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第十二章
505 楽しそうだな〜
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アビリス王とジルファスは、覚悟はしていた。
腹に響くような下から湧き上がるような絶叫が空へと昇っていく。
そして、しばらくしての静寂。
この後どうしようかとアビリス王とジルファスは、コウヤの頭越しに顔を見合わせる。ここでコウヤが笑った。
「大丈夫ですよ」
コウヤの存在を、王子としてのコウヤを否定されたらどうしようと、アビリス王とジルファスは不安だった。
しかし、少なくともコウヤを知る者達は味方となる。
「「……コウヤ……」」
それが聞こえた民衆は、今まで忘れていた瞬きを再開する。
コウヤはもう一歩踏み出して、広場を見回す。そして、知り合いの冒険者達を見つけて手を振った。
これにより、誰もが覚醒した。
「「「「「っ……っ、おぉぉぉぉぉっ!!」」」」」
「「「「「コウヤぁぁぁぁっ」」」」」
「「「「「コウヤ様ぁぁぁぁ」」」」」
「「「「「王子様ぁぁぁぁ」」」」」
盛大な歓声が爆発するように広場からだけでなく、国中から聞こえるようだった。
「「……さすがコウヤ……」」
「ふふっ。冒険者ギルド職員ですからね。知り合いは多いですし」
「そういう……」
「ことだけじゃ……」
知り合いが多いからという理由だけでは無理がある盛り上がりぶりだ。
「ちょっ、コウヤじゃんっ!」
「コウヤが王子様!?」
「ってか王子様の格好似合う~っ、あれは王子様だわっ!」
興奮しながら、コウヤを知る王都の冒険者達は歓迎した。
「ユースールの奴らっ、知ってたんじゃねえだろうなっ?」
「あり得そうじゃん?」
「そうそうっ。変な事言ってたもん。お披露目見ていかないのかって聞いたら、今まで独占してた分があるからって」
「それ……絶対知ってただろ……」
今頃、ユースールの者達は、この映像を見てさぞ愉快げに笑っていることだろう。
実際にユースールでは、この騒ぎを酒のつまみにして笑っていた。
「やっぱこうなるよな~」
「あははっ。大混乱じゃんっ」
「王都の奴ら、変な噂信じてたりしてたし、あれ終わったら自己嫌悪でしばらく大人しくなるんじゃねえ?」
「王子を悪く言ってたってことは、コウヤを悪く言ってたってことだもんな~」
「噂流した奴ら、明日っから肩身狭くなるだろうな」
「いやいや、終わってすぐに狩りになるって。先ず、近衛の奴らが王都から出さねえだろ」
「「「「「楽しそうだな~」」」」」
それを思うと、惜しかったなと残念がっていた。
その予想通りではあるが、ユースールの者達の予想よりは遥かに動くのは早かった。
この時点で動き出したのだ。広場は近衛達が目を光らせているが、ギルド前や教会では違う。
コウヤを悪く言った。王子を悪く思っていた者達は、その話をした者達をその場ですぐに探した。
「お前! お前が話してたよな!?」
「違っ、お、俺はあいつから!」
「お、俺も、あっ、アイツ! アイツから聞いたんだ!」
そうして、噂の元が徐々に絞られていく。ここでマズいと思った者が逃げ出しにかかっており、それが密かに監視していた神官達の目に映る。
逃げるというのは、悪いことをしたという証拠ということで、すぐに取り押さえられた。
「た、助けっ」
「なんでっ、なんでだっ」
「くそっ。計画がめちゃくちゃだっ」
噂に踊らされた冒険者達や住民達は、お披露目の鑑賞を断念し、逃げようとする噂をばら撒いていた者を追いかける。
「そっちに行ったぞ!!」
「逃がすなぁぁぁ!」
「許さねえぞ!」
「「「「「ひいっ……」」」」」
そうして、神官達が目星を付けていた者はほぼ捕えられていった。
「さすがはコウヤ様ですね」
神官達は、誇らしく思った。これだけの人が動いたというのに、そのきっかけはコウヤが姿を現し、笑って手を振っただけ。
たったそれだけで、神教会の陰謀が潰えたのだ。
何はともあれ、お披露目は大成功だろう。邪魔をしようとしていた者達は根こそぎ捕らえられ、安全は確保された。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
腹に響くような下から湧き上がるような絶叫が空へと昇っていく。
そして、しばらくしての静寂。
この後どうしようかとアビリス王とジルファスは、コウヤの頭越しに顔を見合わせる。ここでコウヤが笑った。
「大丈夫ですよ」
コウヤの存在を、王子としてのコウヤを否定されたらどうしようと、アビリス王とジルファスは不安だった。
しかし、少なくともコウヤを知る者達は味方となる。
「「……コウヤ……」」
それが聞こえた民衆は、今まで忘れていた瞬きを再開する。
コウヤはもう一歩踏み出して、広場を見回す。そして、知り合いの冒険者達を見つけて手を振った。
これにより、誰もが覚醒した。
「「「「「っ……っ、おぉぉぉぉぉっ!!」」」」」
「「「「「コウヤぁぁぁぁっ」」」」」
「「「「「コウヤ様ぁぁぁぁ」」」」」
「「「「「王子様ぁぁぁぁ」」」」」
盛大な歓声が爆発するように広場からだけでなく、国中から聞こえるようだった。
「「……さすがコウヤ……」」
「ふふっ。冒険者ギルド職員ですからね。知り合いは多いですし」
「そういう……」
「ことだけじゃ……」
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「ちょっ、コウヤじゃんっ!」
「コウヤが王子様!?」
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興奮しながら、コウヤを知る王都の冒険者達は歓迎した。
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実際にユースールでは、この騒ぎを酒のつまみにして笑っていた。
「やっぱこうなるよな~」
「あははっ。大混乱じゃんっ」
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「王子を悪く言ってたってことは、コウヤを悪く言ってたってことだもんな~」
「噂流した奴ら、明日っから肩身狭くなるだろうな」
「いやいや、終わってすぐに狩りになるって。先ず、近衛の奴らが王都から出さねえだろ」
「「「「「楽しそうだな~」」」」」
それを思うと、惜しかったなと残念がっていた。
その予想通りではあるが、ユースールの者達の予想よりは遥かに動くのは早かった。
この時点で動き出したのだ。広場は近衛達が目を光らせているが、ギルド前や教会では違う。
コウヤを悪く言った。王子を悪く思っていた者達は、その話をした者達をその場ですぐに探した。
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「お、俺も、あっ、アイツ! アイツから聞いたんだ!」
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「た、助けっ」
「なんでっ、なんでだっ」
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「そっちに行ったぞ!!」
「逃がすなぁぁぁ!」
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そうして、神官達が目星を付けていた者はほぼ捕えられていった。
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神官達は、誇らしく思った。これだけの人が動いたというのに、そのきっかけはコウヤが姿を現し、笑って手を振っただけ。
たったそれだけで、神教会の陰謀が潰えたのだ。
何はともあれ、お披露目は大成功だろう。邪魔をしようとしていた者達は根こそぎ捕らえられ、安全は確保された。
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