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21.リッキー!リッキー!
しおりを挟むリッキーの指差す、おんぼろな木箱を見た俺は目を細める。
おんぼろな木箱は、中身が見えるくらいに面がすかすかなのだ。
しかし暗いので、中々見えない。
俺はおんぼろな木箱をひょいと持ち上げてみる。
木箱は下の面が無く、地面に被せただけの物だったのでそのまま投げ捨てた。
地面には小瓶が置いてあった。
コレハ、大事ナ物ジャナイ。
「ま、待つワン。ちゃんと説明を聞くワン」
俺はむんずと小瓶を掴むと中身が入っているか振ってみた。
感触から、どうやら小瓶の中身は液体らしい。
リッキーは慌てて小瓶を俺から取り上げる。
俺はリッキーに取り上げられた小瓶を見上げた。
「少しは落ち着くワン」
「モ」
俺は落ち着いている。
まぁまぁとジェスチャーをして、何故か興奮しているリッキーを宥める。
「ワ、ワン。大食らいが何故か投げ捨てたその木箱が、人間たちがダンジョンに入る大きな理由の一つである、宝箱だワン」
「モ?」
俺は振り替えって、ぼろぼろの木箱を確認した。
説明しよう。宝箱とは立派な箱である。
俺に見えるのは、現代日本で見ることもないであろう、ぼろぼろの蓋もついていない木箱だ。
よって、この木箱は宝箱ではない。証明完了。
俺はリッキーのいう宝箱がどこかにあるのかと周囲を見回す。
しかし、視界に入るのは、朧気に周りを照らすダンジョン苔と、ぼろぼろの木箱。
そして、小瓶を持った二足歩行のシベリアンハスキーだけである。
ほうほう、なるほど。
「モモモ」
俺は全て理解したぞと、メガネをクイックイッとする仕草をする。
因みに俺は前世から視力は良かったので、ノームの人生を含めてメガネをつけた経験はない。
メガネクイッは、日本のマンガで見たデータで知的で戦うキャラクターの真似だ。
さて、俺の緻密な戦略をお見せしよう。
貴様が宝箱だな、リッキー。
「何を考えてるのかさっぱり解らないけど、大食らいが何だか不穏な事だけはわかるワン」
俺は小瓶を取り返そうと、宝箱リッキーの周りをピョンピョン飛び跳ねる。
見つけた宝は、全部俺の物。
現代日本ゲーム界の常識である。
宝箱とは宝の在りかを教えてくれる以外は、障害でしかないのだ。
全部わかってんだね。
「いい加減、お、落ち着くワン。これは何の変哲もないポーションだワン」
俺は人生で初めて見聞きするポーションという言葉に、飛び跳ねる速度を二倍にした。
おれの勢いにバランスを崩し、尻餅をつくリッキー。
俺はポーションの小瓶をリッキーからぶんどるると、スキル精霊の身体を使用し、身体を変形させ、素早く体の中に取り込んだ。
「あいたたワン。何するんだワン」
俺はやれやれと首を振って、さも何も無かったかのように、木箱を拾ってリッキーに渡す。
ミッション完了だ。
リッキーはジト目で俺を見ながら注意してきた。
「ダンジョンのアイテムは大食らいじゃあっちの世界に持って帰れないワン。大人しく返すんだワン」
な…んだと。
立ち上がったリッキーは無言で俺に手を差し出して来た。
お手かな?
俺は空気を読む察知能力を駆使して、仕方なくリッキーにポーションの小瓶を返す。
「宝箱に入っているお宝。このお宝を目指して人間たちはダンジョンに入ってくるんだワン」
リッキーよ、宝箱ではない、お前の持っているのは蓋のないただの木箱だ。
リッキーはポーションの小瓶を元の位置に戻し、木箱を被せた。
「出てくるお宝が良ければ良いほど、たくさん獲物は釣れるんだワン。ちなみにこのポーションは、無いよりマシな程度のハズレだワン。ポーションは錬金術で作れるからだワン。当たりはダンジョンからしか取れない、スキルのついた武器や防具だワン」
じゃあ、そのポーションくれても良いじゃんと俺は抗議の目線をリッキーに送った。
「ダンジョン内にはこういう宝箱がそこらかしかに置いてあるんだワン。みんな獲物をおびき寄せる大事な餌なんだワン。とったらダメなんだワン」
◆◆◆
書いている内に何故か犬に興奮してしまったので、文章がハチャメチャになりました。
犬回はもう作者的に限界かもしれません。
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