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ラムダムランプ

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第1章『ベサーイの最後』

第2節『地上と地下』

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 地上の調査に向かうコルル、ワワ、タルカ。

コルルとワワは、地上で生活してた時があるが、タルカは地下で生まれ育ち、実際の地上の世界は知らない。

そして地下最上部の、地下と地上を結ぶ出入口に到着。

扉を開けたら、もうそこは地上。
3人共、緊張した面持ちであった。

チーム最年長のコルルが

『開けるよ』

と言い、ゆっくりと扉を開けた。

扉を開けると、眩しい程に恒星の光が差し込み、地上の景色は広大な乾いた大地が広がっていた。

三人は、ゆっくり慎重に地上へと出る。
数百年ぶりにムカーク族が地上へ戻った瞬間だった。

地上に戻った感動と同時に、周囲に他の種族がいないか警戒した。

さいわい周囲に他の種族はおらず、三人は無事に地上に出た喜びと安堵した表情だった。

特にタルカは、初めて見る地上の景色、大地の感触に喜びと感動でいっぱいだった。

そしてコルルとワワがすぐに気付いた。

『私達の都市は?』

『ここに都市があったはず』

かつてムカーク族が作り上げ、その後ヒルポ族に占有された都市が見当たらない。

そこにあるのは、乾いた土地。

三人は、都市のあった場所を捜索した。
僅かだか、そこに構造物があったであろう痕跡(地面に浅い円形の穴)を見つけただけであった。

都市が丸ごと無くなっている事に驚き、悲しんだ三人。

しかし、一刻も早く調査を始めなくてはならないので、悲しんでばかりはいられない。

三人は地下の出入口から程近い、周囲を見渡せる小高い丘に移動。

丘に着き周囲を見渡すと、丘から少し離れた場所に、不規則に点在している岩のような物、そのずっと先に、うっすらと植物が自生してそうな場所がある事に気付いた。

周囲を警戒しつつ、早速、天体調査が担当のワワは丘で調査を開始。

地形調査のコルルとサポートのタルカは不規則に点在している岩の方へと向かった。


 一方その頃、地下チームは地下の最深部で調査をしたが、僅かな地下の擦れを確認出来たが、他は特に問題が見当たらず、この現象の原因がわからなかった。

地下物質の研究を専門とするコーカクは

『これ以上調査をしてもわからない、帰ろう』

と言い、調査を終了して、都市に戻ろうとした時、地下拡張に従事するモセルが言い出す。

『実は、地下の最深部分はもう1つある。そちらの方が、より深いが危険なんだ』

そこは何処?と皆が聞いた。

その場所は、地下都市をより広く、より深くする為に掘削と調査をしていたが、ある深さに到達した時、地質が変わり、とても軟弱で崩壊の危険と、その物質が一体何なのか?

全くわからない為、掘削は中止され、その場所は閉鎖したとの事。

モセルは、危険を伴うが、それでも行って調査をするか?帰るか?と皆に聞いたが、皆の意見は調査続行で、行く事が決まった。

地下チームは、もう1つの最深部へ向けて再び出発した。

 その頃、地上ではコルルとタルカは岩の方へ歩いていた。

だんだんと岩が近づくにつれ、コルルは早歩きから小走りになり、タルカもそれに続いた。
岩に到着するとコルルが動揺した様子で

『なんで!どうして!』と言った。

それは岩ではなく、かつて地上都市にあった建造物の一部であった。

そして周辺にある、不規則に点在している岩も都市の瓦礫だったのだ。

何かに都市が丸ごと吹き飛ばされたような光景を前に、コルルとタルカは呆然としていた。

丘で調査していたワワも、異変に気付き始めた。

『おかしい』

この星(ランキバーサ)と、サバルとオキア(地球で言うと太陽)との位置関係が、地上にいた頃の記録と異なっていた。

『もっと調べないと』

ワワは、更なる調査に取り掛かろうとした時、コルルから連絡が来た。

あれは、岩ではなく都市の瓦礫だった。

と聞きワワも驚き動揺したが、ワワもコルルに、星の位置がおかしい事を伝え、もっと調査する必要があると互いに伝えた。

コルルが瓦礫を調べてる時、サポート役のタルカは瓦礫の側で小さな植物を見つけ、ウゲルカ器官を通じて植物に話しかけた。

『ここで何があったの?』と聞く

『……』植物は心を閉ざしてるようだった。

何度か会話を試みてると植物は

『向こう』

と一言だけ話した。
それは何処?と尋ねても、同じ返答の繰り返しだった。

向こうと言われても、何処なんだろう?と周囲を見回し、ふと、
もしかして、ずっと先に植物が自生してそうな場所があったはず、そこの事?

と思い瓦礫の調査をしているコルルに、向こうの植物がありそうな場所に行きたい旨を伝えると、コルルは

『あそこは出入口から遠いし、一人で行くのは危険、一緒に行くから、この調査が終わるまで、もう少し待って』

そう言われ、だいぶ待ったがコルルの調査は終わりそうも無いので、タルカは、こっそり独りで植物がありそうな場所に向かった。


   その頃、地下チームはもう1つの最深部に繋がる入り口に着いた。

封鎖されている入り口の扉を開け進んで行くと、更に厳重な扉にたどり着く。

モセル

『ここから先は、本当に危険。戻るなら今のうち』

再度チームに意思の確認をした。
皆、緊張した面持ちで頷き、それを確認したモセルは扉を開けた。

扉の先は真っ暗で、ウゲルカ器官を使用しても周囲の状況が全く掴めない。

光を当てると、そこには通路と呼べない隙間のような空間があった。

モセル先頭にチームは、ゆっくりと進む。
これまでの地下の地質とは全く違う、様々な色がある地質。

その地質は触れる色によって異なる。

青はもろい。

赤は反発力。

黄色は触れた形に変形する。

それぞれ、不思議な物質だった。

(地球のように、何層も重なりあった形の地層ではなく、不規則な形で色も場所もバラバラ)

地下物質の研究しているコーカクは

『何なんだこれは?こんな場所があるのか』

と驚きを隠せなかった。
チームは、道なき隙間を進んだ。

黄色の物質を押して形を変え、隙間を作り通過したり、赤の物質に反発され進むのに苦労して、何かが崩れる音がする度に緊張が走り、皆、疲れ始めていた。

それを見たモセルは

『この先に空間があったはず、そこで休もう』

と言い進んだ。 

空間にたどり着くと皆、疲れた表情だった。
コーカクがモセルに聞く

『最深部までは、あとどのくらい?』


『もう少しだが、ここから先が本当に危険な所。なにせ周囲の物質は、ほぼ青』

それを聞いたコーカクは、ここに来た事を、少し後悔した。


 その頃、地上の丘で調査していたワワは

『やはり、この星がおかしい』

と空を見つめた。

すると、遥か先に黄緑色に光ってる点に気付く。

『あれは…まさか…』

と眺めていたが、その光は1つ、また1つと徐々に数が増えて、黄緑の光も段々と明るさを増してるように見えた。

『間違いない大変!』

ワワは慌てて、コルルとタルカを呼んだ。

『コルル!タルカ!急いで戻って!』

何事かと、コルルは丘にいるワワの方を見る。

ワワ続けて

『ラヤキ族に見つかった!今すぐ戻って!』


コルルも事の重大さに気付き、調査を放り出してタルカを探すが、見当たら無い。

『何処!タルカ!タルカ!』

と呼びながら探すと、ずっと先にタルカはいた。

コルル『タルカ!!急いで戻って!!』

コルルの緊迫した様子にタルカは

『どうしたの!!?』と聞くとコルルは

『ラヤキ族に見つかったの!!早く戻って!!』

タルカは、それを聞いて恐怖した。

ラヤキ族は蟹に翼がついたような外見(クジラよりも大きい)
陸上、水中、空中と場所を問わず行動が出来る。
知能は優れないが、探知能力と移動速度が優れているのが特徴。

本来は、そんなに攻撃的な性格ではなかったが争いが始まってからは、より攻撃的になった。

ラヤキ族の恐さを周囲から聞いていたタルカは、急いで戻ろうとしたが、地下の出入口までの距離が遠く、たどり着く前にラヤキ族に追い付かれると判断し、出入口とは反対方向の、植物がありそうな場所で隠れようと思い、走った。

反対方向に走り出したタルカ見てコルルとワワは

『何処に行くのタルカ!!』

『出入口の方に戻って!こっちだよ!!』

と強く言うが、タルカは聞かない。
コルルはタルカを連れ戻そうと向かうが、その間にもラヤキ族は、ぐんぐん近づいて来る。

 ワワは

『コルル!タルカの所までは遠い、もう間に合わない!急いで戻ってコルル!』

コルルは、今からタルカを連れ戻しに行くか?
それとも、タルカを見捨てて自分を守るのか?の選択に迫られ動けずにいると、タルカから

『大丈夫!必ず戻るから!!行って!』

コルルは、タルカに

『必ず!必ず戻って来るんだよ!!』

コルルは出入口の方へ急いだ。

タルカは、植物がありそうな場所に走り着いた。

そこには、沢山のツル植物が地を這っていて、そのツルに潜り込んで隠れようとするも、硬く入れない。

『助けて!隠れさせて!お願い!』

とウゲルカ器官を使って植物に語りかけるタルカ。
植物からの返事は無かったが、ツルが動き出し、タルカが隠れられる大きさの隙間を作り、その中にタルカは隠れた。

その直後、地響きをするような爆音で羽ばたく、ラヤキ族達がタルカの頭上に迫っていた。
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