自身の記録を更新した直後に目の前が真っ白になる、そして気づいた時には異世界転移していた。
魔法の世界で魔力無しチート無し?己の身体(筋肉)を駆使して異世界を生き残れ!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
婚約破棄された悪役令嬢ですが、闇魔法を手に聖女に復讐します
ごぶーまる
ファンタジー
突然身に覚えのない罪で、皇太子との婚約を破棄されてしまったアリシア。皇太子は、アリシアに嫌がらせをされたという、聖女マリアとの婚約を代わりに発表。
マリアが裏で手を引いたに違いないと判断したアリシアは、持ち前の闇魔法を使い、マリアへの報復を決意するが……?
読み切り短編です
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
鑑定能力で恩を返す
KBT
ファンタジー
どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。
彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。
そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。
この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。
帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。
そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。
そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
アイスさんの転生記 ~貴族になってしまった~
うしのまるやき
ファンタジー
郡元康(こおり、もとやす)は、齢45にしてアマデウス神という創造神の一柱に誘われ、アイスという冒険者に転生した。転生後に猫のマーブル、ウサギのジェミニ、スライムのライムを仲間にして冒険者として活躍していたが、1年もしないうちに再びアマデウス神に迎えられ2度目の転生をすることになった。
今回は、一市民ではなく貴族の息子としての転生となるが、転生の条件としてアイスはマーブル達と一緒に過ごすことを条件に出し、神々にその条件を呑ませることに成功する。
さて、今回のアイスの人生はどのようになっていくのか?
地味にフリーダムな主人公、ちょっとしたモフモフありの転生記。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】
一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。
追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。
無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。
そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード!
異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。
【諸注意】
以前投稿した同名の短編の連載版になります。
連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。
なんでも大丈夫な方向けです。
小説の形をしていないので、読む人を選びます。
以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。
disりに見えてしまう表現があります。
以上の点から気分を害されても責任は負えません。
閲覧は自己責任でお願いします。
小説家になろう、pixivでも投稿しています。
異世界に来たようですが何も分かりません ~【買い物履歴】スキルでぼちぼち生活しています~
ぱつきんすきー
ファンタジー
突然「神」により異世界転移させられたワタシ
以前の記憶と知識をなくし、右も左も分からないワタシ
唯一の武器【買い物履歴】スキルを利用して異世界でぼちぼち生活
かつてオッサンだった少女による、異世界生活のおはなし
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
だいたい全部、聖女のせい。
荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」
異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。
いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。
すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。
これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる