惑星保護区

ラムダムランプ

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第2章『王家分裂』

第3節『ワージリとファモ族』

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ワージリは、ファモ族を新たに闘争に加わった種族と思い込み
 
『何故オゴゴ族と同じような形をする!仲間に何をしたんだ!!何処に連れて行った!!前にも言ったはずだ!私達は、どちら側にもつかない!!仲間を返せ!!』

初めて見るファモ族の事が恐かったが勇気を振り絞って威嚇するように言った。
するとファモ族が

『我々は、あなたとコミュニケーションを図りたかったのです。驚かした事を謝ります。
我々は決して、あなたに危害を加えるつもりはありません。安心して下さい』

ワージリはファモ族の返事に最初こそ信用しなかったが、徐々に話していく内にファモ族は全く争い事を望んでいないと理解し、威嚇した事を謝る。

そして自分達以外のオゴゴ族を見てはいないか?と、ファモ族に聞いたが、オゴゴ族を見たのは初めてという答えが返ってきた。

やはりオゴゴ族で生き残ったのは自分達だけという気持ちになり、ワージリは孤独と悲しみから、その場を立ち去ろうとしたがファモ族が

『一緒に探しましょう!諦めてはいけません』

と言われ、何故そこまでしてくれるのか?と尋ねると、ファモ族は以前、この宇宙に来て様々な種族と出会った事があるそう。

そして再び訪れると状況が一辺しており、この宇宙で一体何が起きたのか、詳しく調べる事とオゴゴ族を探す事を含めて、自分達と一緒に行動すれば寂しくないのではないか。と言い、ワージリはファモ族と共に仲間を探す事にした。

ファモ族がワージリに聞く

『この宇宙で一体何があったのですか?』

ワージリは、オゴゴ族の事を話し、その後に起きた大規模な闘争に自分達も巻き込まれ、そこから逃げ出し追われている時に見た、得体の知れない塵の存在、その塵が現れた後、今までとは違う宇宙になってしまった事を話した。

『そうなのですか…』

何かを知っていそうな感じだったが、ワージリは、仲間を探したい気持ちの方が勝っていた為、ファモ族の返事に深掘りはしなかった。

広い宇宙でファモ族と共に仲間を探し続けるが一向に見つからず、手がかりすら皆無。

ワインド族が支配していた地域に入ると、表面だけ剥ぎ取られたような星や、原始的な種族以外滅ぼされた星、星の一部が、えぐられ大地を撒き散らしながら浮遊している星など、争闘によるものなのか?塵が原因なのか?何が原因にしろ、その変わり果てた宇宙の光景を目の当たりして戸惑うワージリ。

中でも驚いたのが、ワインド族が占有、独占していた銀河は、ドーナツのように真ん中だけ、くり貫かれ、銀河の形が維持出来ず崩壊し始めている姿だった。

時折、ファモ族が原始的な植物が残る星に降りコミュニケーションを図るが得られる情報は何も無かったと言う。

ファモ族がワージリに言う

『ここより、もっと遠くの場所を探しに行きましょう』

と伝えるとファモ族は、幾つか気になる場所があり、そこに行くそう。

まず最初に向かう先は、何とアソソキ族が誕生したと言われている星で、その星は、ここから真反対の位置にあり、着くには相当な年月が掛かる場所。

ワージリは、アソソキ族の星に行く事が怖かったが、もしかしたら、そこに仲間がいるのかも知れないと思いファモ族に

『そこに仲間がいるかも知れない、たどり着くのに時間が掛かっても、仲間を探したいので一緒に行く!』

と伝えるとファモ族からの返事は

『そんなに時間は掛かりません。直ぐに着きますよ』

直ぐに着く?ファモ族は一体何を言っているんだ?そこは遠い場所なのに…
ファモ族の言動を不思議に思いながらついて行くと

『移動点はご存知ですか?』

とファモ族がワージリに聞き、初めて聞く言葉に、それは何なのか?とファモ族に質問すると、移動点に付いて教えてくれた。

宇宙に、そんなものが存在するなど、全く知らなかった驚きと同時に、仲間もそれを使い遠い場所にいる可能性があると期待する。

ファモ族は移動点の使い方をワージリに教え、
(他の宇宙に行く方法ではなく、同じ宇宙のみ移動する方法を教えた)
移動点に行くと、そこはキラキラとした箱のような物で、その中の1つにファモ族とワージリが入ると、一瞬でアソソキ族が支配していた地域に到着した。

『こんな事が出来るなんて…知らなかった』

ワージリは驚きつつも、周辺にアソソキ族側の者がいるかもしれないと警戒する。

しかし、そこには誰も居ないどころか、周辺の銀河や星も、何もかもが無くなっていた。

『何がどうなっている?なぜ何も無い』

とワージリが言うとファモ族の

『まさか、こんな事になるなんて…どうして』

と困惑と悲しみの声が聞こえた。

真っ暗な暗闇だけが広がる不気味な光景の中を進みながらワージリは仲間を探すが、全く見当たらず気配すら無い。

暫く進むとアソソキ族の星が在ったであろう場所に来たが、そこに何も無く、星があった痕跡すら残っていなかった。

ワージリは仲間が見つからない悲しさと、この一変した景色に不安から思わず

『おかしい!!仲間もいない!いくら大規模な争いだったとしても、星も銀河も丸ごと無くなるなんて!!一体何が!何があったんだ!!』

と何も無い宇宙に向かって、こみ上げる悲しみを抑えられず吠えた。 

するとファモ族がワージリに

『聞いてはいたけれど、まさかこれ程とは』

ワージリはファモ族に、何を聞いて何を知っているのか?と聞く。

ファモ族は、ゆっくり話し始めた。

様々な宇宙に行き、沢山の他の種族と交流していたファモ族だったが、ある時、以前訪れた星に再び行くと奇妙な事になっていたそう。

前回訪れた時に出会った種族達が星から消えており、原始的な種族だけが残っていた。

その種族達は、争い事をするような種族では無かった上、彼らは自分達が住んでいる星が気に入っており、他に移住する事は考えていないと聞いていたが、もぬけの殻の様に消え去っていた。

彼らに、何か起きたのかも知れないと思い、周辺の星を探すも見当たらず、更に範囲を広げて遠くまで捜索した際に異変に気付いた。

その異変とは、先程の星とは別にファモ族が立ち寄った星があり、そこには以前2つの星が近い距離で存在していたが、その内の1つが無くなっており、更にもう1つは半分に削り取られるような形になっていた。

半分に削り取られた星には僅かな植物が残されており、何があったのか?コミュニケーションを図ると

『恐い…恐い…たくさん』

何度聞いても答えは同じで悩んでいると、地中から小さな声で警戒しながら

『ファモ‥ファモ族なの…?』

と聞こえて来たので、返事をすると僅かに地表に顔だけ出したラシル族がいた(小さな小さな牛の形で地中を掘って暮らす穏やかな性格の種族)

何があったの?と聞くと、ラシル族は声を震わせながら

『急に来たの、小さな何かが、沢山…沢山…そしたら全部消えたの…』

全部消えた?その何か。とは何ですか?
と聞くとラシル族はわからないとだけ言い、慌てて地中に潜って行ってしまった。

ファモ族は、この事態を知る為にパーキル族なら何かを知ってると思い立ち会いに行く事にした。
(パーキル族は、この宇宙で最も古くから存在する種族であり、その姿は大蛇の様な形で、気難しい性格だが、こちらが失礼な態度を取らない限り、温厚に接してくれる)

パーキル族の所に行くと長老のサビタが出迎え

『ファモ族か?よく来た!よく来た!久しぶりだな。相変わらず旅ばっかりしてるのか?』

と気さくに対応してくれた。

ファモ族がこの宇宙で見た事を聞くとサビタは顔を少し強ばらせながら

『お前さん達がいなくなって大分経ってから、この宇宙にも来たんだよ。奴等が…』

奴等とは何ですか?と聞くと周りに聞こえないような小さな声で

『捕食者だよ…』

とサビタは言った。ファモ族はそこで初めて捕食者の存在を知る。

『大昔から噂程度で聞いてたが、この目で見るまで、まさか本当にいるとは思って無かった。

奴等は、何処からともなく、いきなり現れると、どうやって喰ってるのか知らないが、星でも何でも喰っちまったんだ…。

抗おうとする者もいたが、奴等の前では何の意味も成さず、そのまま喰われて消え去っちまったよ。

まあ何故か、ここ(パーキル族の星)は素通りしてったがな。お前さん達も奴等には気を付けな』

とサビタは教えてくれた。

ファモ族はサビタにお礼を伝え、パーキル族の住む星を後にして、再び旅に向かった。

旅の道中、もしかすると捕食者は我々と接触した種族達を狙っているのか?と思い、

新たな宇宙に行く事を急遽止めて、今ままで行った様々な宇宙の中で、ファモ族が接触した星や種族の元に向かう。

1つ1つファモ族が接触した星や種族を探索すると、無事だった星や種族もいれば、襲われている星や種族もいたり、ファモ族が一度も接触していない星や種族まで消されていたりと、捕食者の行動に一貫性が無く動機や意図も掴めぬまま時間だけが過ぎていった。

別の宇宙に向かう際、ファモ族と同じように旅をするウキキラ種(頭が3つのウナギの形だが胴色に輝いている)と再開し今までの事を話すと

『捕食者の存在は知っていますが、私は直接見た事は、まだありません。
聞くだけで恐ろしい存在です。
そう言えば…
狙われると逃げ切れないと言う者もいますが、逃げ切った者もいるとか何とか…セカモは逃げれたらしいですが、ホントかどうか…』

とウキキラ種が言い、それを聞いたファモ族はショックで驚き焦り
 
『セカモ族が襲われたのですか!それは本当の事なのですか?』

とウキキラ種に聞くと

『あくまでも噂話なので確証はありませんが、襲われて逃げれた、らしい。という事しか知りません。これ以上は知りません、ごめんなさい』

とウキキラ種が言うとファモ族達は落ち込んだ。
セカモ族(ハンマーの様な形で外見こそファモ族と異なるが思考や能力は似ている)とファモ族は、お互いに気が合い、一時は行動を共にしていた程、仲が良かった。

その後、お互い別々の宇宙へ旅をする為に別れ、再び会う事を楽しみにしていた事をワージリに話した。

『そうなのか、私達が遭遇したのも捕食者だったのか、何でも食べてしまうから、こんな何も無い光景に…何て恐ろしい、仲間も襲われたのかな…』

ワージリはファモ族の話を聞いて気が沈んだ。

ファモ族とワージリは、アソソキ族の星があった場所から移動し移動点に向かう。

ファモ族がワージリに聞く

『この後どうされますか?一緒に別の宇宙に行き旅をしませんか?』

ファモ族の提案に少し悩んだワージリだったが

『このまま、この宇宙で仲間を待つよ。もしかしたら会えるかも知れないから』

と言うとファモ族は

『わかりました。早く仲間と会えると良いですね!』

と言いファモ族が移動点に進もうした時、後方から凄まじい速度で

『見つけた!!!!』

と言いながら、速すぎて止まれず一旦、ファモ族とワージリの間を通り抜けて行った何かがいた。

今のは何だ!何か言いながら通過したぞ!と驚くワージリの横で

『まさか!!』

ファモ族が、その通り抜けた物に驚いている様子。

一度通り過ぎて行った物は徐々にこちらに戻って来た。

ワージリが念の為に威嚇する準備をするとファモ族が

『大丈夫ですよ!セカモ族です!!まさかまた会えるなんて!!』

とファモ族は喜んでいる様子。

セカモ族が近づいて来ると話に聞いていた通り白いハンマーの形をしていた。

セカモ族がファモ族と再開し、お互い何かを話しているようだが、ワージリはセカモ族の言語が分からず、ただの雑音としか聞こえなかった。

何だか仲間外れにされている気分だな。と思っていると突然、セカモ族もファモ族と同じ様にオゴゴ族の形をした物を出し

『初めましてオゴゴ族さん!驚かせてごめんなさい。私はセカモ族のオルラです、宜しくね。ワージリ?ワージリさんと呼べば良いの?』

と言われワージリも自己紹介をしてからオゴゴ族を見なかったか聞いたがセカモ族は

『ワージリさん以外のオゴゴ族は見なかったです。ごめんなさい』

と言われワージリは少し残念な気持ちでお礼を言うと

『大丈夫ですって!宇宙は広いので、きっといつか会えますよ!』

と励ましてくれた。

『捕食者から逃げれたと聞きましたが…』

とファモ族が言うとセカモ族は話してくれた。

セカモ族は別の宇宙で出会ったソモモイ族(輪の付いた緑のホウキ)と共に旅をしていると突如、捕食者が現れて側に居たソモモイ族を襲い始めた。

セカモ族は、それを阻止しようと捕食者に向かうが何も出来ないままソモモイ族は次から次に消え去り、ソモモイ族が全ていなくなると今度はオルラ達セカモ族に向かって来た。

みんな散り散りに逃げるが捕食者は、まるで私達の行動を読んでいたかのように先回りをしていたり、捕食者の集団が分裂し意図的に追い込まれたり挟み撃ちしてくるなど酷かった。

あっという間にセカモ族の殆どが消え去り、残った者も必死に逃げるが、捕食者もしつこく追って来て捕まると消えて行った。

オルラは全力で逃げ続けていると、捕食者との距離が徐々に開き始め、差が大きくなると、それ以上、追って来ず逃げ切れたそう。

散り散りに逃げた仲間達とは、それからずっと会えず捜していた所、偶然ファモ族を見つけ移動点に入る前に会わないと、今度はいつ会えるか分からないので全速力を出したら止まれなかったとの事。

『捕食者は知能や能力が高い者を襲ったりするだけでなく、分け与えられた者までも補食している。

ただこれには謎があって、分け与えても襲われない種もいるし、私達より知能や能力が高い、古くからいる種族も襲われていない。

捕食者の意図がわからない。

ただ捕食者と出会ったら、躊躇わず全速力で逃げる事!捕食者は意外と遅いから策に捕まらなければ逃げ切れる』

とオルラは話してくれた。

するとファモ族が悲しい声で

『ワージリ…本当にすみません。この争いや捕食者の出現の発端は我々かも知れません。まさかこんな事になるとは、思いもよりませんでした』

と言いワージリは、どういう事なのか?と困惑すると

ファモ族は大昔にワインド族とアソソキ族に会った事があり、その頃は、両者共に争い事を避ける傾向があり、尚且つ過酷な環境で苦しんでいた為、ファモ族は両者に知恵を授けたり、能力の一部を分けた事があると言った。

それから長い年月が経ち両者の性格が変わり互いに衝突する事態となった。

『でも…助けようとして授けたのよね?そうでしょ?』

オルラが言うもファモ族は、原因の一つが自分達にあると思い暫く無言だった。

『先の事は私達でもわからない。私達だって能力の一部を分けた種族が今どうなっているか?全て把握は出来ないよ。
その時は助けたい一心だもの!先が分かっていれば、私達だって捕食者に襲われなかった。
だからファモ族のせいだけでない!』

『この争いや捕食者が来たのはファモ族だけが原因じゃない!!せっかく貰った知恵や能力を誤った方向に使った者達が悪い!!それは助けようとしてくれた恩を仇で返したんだ。ファモ族は、仲間のオゴゴ族を懸命に捜してくれた!だから気にして無いよ!』

とオルラとワージリがファモ族を励ますと

『ありがとうオルラ、ワージリ』

と落ち着いた様子で答えた。

少し沈黙が続いた後、話題を変えるかの様にオルラが

『ところで、ベサーイ元気にしてる?』

と明るく言うとファモ族が、
もちろん、会ってください。

とファモ族が乗る球体の一部が外から見える様に透明になると、沢山の砂時計(ファモ族)の中心に大きなキノコいた。

何だ?あの大きなキノコ。とワージリがマジマジと見ているとファモ族が

『ザンパ種で名前がベサーイと言うんです。我々のとても大切な友人なのです』 

キノコが友人?変わってるな。と思いつつ

『初めましてベサーイ宜しく、オゴゴ族のワージリです』

と言うとファモ族が

『初めてましてベサーイです。と言ってます。それからワージリの事を、とても仲間思いで優しい方なのですね。だそうです』

と伝えられワージリは嬉しくなり少し照れた。

オルラとベサーイが何か話した後、ファモ族と少しの間再び話していた。

その間ワージリはベサーイと会話は出来ないものの、見つめてると何か不思議な感覚になり、ベサーイが可愛く見えて来た。

するとオルラがワージリに

『私達はこれから一緒に別の宇宙に行きますが、本当にワージリさんは一緒に来ないのですか?』

と聞いて来たので、オルラにも他のオゴゴ族をここで待つ事にしたと伝える。
 
『そうですか…残念。でもワージリさん!貴方は孤独ではありませんよ!私の友人なのですから!早く仲間に会えると良いですね!諦めては駄目ですよ!』

とオルラは言い、ワージリはオルラ自身も仲間を捜していて辛いはずなのに、励ましてくれた上、友人と言ってくれた事が嬉しくて思わず吠えた。

ワージリは、一緒に仲間を探してくれたファモ族と、友人と言ってくれたオルラに、何か恩返しが出来ないか?と言うが、両者から丁重に断られた。

恩義に報いる事を誇りとしているオゴゴ族のワージリは咄嗟に

『それならばベサーイちゃんに何か!!』

と言うとファモ族とベサーイが球体の中で何か話をしている。

『わかりました。それならば1つお願い事を聞いて頂けませんか?』 

とファモ族が言いワージリは何でも言って欲しいと言うと 

『もし今後、我々やベサーイに何か助けが必要になった時に力になって頂きたいのですが』

と言うと、勿論直ぐに駆けつける!と言ったワージリだったがファモ族とベサーイの居場所がわからないと行けない事に気付き、その事を伝えると

『我々が助けが必要な時に居場所を伝えますので球体に触れて貰えますか?』

とファモ族が言いワージリが球体に触れようとすると

『駄目だよ!能力の一部を分けたらワージリさんも捕食者に狙われるかもしれない!』

とオルラが止めに入る。

するとファモ族が

『いいえ、能力は分けていません。捕食者の襲う意図が分からないので、ワージリが元から持つ探知能力を向上するだけです。
そうすれば我々やベサーイの場所がわかると思います。
しかし何度も探知を繰り返すと捕食者に狙われるかも知れませんので、本当に助けが必要になった時にだけ来て頂けませんでしょうか?』

と言うと、いつでも何度でも呼んで欲しいのになあ、と言いつつワージリは納得した。

オルラもこの提案に同意し、球体に触れる事を許した。

ワージリがファモ族の球体に触れると一瞬ワージリが白く輝いた。

それを見たオルラは一瞬驚く
(ワージリ自身は気付いていないが、実は探知能力を向上させたのではなく、ワージリがファモ族を見つける探知能力を意図的に下げた。

これにより通常時、ワージリはファモ族に、かなり近い距離に接近しないとファモ族を探知出来ない。

ワージリにとって寂しい事になってしまうが、ファモ族と再び頻繁に会う事により、何の意図で襲って来るのか分からない捕食者からワージリを守る為だった。

ラム王とファモ族が乗る球体をワージリが見つけられなかったのは、この為である。

しかし危機的な状況の場合のみワージリの探知能力を最大にまで引き上げられるよう含みを持たせた。)

移動点に入るファモ族とオルラをワージリは見届けながら

『必ずまた会おうね!ファモ族!オルラ!ベサーイちゃん!!』

泣きながら吠えるワージリ

『ええ、また会いましょう!お元気で!!』

『そんなに泣かないで!仲間、会えると良いね!またね!』

ファモ族とオルラはワージリにそう言うと、移動点に入り消えて行った。

これがワージリとファモ族の出会いだった。


ラム王とサルンは映像が終わると

『そんな事があったなんて…辛かったよな』

『ワージリさん…何て言えば良いのか、ずっと寂しかったよね』

ワージリの過去を知ったラム王とサルンは泣きながら言った。

するとワージリが 
 
『ちょっと長かった?でも、そこまで泣くとは、思ってなかった。ごめん!ごめん!』

『今はもう寂しくないですよ!あちこちの星で友達が出来たのでね!』

とラム王とサルンを励ますように明るく言うワージリ。


『あれ?何の話をしていたんだっけ?あの映像長いから忘れるんだよな~まあ良いか』

『まあ良いか、じゃない!!
いつもアンタは、相手の話を聞く前に飲み込むから…そう言えば・・私達を助けに呼んだのよね、それで何を助けて欲しいの?』

ワージリがラム王達に聞くと

『我々は別の星に向かっていたのですが、塵に襲われて、行く予定だった星に向かう事も、この球体を操る事も出来なくなり、目の前に大きな岩が迫っていた所でベサーイがワージリを呼んだらしいのです。
なので、岩をどかして欲しいのです』

ラム王が言うとワージリは

『岩?岩をどかせば良いんだな?なんだ簡単だよ!もっと早くに言ってくれよ!!ワッハッハ!』

『もっと早くにってアンタが…ごめんなさいね、ムカーク族の方。岩なら大した問題ではないけれど、その向かう星は何処なの?良かったら、そこまで乗せて行きましょうか?』

ラム王達はワージリの助けに感謝して、向かうはずだった水のような星まで乗せて貰おうとしたが、行き先が消えていた為、何処にある星だが分からない事を伝えるとワージリは

『水の星?なんだろうなあ~?ただの水の星なら沢山あるけど…何処の星の事なんだろう』

『難しいわね。じゃあ、こうしましょう!ムカーク族の行きたい星に連れて行くのはどうかしたら?』

急に、行きたい星を尋ねられラム王達が困惑しているとワージリが聞いてきた。

『あなた達は、どんな環境が好きなの?例えば、凍りついた星?燃えている星?』

ワージリの問いにラム王は

『我々は自然豊かな星が好きです。水も大地もあり、植物が育つ環境の星とか無いでしょうか?』

と言うとワージリ達は会話を始めた。

『自然豊かな星ね!わかったわ!任せてちょうだい!ん~何処が良いかしらねえ』

『ほら!あそこはどうだ!ムルル族の近くにある星!なんて言ったっけ?あの星』

『駄目!話をちゃんと聞いてたの?自然豊かな星と言ってたのよ!!そこは岩の星じゃない!!アンタが食べたいだけでしょ!!』

『良いと思ったんだけどなあ、岩も良いぞ!ムカークさん!』

『アンタは黙ってて!!自然が豊か星、自然が豊かな~、あっ!ある!コモスの近くに何個かあるわよね?自然がある星!水も大地もあるし、植物もあったはずよね?』

『コモスの近く?あ~あるある!あそこなら良いんじゃないか?』

『ムカーク族の方、条件に合う良い星があるわよ!今からそこに行きましょう!』

とワージリ達が言った。

『すみません、コモスとは何でしょうか?近くに何か怖い種族がいる所は嫌なのですが』

とラム王が心配そうに聞くと

『種族じゃないよ!大丈夫!大丈夫!光る星だよ』

『恒星なので心配は要りませんよ!』

ワージリがそう言うと、ラム王達は安心し、連れて行って貰う事をお願いした。

恒星コモスは太陽の事である。
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