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ラムダムランプ

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第1章『ベサーイの最後』

第3節『未知の地』

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タルカはツル植物の隙間に身を隠し、迫り来るラヤキ族に怯えていた。

先に地下の出入口に到着したワワは、地下への扉を開け、焦る気持ちを抑えコルルを待っていた。

タルカの真上をラヤキ族達が飛んで行く。
おびただしい数のラヤキ族が、地響きするような爆音で羽ばたき、その数の多さに地面が暗闇になっていく。

タルカは恐怖でラヤキ族に見つからない事を願うしかなかった。

コルルは、ワワが待つ出入口に全力で走る。
迫り来るラヤキ属の爆音で羽ばたく音だけが聞こえる。

走るコルルの背後に、空一面の眩しい黄緑色の光と大地が影のように黒くなってく様子を見ていたワワは

『もっと早く!!もう少し!』

とコルルに言う。

ラヤキ族達がコルルに目掛けて急降下を始めた。
コルルが扉に走って入ると同時に、ワワが扉を閉めた。
その直後、凄い数のラヤキ族が扉に体当たりしてる轟音が聞こえた。

間一髪、間に合ったコルルとワワ。
二人は扉の方を一度見て、それから地下都市に向かった。

ラヤキ属達は扉に体当たりや、こじ開けようとしたが、扉はびくともしない。

すると再び飛び始め、ムカークが扉から出てくるのを待ち構えるように、出入口の上空を旋回し始めた。

その様子を離れた距離から見ていたタルカ。

『二人とも大丈夫だろうか?無事に戻れただろうか?』

と心配していた。


その頃、地下チームは休憩を終え、危険な場所に挑んでいた。

青色の物質で覆われた狭い隙間を進んだ。
青色の物質は触れるだけで崩れやすく、足元に若干の細い黄色の物質があり、そこの上を進むしかない。

黄色の物質は、先に進んだ者の形に変形してしまうので後ろの者は進むのに大変だった。

何とかそこを通り抜けると、次も先程と同じような隙間で、今度は、足元の物質が赤色だった。

僅かな衝撃でも反発する赤色の物質。
皆、ゆっくり慎重に進む。
チームの先頭を行くモセルが

『もう少しだ。頑張ろう』

と皆を励ます。

そして、ゆっくりと進んだ先には、球状の丸い空間があった。
皆がそこに到着すると、モセルが

『ここが最深部』

と言った。

球状の壁に光を当てると白色だったが、光が反射せず、まるで光を吸収してるかのように、当てた場所のみ見える壁で、音も反響しない不思議な所だった。

この不思議な場所に皆、見とれていたが、モセルが、帰りもあるのだから、直ぐに調査を始めよう。と言い、調査に取り掛かった。


その頃、地上で調査をしていたコルルとワワが地下都市に帰って来た。

市民達が出迎え、皆喜びの表情だったが、直ぐに1人いない事に気付き、コルルとワワの浮かない表情から察し、市民達は、沈痛な表情に変わった。

市民達の中からタルカの両親が出て来て、タルカの母親は

『タルカは?タルカはどうしたの?何処なの?』

とコルルとワワに詰め寄った。

コルルとワワは、タルカの両親に地上で起きた事を話すと、母親は取り乱した様子で、タルカを助けに地上への出入口に向かおうとしたが、コルルが、今、地上の扉を開けて出たらラヤキ族がいるかもしれない。

そうしたらムカーク族も都市も危険な事になる。と必死に引き留めた。

崩れ落ちる母親に父親が

『タルカは必ず戻ると言った。信じよう』

と言い寄り添った。

ワワが

『ラヤキ族達がいなくなったら、タルカを連れ戻しに行く』

と強い面持ちで両親に伝えた。
そしてコルルとワワは地上で調査した事の分析を始める事にした。


 一方その頃、ツル植物に身を潜めていたタルカは、未だにラヤキ族達が出入口の上空で旋回して、不気味な黄緑色の光の輪を作り出す光景に

『暫く帰れそうもないな』

と落ち込んでいた。

するとツルの一部が動き、中から小さな花が出て来て

『あなたは何処から来たの?』

とタルカに聞いてきた。

タルカは、その小さな花に身を隠してくれた事のお礼を言い、自分の名前、ムカーク族の事や地上に来た理由も話した。

すると小さな花は

『何が起きたのか?これから何が起こるか?知りたい?』

とタルカに聞き、

もちろん知りたいとタルカが返すと、小さな花は

『限定地に行けばわかるよ』

とタルカに伝えた。

限定地?聞いた事も無い、何処なのだろう?と思っていると、
小さな花が

『案内する』

と伝えタルカを隙間に隠したままツル植物は地を這うように動き出した。

ラヤキ族に見つかるのではないか?と心配するタルカを余所にツル植物は移動する。

上空を旋回しているラヤキ族達は、全くこちらに気付いてない。

その間にも、地面を滑るように、どんどん進んで行くツル植物とタルカ。

ラヤキ属達が旋回してる黄緑色の光の輪が遠くなっていく事に安堵する一方、都市から離れる不安な気持ちが入り交じっていた。


その頃、地下チームは球状の中で調査していた。
コーカクが

『何もわからない』

と言い出した。

どういう事なのか?とモセル達が聞くと、コーカクは

『物質調査しようとしたが無反応で、その原因もわからない』

と困り果ててた。

サポート役の一人が、ここまで来たのに。と壁に光を当てると僅かに何か見えた。

ここに何かある!

と周囲に伝え、光が当たる部分しか見えない壁なので、皆で光を壁に当てた。

壁の一部に小さな絵らしきものが見えた。
あれは絵?模様?

と皆がそこに集まり、光を当てようとしたら空間のバランスが崩れ揺れ始めた。

慌てふためく地下チーム。
モセルが

『ここを出るぞ!戻るんだ!』

と言いチームは急いで空間から出て、狭い隙間を移動した。

先頭を行ったサポート役が崩落する恐怖と焦りから、赤色の反発する物質を強く踏んでしまい反発で押し戻され、その後ろにいた者にぶつかり、ぶつけられた者はその勢いで後ろに反発、それの連続で最後尾にいたコーカクとモセルは揺れる空間に押し戻された。

コーカクとモセルは隙間に戻ろうとしたが、揺れは更に強くなり、帰り道の狭い隙間と球状の空間を境目に、モセルとコーカクが空間と共に崩れ落ちて行った。
他は何とか隙間に全員残っていた。

モセルとコーカクがいなくなった事に深く悲しんだが、自分達の居る場所も危険で、いつ崩壊しても、おかしくない。
二人を失った悲しみを堪えて必死に隙間を進んだ。

空間と共に崩れ落ちて行ったモセルとコーカク。
落ちて直ぐに空間の穴(狭い隙間から空間に入った場所) が閉じて完全な球体の空間になった。

揺れも収まり静かで、落ちて行ったはずなのに衝撃も何も無く、

落ちているのか?

止まっているのか?

それすら分からない状態だった。

この状況にモセルとコーカクは戸惑い、ただ居る事しか出来ずにいた。


その頃、タルカはツル植物と都市から、かなりの距離を移動していた。

ここからラヤキ族は、もう見えない。
すると突然、ツル植物は止まった。

目の前に地面が無く、タルカはツルの中から出て立ち上がると崖のような場所だった。

大地が、そこから切り取られてるような渓谷。
初めて見る景色に感動していた。
小さな花が

『ここを降りる』

と言った。

崖の下を覗くと、とんでもない高さ。

『降りると言っても、どうやって降りるの?』

と小さな花に聞くと返事はなく、ツルがロープのように、タルカの体に巻き付き、崖のあちこちを絡むように掴んで降りて行く。

タルカは、あまりの高さに少し怖かったが景色は美しかった。

崖を降りたら、体に巻き付いていたツルは離れ、小さな花が

『案内する』

とだけ言い、ツル植物はタルカの前を、地を這うように先導した。

大分歩き渓谷を抜けた先に、高く白い壁のような物が見えた。

近づいて行くと、それは白い霧のかかった森だった。
その光景が不思議で森と乾いた大地の間に、まるで境界線のように空間が区切られてる事に気付いた。

森の場所は白い霧に覆われているのに、こちらに(大地)霧が来ない。
先導してくれたツル植物の小さな花が

『ここ』

とだけ言った。
タルカは森に向かう。
大地の空間から白い霧の空間に、ゆっくりと進んだ。

入った瞬間、気温が違う事に驚いた。
そしてウゲルカ器官での、周囲の状況把握が出来ない。
それなのに植物達の会話は聞こえる。

(何処から来たのだろう?)

(何の種なんだろう)

(不思議な移動の仕方だ)

タルカも会話しようと試みるが出来ず、植物達の会話を聞くだけだった。

森を抜けると白い霧が無くなり、目の前には、広大な緑の大地が広がってた。

そのずっとずっと奥に、とてつもなく大きく柱のような物体があった。
その光景を見たタルカは思わず

『ログカーロの木』

と言った。
ログカーロの木とは、伝話の木で、幹の直径が1キロあり高さは8キロもある。
木と言っても根も枝葉も無く、幹1本で自立している。

タルカは信じられなかった。
ログカーロに向かって歩くタルカ。

徐々に近づくにつれ、遠くから1本に見えていたログカーロだったが、実は何本も円形状に並んでいたのだ。

ログカーロの近くに着いた。
その迫力に圧倒される大きさ。
木というよりは壁だった。
すると

『間を通りなさい』

と声が聞こえた。

タルカはログカーロに向かって話すが、返ってくる返事は同じだった。

間と言っても何の間なのだろか?と思いながら、木の幹の側を歩き始めた。
歩いて行くと、円形に並んで立つログカーロの木と木との間があった。

これの事なの?と中を覗くも真っ暗で、何も見えなかった。 
凄く大きく、高い木が円形に並んでるので、地面にまで光が届かず真っ暗に見える。

そう思ったタルカは、真っ暗な地面に向かって歩いたが、落ちて行った。
しかし、それは地面ではなく大きな穴だった。


その頃、都市では地上調査の分析をしていたコルルとワワが重大な事を発見する。
ワワ

『ランキバーサの軌道がズレてる』
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