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063 収納魔法の謎

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「運動も出来ずに食うばかりだったから、胃に負担が……。
 しかも多少太ったかもしれん……。辛い…………」
「う~ん、薬は持ってないんだよな。悪魔でも呼んで治療する?」
「そこまでは必要無い……。今、ザックが薬を買いに行っている……。
 他人事のように言ってるが、お前のせいなんだがな…………」
「いやいや、計画したのはオリアスだから」
「お前の使役している悪魔だろ……。実行を決めたのもお前だし…………」

王太子は苦しそうだ!

リョーは部外者っぽく振る舞った!

だが、逃げられない!

リョーは責任転嫁した!

だが、逃げられない!

「ま、まあ、ある一家を救ったと思えば良いじゃないか。
 それに地方の活性化にも繋がったぞ? 国も繁栄する。やったね!!」
「今度は聖者様を審査員に任命しよう……」
「それは勘弁! ほら、落ち着いて。そ、そうだ、親子丼食べる?」
「食う訳ないだろ! さすがの俺もイラっとしてきた……」

リョーはメリットを話した!

だが、回り込まれた!

リョーはワイロを出した!

だが、逆上された!

しかし、ここで援軍が現れた!

「ねぇ。ずっと気になってたんだけど、その収納する魔法ってどうなってるの?」
「どう、とは?」
「収納すれば時間も経過しない。今の所、収納数の上限も見えない。
 出したい物を考えれば、間違い無く取り出せる。どういう仕組み?」
「……異次元?」
「何で疑問形なのよ」
「だって知らないから。神様に付与された物だからねぇ」

説明を求められても困る。
魔法自体よく判ってないのに、インベントリの事なんか知らないに決まってるだろ?
ラノベにある設定を話しておけば良いか?

「多分異次元に空間があって、そこに収納されるんだよ。
 その中は時間が止まっているから入れた物が劣化しないんだ。
 俺の思考とリンクしてるから、出したい物が選べて出せるんだ。
 ……えっ? 思考とリンクって怖くない?!」
「自分で言って怖くならないでよ……。
 で、それは本当なの?」
「そんなもんらしいよ? 俺の世界の文献で読んだ」

文献と言ってもラノベだが。
色々なラノベのインベントリとかアイテムボックスとかの説明を足してみた。
しかし、納得していないようだ。
まぁ、俺も言ってて理解出来てないけど。

丁度その時、アイザックさんが帰ってきた。
手には籠。その中には小さい瓶が何本か入っている。

「お待たせしました。薬を買ってきました」
「おお、助かる……」
「緑色の物が胃薬です。すぐに治したいならポーションが良いと言われたので、ポーションも買ってきました。
 5本買えばおまけで毒消しをプレゼントと言われたので、MP回復薬等も買いました」

……アイザックさん、買い物ヘタなのね。
まぁ、良いか。使わないのはインベントリに仕舞っておこう。
瓶だから、持ち歩くには不便だしね。
冒険者の人達は、瓶なのにどうやって持ち歩いているのだろう?

王太子はポーションを使ってすぐに治療した。
余った物は籠ごとインベントリに仕舞う。

「ほら、それ」
「どれ?」
「籠に薬を入れたまま収納したでしょ?
 なのに籠に入っていた薬だけを選んで出す事が出来るって、変じゃない?」

そう言われれば確かに。
入れた物が自動的に分類されている。どうなってんの?

「よし!」
「な、何?」
「困った時は、青色の猫型ロボット、いや違う、悪魔を呼んで聞けば良い!」
「本当に悪魔頼りね。少しは自分で考えないとダメ人間になるわよ?」
「止めろ! 俺はメガネかけた射撃の上手い子供じゃないぞ!!」
「何を言ってるのか、さっぱり判らないわ……」

良いんだよ! 地球でも同じ事で、悪魔を呼ぶかスマホで調べるかの違いなだけだ!

さて、誰を呼ぶかな。
やっぱり賢いのが良いよね。
ついでに言えば、呼んでない悪魔が良いかな?
ほら、やっぱり色んなのを呼びたいじゃない。

よし、今回はアロケスを呼ぼう!
アロケスの能力は『学問の基礎を教える、軍団が呼べる』だから丁度良いでしょ。
問題は、姿だけどな。
『馬に乗った顔が獅子の兵士(男)』って馬に乗って部屋に出現するのか? 邪魔だぞ?

しかし、悪魔って獅子の顔が好きだな!
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