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5 実家に帰りました、後悔はありません
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「家に帰るのは久しぶりね…」
私は今馬車に乗って実家である公爵邸にかえっていた。戻った時、お父様やお母様、そしてお兄様は驚いた表情で固まっていた。使用人の少女は、ぽかんと口を開けて洗濯かごを取り落とした。それはそうだろう。王太子の婚約者として王城に行っていた娘が何の先触れもなく家に帰ってきたのだから。
「リリア!?一体どうしたんだ!?その格好は一体…」
「病気?怪我でもしたの?それとも殿下と何かあった?」
「リリア!僕の妹、会いたかったよ!」
わっと集まって一斉に話を始める家族を目にして、目の前の景色がぼんやりとかすみだした。ああ、私、家に帰って来れたんだ。もう、あの冷たい王城にいないんだ。もう、殿下もガーネット様もいないんだ。そう思うと、涙が止まらなかった。
「お父様、お母様、お兄様っ…!」
3人をひしと抱きしめ、私は久しぶりに泣いた。うれしくて泣いたなんて、いつぶりだろう。お父様はぎょっとしたように私の肩をつかんだ。
「リリア、何かあったのか!?あのガーネットとかいう女に何かされたんじゃないだろうな!」
「あなた、リリアと話したいのは分かりますけど、話はあとにしましょう?それより先触れを出さずに帰ったということは殿下方はリリアが帰ってきたことをご存じないのでは?」
お母様がお父様をいさめる。お父様ははっとしたように私から手を離した。
「そうだ、とりあえず体調不良で急遽公爵邸に帰ったということで王城に使者を送らなければ。殿下や王妃様方が心配しているだろう」
「そうよ、あなた。ジェームズに行ってもらいましょう。今日は王城に行く日じゃないけど、お願いできる?」
お母様がジェームズお兄様を振り返ると、お兄様は真剣な表情でうなずいた。
「もちろんです、母上。今から行ってきますよ」
ジェームズ兄様が馬車を玄関前に回した。私はただぼうっとそれを見ていたが、はっと気づいて慌ててお兄様を引き留めた。
「お兄様…私、殿下と婚約を破棄したくて帰ってきたの。殿下には侍女のサリーが事情を話しているはず。お願い、サリーを連れて帰って」
「婚約破棄!?…分かった、その話はまた後日改めて殿下にお話ししよう。とりあえずサリーを連れて帰るよ」
お兄様は馬車で王城まで行ってしまった。残された私とお父様とお母様はそれを見送った。私は自分の部屋に戻り、お父様とお母様は話をするとかで書斎に入っていった。何年かぶりに自分の部屋に帰り、私は自分のベッドに倒れ込んだ。
「はあ…うまくいったのね」
私は目を閉じ、数時間前のことを思い出した。
私は今馬車に乗って実家である公爵邸にかえっていた。戻った時、お父様やお母様、そしてお兄様は驚いた表情で固まっていた。使用人の少女は、ぽかんと口を開けて洗濯かごを取り落とした。それはそうだろう。王太子の婚約者として王城に行っていた娘が何の先触れもなく家に帰ってきたのだから。
「リリア!?一体どうしたんだ!?その格好は一体…」
「病気?怪我でもしたの?それとも殿下と何かあった?」
「リリア!僕の妹、会いたかったよ!」
わっと集まって一斉に話を始める家族を目にして、目の前の景色がぼんやりとかすみだした。ああ、私、家に帰って来れたんだ。もう、あの冷たい王城にいないんだ。もう、殿下もガーネット様もいないんだ。そう思うと、涙が止まらなかった。
「お父様、お母様、お兄様っ…!」
3人をひしと抱きしめ、私は久しぶりに泣いた。うれしくて泣いたなんて、いつぶりだろう。お父様はぎょっとしたように私の肩をつかんだ。
「リリア、何かあったのか!?あのガーネットとかいう女に何かされたんじゃないだろうな!」
「あなた、リリアと話したいのは分かりますけど、話はあとにしましょう?それより先触れを出さずに帰ったということは殿下方はリリアが帰ってきたことをご存じないのでは?」
お母様がお父様をいさめる。お父様ははっとしたように私から手を離した。
「そうだ、とりあえず体調不良で急遽公爵邸に帰ったということで王城に使者を送らなければ。殿下や王妃様方が心配しているだろう」
「そうよ、あなた。ジェームズに行ってもらいましょう。今日は王城に行く日じゃないけど、お願いできる?」
お母様がジェームズお兄様を振り返ると、お兄様は真剣な表情でうなずいた。
「もちろんです、母上。今から行ってきますよ」
ジェームズ兄様が馬車を玄関前に回した。私はただぼうっとそれを見ていたが、はっと気づいて慌ててお兄様を引き留めた。
「お兄様…私、殿下と婚約を破棄したくて帰ってきたの。殿下には侍女のサリーが事情を話しているはず。お願い、サリーを連れて帰って」
「婚約破棄!?…分かった、その話はまた後日改めて殿下にお話ししよう。とりあえずサリーを連れて帰るよ」
お兄様は馬車で王城まで行ってしまった。残された私とお父様とお母様はそれを見送った。私は自分の部屋に戻り、お父様とお母様は話をするとかで書斎に入っていった。何年かぶりに自分の部屋に帰り、私は自分のベッドに倒れ込んだ。
「はあ…うまくいったのね」
私は目を閉じ、数時間前のことを思い出した。
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