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第十二章
484 レベル……
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対戦が始まった。
リクトルスが指揮を執るニールやパックン達、六人(?)対受験者達全員だ。因みに、パックン達眷属組は、開始と同時に本来の姿になっている。テンキは九尾の姿だ。
ニール達は訓練場内に散らばり、軽くグループを作っていく。その中でニールとブランナ、ビジェが神剣で斬りつけて、精神力を削っていた。
筋肉痛のような症状が出るのは、もう少し後だ。先ずは心を折っていくということだろう。
そんな中で、パックンがパックンして悪夢を見せたり、テンキが電撃をくらわせ、重力魔法で宙に吊し上げる。そして、ダンゴが幻惑魔法で、体力を削る。
特にダンゴのは、キツい。洗脳も入るので、捕まったらひたすら、立ち上がりと腕立てを組み合わせた、いわゆる『バーピージャンプ』をし続ける。
大体、トラック一周するまでには立ち上がれなくなり、腕立ても出来なくなる。よって、地面に腹ばいになり、魚のようにピチピチするだけになった。異常な光景だ。
そこに、テンキの電撃や、パックンが来る。そして、覚醒しフラフラの状態でニール達に斬られるのだ。
「「「「「……」」」」」
観ている方は言葉もなかった。
「……拷問……?」
その呟きが誰から出たのか分からない。だが、誰もが思ったようだ。
予選落ちとなった冒険者達も、完全に引いている。
「……残らなくて良かった……」
思わずそんな言葉も出てしまう、悲惨な光景だ。
そして、次第に目も虚ろになってきた受験者達に、リクトルスが声をかけていく。
「そんなことでどうします。あなた達の覚悟はそんなものですか?」
これに、何人かが目を覚ます。
その瞳に力が宿る。これを観ていた者達が心底感心し、感動した。
「あいつ……っ、あいつ、漢だ!」
「あれで折れないなんてっ……スゴイやつだわっ」
「頑張れ!!」
立ち上がった者達は、再び剣を構え、今度はリクトルスへ告げる。
「お願いします!」
「いきます!!」
「負けるかぁぁぁっ」
挑んだくる彼らに、リクトルスはとても嬉しそうに微笑んでいた。
「素晴らしい。見どころがあります。来なさい」
「「「おおっ!!」」」
そうして、いつの間にか、観ている者達からも声援が送られる。
「頑張れ!!」
「行けぇぇぇ!」
「いいぞぉぉっ」
見学に来ていた貴族達からも同じような声援を受け、冒険者も騎士も魔法師達も頑張っていた。
そして、コウヤは気付いてしまった。
「あ……リクト兄……まさか……」
「どうかしたの。兄さん」
ルディエが、珍しく動揺するコウヤに声をかける。そして、そんなルディエにコウヤの苦笑いが向けられた。
「えっと……ルー君、鑑定使えるよね。レベル見える?」
「レベル……分かるけど……」
言われてルディエは、必死にリクトルス達に食らいつく受験者達を視た。
「っ……え……」
ルディエは信じられないものを視るような目で、他の受験者達も確認していく。
いつも澄まし顔のルディエまでも動揺した顔をしたため、ジルファス達も何事かと不安になる。
「コウヤ? ルディエ君までどうしたんだい? 一体何が……」
これに、ルディエは見たままを告げる。
「……すごい勢いでレベルが上がってる……もう二百も見えてる奴もいる……」
「「……え?」」
レベルを上げることの難しさを知っているジルファスとミラルファが、思わず小さく声を上げて口を半開きにする。
尚も苦笑いを浮かべるコウヤに、アビリス王が分かりやすい答えを求めた。
「すまない。コウヤ。どういうことだろうか?」
「その……俺もさっき気付いたんですけど、この試験、昔、他の世界の神から依頼されて研究していたものを応用しているみたいで……」
「他世界の神からの依頼……」
それはどんな依頼かと更に不安がるアビリス王。ジルファスとミラルファも真剣に聞いていた。
ルディエも気になるようだ。
「どんな依頼?」
「……『勇者育成プログラム』」
「「「「「勇者!?」」」」」
「うん……」
困るよねとコウヤは笑った。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
次回、来週11日です!
よろしくお願いします◎
リクトルスが指揮を執るニールやパックン達、六人(?)対受験者達全員だ。因みに、パックン達眷属組は、開始と同時に本来の姿になっている。テンキは九尾の姿だ。
ニール達は訓練場内に散らばり、軽くグループを作っていく。その中でニールとブランナ、ビジェが神剣で斬りつけて、精神力を削っていた。
筋肉痛のような症状が出るのは、もう少し後だ。先ずは心を折っていくということだろう。
そんな中で、パックンがパックンして悪夢を見せたり、テンキが電撃をくらわせ、重力魔法で宙に吊し上げる。そして、ダンゴが幻惑魔法で、体力を削る。
特にダンゴのは、キツい。洗脳も入るので、捕まったらひたすら、立ち上がりと腕立てを組み合わせた、いわゆる『バーピージャンプ』をし続ける。
大体、トラック一周するまでには立ち上がれなくなり、腕立ても出来なくなる。よって、地面に腹ばいになり、魚のようにピチピチするだけになった。異常な光景だ。
そこに、テンキの電撃や、パックンが来る。そして、覚醒しフラフラの状態でニール達に斬られるのだ。
「「「「「……」」」」」
観ている方は言葉もなかった。
「……拷問……?」
その呟きが誰から出たのか分からない。だが、誰もが思ったようだ。
予選落ちとなった冒険者達も、完全に引いている。
「……残らなくて良かった……」
思わずそんな言葉も出てしまう、悲惨な光景だ。
そして、次第に目も虚ろになってきた受験者達に、リクトルスが声をかけていく。
「そんなことでどうします。あなた達の覚悟はそんなものですか?」
これに、何人かが目を覚ます。
その瞳に力が宿る。これを観ていた者達が心底感心し、感動した。
「あいつ……っ、あいつ、漢だ!」
「あれで折れないなんてっ……スゴイやつだわっ」
「頑張れ!!」
立ち上がった者達は、再び剣を構え、今度はリクトルスへ告げる。
「お願いします!」
「いきます!!」
「負けるかぁぁぁっ」
挑んだくる彼らに、リクトルスはとても嬉しそうに微笑んでいた。
「素晴らしい。見どころがあります。来なさい」
「「「おおっ!!」」」
そうして、いつの間にか、観ている者達からも声援が送られる。
「頑張れ!!」
「行けぇぇぇ!」
「いいぞぉぉっ」
見学に来ていた貴族達からも同じような声援を受け、冒険者も騎士も魔法師達も頑張っていた。
そして、コウヤは気付いてしまった。
「あ……リクト兄……まさか……」
「どうかしたの。兄さん」
ルディエが、珍しく動揺するコウヤに声をかける。そして、そんなルディエにコウヤの苦笑いが向けられた。
「えっと……ルー君、鑑定使えるよね。レベル見える?」
「レベル……分かるけど……」
言われてルディエは、必死にリクトルス達に食らいつく受験者達を視た。
「っ……え……」
ルディエは信じられないものを視るような目で、他の受験者達も確認していく。
いつも澄まし顔のルディエまでも動揺した顔をしたため、ジルファス達も何事かと不安になる。
「コウヤ? ルディエ君までどうしたんだい? 一体何が……」
これに、ルディエは見たままを告げる。
「……すごい勢いでレベルが上がってる……もう二百も見えてる奴もいる……」
「「……え?」」
レベルを上げることの難しさを知っているジルファスとミラルファが、思わず小さく声を上げて口を半開きにする。
尚も苦笑いを浮かべるコウヤに、アビリス王が分かりやすい答えを求めた。
「すまない。コウヤ。どういうことだろうか?」
「その……俺もさっき気付いたんですけど、この試験、昔、他の世界の神から依頼されて研究していたものを応用しているみたいで……」
「他世界の神からの依頼……」
それはどんな依頼かと更に不安がるアビリス王。ジルファスとミラルファも真剣に聞いていた。
ルディエも気になるようだ。
「どんな依頼?」
「……『勇者育成プログラム』」
「「「「「勇者!?」」」」」
「うん……」
困るよねとコウヤは笑った。
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