もう一人のオレがみんな美少女で家に住みついてますが何か

第四話 箱入り系動画配信者 2

　奈津美さんの紅いプリウスのナビシートから、サングラスをかけて粋っているのを見て、どうしようか迷っている。

　後部座席ではやたらとソワソワしている実瑠が、今回のゲストに関して萌香に話し始めて、それが裏実瑠だと俺はわかった。

　萌香もそれに応じているのが真剣過ぎても、今はなりに任せることにして、アッチもコッチもそっとしておこうと思う。
　
　駅からはそう離れていないので、ものの五分とかかること無く安全走行でロータリーに進入して、実瑠がアレだと反応する。

　タックスィーの皆様にはちょいと失礼して、ニュルニュルと当人の前に躍り出ると、実瑠の迅速な対応で一度出て中に乗せる。

　萌香と実瑠で挟むように乗ると、空腹感を推し出して食事を無言で要求しては、目線を落として実瑠を視ると縮こまる。

　それを見て実瑠はきっと何も食べて無いかもと、俺に緊急性を訴えるように見てくるので、俺は奈津美さんに交渉してみた。

　既に食事を済ませて来た俺達だが、奈津美さんはゲストの箱入りJKに何が食べたいかを聞いてみたが、黙り込んだままでいる。

　箱入りともなれば親が厳しいどころでは無く、強く責めさえすれば面目が立つと、極端な勘違いをしている親に調教されている。

　ここでも奈津美さんの対応力が光って、スーパーの駐車場に紅プリを駐めて、後ろの三人を制しながら降りて仕舞った。

　取り残された俺達は、というよりも俺は三人の問答を任せてアクセスチェックを始めて、三人は静かにも黄色い空気を展開する。

　親に問題があることや動画のコメントに関して、想うところをすっかりと話しているが、経験の無い萌香は取り残される。

　不意打ちのように話を振られて、萌香がオタオタするところへ奈津美さんがさらりと空気を破壊して、小さめのドリンクを支給。

　「ご飯は帰ってからでイイ？」と云うと、ゲストJKは「ハイ」と跳ぶように反応して、紅プリのエンジンが廻される。

　スペアキーを出かけから持っていた俺は、プリウスの駐車に地下へ這入って行ったのを見送って、三人の美少女を連れてもどる。

　弁当やサラダなどが入ったビニール袋を裏実瑠に渡して、適度に疲れた俺はアプリゲームを始めて、時間を見て湯に入る事にした。