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第四話 箱入り系動画配信者 1

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 約一月後の夕食どきに、実瑠のLINEアプリにある投稿があったので、そのグループLINEをチェックすると以下の様にあったらしい。

『家出して来ちゃったw』

 もう既に峰輿家の一員となっていた実瑠は、投稿した動画を評価し合う知り合いを、紹介すべきか悩みはじめる。

「どうかした?」

 奈津美さんが気を利かせて実瑠にきっかけを提供すると、知り合いの家出JKに関して、『もう一人の実瑠』が説明し始めた。

 それによると、斎藤家も霧坂家同様に時代錯誤な親を持って、動画配信に就いて度々強く厳しく、徹底的に否定されていたらしい。

 父親は警察官僚でそれなりな生活はさせても、偶に食卓へ並べは怒鳴られて、母親には毎日怒りをぶつけられている。

 警察官僚で正義を振りかざすのは勝手でも、その信念を正しく扱えなければ、どうのしょうもない事だってあるだろう。

 確かに動画配信者の中に逮捕者がいるかも知れないが、全ての者がそうではないし、そもそもとしてビジネスをやっている。

 ひとによっては収益率も低く安定もしないどころか、ゼロの段階から抜け出せない場合もあって、呑み込み辛い場合だってある。

 しかし、実瑠もその知人も女子高校生ながらも、多少なりとも成果を出しているなら、あとはそれを増やす環境は欲しい。

 最も重要なことは、マーケットの性質や規模の他に、ユーザーに意識や関心を持ってもらえるような『マーケティング』。

 これは知識や経験の量や質も影響するだろうから、早熟の段階にある者には難しいが、運営側のサポートに頼れなくもない。

 それを徹底的にくどくしつこく片っ端から否定されて、集中砲火を受け続けるほうが、余程子の将来に悪影響がある。

 とにかく会ってみないことには始まらないので、奈津美さんに何とか了解を取って、その家出人を迎えに行こうとした。

 裏実瑠が止めて居場所を確認すると、近くの駅にいる事が分かったので、食べ終わった後の食器をシンクに一旦置いておく。

 料理の旨味を意識しながら実瑠を視ると、いつも『無?』みたいな顔が緊張感のある顔で、俺も何故かソワソワしてきた。

 何時の間にか家主がいなかったが、車を出しに行っているとわかっているので、萌香も連れて預かった鍵でドアを締めた。

 奈津美さんは自前の紅いプリウスで登場して、俺がナビシートに萌香と実瑠が後部座席に、それぞれ乗り込むと駅に向かった。




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