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第十一章
461 大工仕事!?
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エルフの里より森の奥にある残りの迷宮化した土地は後四つ。
今日一日は武器の整備などでゆっくりと過ごしてもらおうと思ったのだが、冒険者達は、揃ってコウヤも予想していなかった行動に出ていた。
「え!? なんでみんなで大工仕事!?」
まるでみんなでやれば早くできるよねと言うように、総出で村の改変に乗り出したのだ。
「そっちもうちょい左!」
「よーし、上げてくれ!」
「こんなもの? すごいわね。結構深いとこまで打ち付けるんだ……」
「地面にこんなに刺すのって大変だけど楽しいわねっ」
「そっち持って~」
「ほいよ! 次~っ」
冒険者達の半数が森で木を切り、樵と化し、魔法師達が木を乾燥させ、更に切り出されて板や角材となったものを担いでいく。
「あっ、コウヤっ。コウヤが休みの日でもこうやって働く気持ちが分かったよっ」
「これ、楽しいわねっ。うんうん。日頃とは違うことをするって良いわ~」
「気分転換にもいいし、体も鈍らないしなっ」
「……えっと?」
分かって欲しかったわけでもなく、なぜ突然と、珍しくコウヤは動揺していた。
そして、これに当然のようにこの里のエルフ達も加わっている。
「いやあ、ゼスト様と働けるなんてっ……っ、明日死んでもいいです!」
「一生で最高の日だよっ。もう明日から何一つ良いことなくても良い!」
「生きてて良かったっ」
涙も汗もキラキラしていた。
「……なんだろ……アイドルと一緒に働く……みたいな? みんな、テンションおかしい!」
明日からの迷宮攻略は大丈夫だろうかと心配になる。
因みに、パックンがマンタを回収し、ダンゴとテンキと共に少し前にこの里に来たのだが、すぐに冒険者達と一緒にドラム組に混ざって、それぞれが大活躍していた。
眷属達までも参加するという、そんな戸惑うコウヤの下に、ジンクがやってきた。
「面白いことになってるねえ」
「おかしいよね? 楽しそうだけど」
「あっはっはっ。これはアレだっ。迷宮化の対応が終わったら、何人かドラム組に入るって言う子いると思うよ」
「……冒険者ギルド職員としては、ちょっと困るんですけど」
歳を取って引退というのが穏やかな冒険者の終わり方。若い内から転職というのは珍しい。それも、今ここに集まっているのは、第一線で活躍する冒険者の中でも精鋭中の精鋭だ。Bランクも上の方からAランクの者達ばかり。
冒険者稼業が合わなくて転職ということもあり得ない人たちだった。
「大丈夫だよ。ドラム組の人でも、冒険者と兼業してるのもいたでしょ?」
「まあそうですけど……最近はドラム組の方が忙しかったですしね。そっち優先ですし」
「いいじゃん。体力的にはまあまあ同じくらいだしね。あ、いや……ドラム組の方が上かもね」
ドラム組の者たちを見ていると、常に休まず動き続けている。そして、集中力も高い。
「確かに……棟梁も、なんだかんだ言って、ハリー君と遊べるくらいの力ありますからね」
実際、棟梁を筆頭に、普通に魔獣が出て来ても殴り倒せるくらいの力がある。
ユースールで木材を調達しようとしたら、先ず、ジャイアントハリーを相手にできないといけない。
その他の建材も、急ぎの時はコウヤが取りに行っているが、その日その日で担当を決めて、迷宮に潜り、ドラム組の者たちだけでそれらを取ってきていたりする。
よって、冒険者ギルドに、ドラム組からの調達依頼はほとんど出ない。自分達で出来てしまうからだ。それだけの力が普通にある。
「コレはあれだね。逆にドラム組の子達の中でも、明日の迷宮攻略に参加するって子が出てくるかもねっ」
「あり得そうです……っ、あっ!」
「どうしたの?」
コウヤが目を向けたのは、武器や武具を調査員しているドワーフ達の中。その中に、見覚えのあるものを見つけた。
「あのグローブっ、棟梁のだ!」
「うわ……これ、本当に明日の迷宮討伐、参加しそうだね」
「……たまたまだと思いたいんですけどっ」
「いやあ~、もうなんかさあ、みんな揃って、ちょっとお祭り騒ぎみたいになってるじゃない? この調子だと、ゼスト様まで参加しそうっ」
「っ……」
「いや、冗談だよ? あははっ。そんなこと……っ、今猛烈にあり得る気がしてきた!!」
そのために、冒険者達の手も受け入れているのではないかと思えてならなかった。
「……さっきから、あっちの、森の方でばばさま達が暴れてるのは多分……それを予想してかも……」
特別訓練中のような気がしてならなかった。その上、他の神子達も集まりつつあるようだ。
「っ、こうしちゃいられない!」
「え!? ちょっ、ジンクおじさん!?」
「明日のために体動かしてくるよ~!」
里の外に向かって駆け出したジンクは、もう振り返らなかった。
「おじさんも行く気!? これは……マスター達と打ち合わせをもう一度しておく必要があるかな……」
人数と戦力が大幅に増えることを考え、明日の攻略についての作戦と割り振りを、今一度早急に話し合う必要がありそうだと、珍しく頭を抱えるコウヤだった。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
二日空きます。
よろしくお願いします◎
今日一日は武器の整備などでゆっくりと過ごしてもらおうと思ったのだが、冒険者達は、揃ってコウヤも予想していなかった行動に出ていた。
「え!? なんでみんなで大工仕事!?」
まるでみんなでやれば早くできるよねと言うように、総出で村の改変に乗り出したのだ。
「そっちもうちょい左!」
「よーし、上げてくれ!」
「こんなもの? すごいわね。結構深いとこまで打ち付けるんだ……」
「地面にこんなに刺すのって大変だけど楽しいわねっ」
「そっち持って~」
「ほいよ! 次~っ」
冒険者達の半数が森で木を切り、樵と化し、魔法師達が木を乾燥させ、更に切り出されて板や角材となったものを担いでいく。
「あっ、コウヤっ。コウヤが休みの日でもこうやって働く気持ちが分かったよっ」
「これ、楽しいわねっ。うんうん。日頃とは違うことをするって良いわ~」
「気分転換にもいいし、体も鈍らないしなっ」
「……えっと?」
分かって欲しかったわけでもなく、なぜ突然と、珍しくコウヤは動揺していた。
そして、これに当然のようにこの里のエルフ達も加わっている。
「いやあ、ゼスト様と働けるなんてっ……っ、明日死んでもいいです!」
「一生で最高の日だよっ。もう明日から何一つ良いことなくても良い!」
「生きてて良かったっ」
涙も汗もキラキラしていた。
「……なんだろ……アイドルと一緒に働く……みたいな? みんな、テンションおかしい!」
明日からの迷宮攻略は大丈夫だろうかと心配になる。
因みに、パックンがマンタを回収し、ダンゴとテンキと共に少し前にこの里に来たのだが、すぐに冒険者達と一緒にドラム組に混ざって、それぞれが大活躍していた。
眷属達までも参加するという、そんな戸惑うコウヤの下に、ジンクがやってきた。
「面白いことになってるねえ」
「おかしいよね? 楽しそうだけど」
「あっはっはっ。これはアレだっ。迷宮化の対応が終わったら、何人かドラム組に入るって言う子いると思うよ」
「……冒険者ギルド職員としては、ちょっと困るんですけど」
歳を取って引退というのが穏やかな冒険者の終わり方。若い内から転職というのは珍しい。それも、今ここに集まっているのは、第一線で活躍する冒険者の中でも精鋭中の精鋭だ。Bランクも上の方からAランクの者達ばかり。
冒険者稼業が合わなくて転職ということもあり得ない人たちだった。
「大丈夫だよ。ドラム組の人でも、冒険者と兼業してるのもいたでしょ?」
「まあそうですけど……最近はドラム組の方が忙しかったですしね。そっち優先ですし」
「いいじゃん。体力的にはまあまあ同じくらいだしね。あ、いや……ドラム組の方が上かもね」
ドラム組の者たちを見ていると、常に休まず動き続けている。そして、集中力も高い。
「確かに……棟梁も、なんだかんだ言って、ハリー君と遊べるくらいの力ありますからね」
実際、棟梁を筆頭に、普通に魔獣が出て来ても殴り倒せるくらいの力がある。
ユースールで木材を調達しようとしたら、先ず、ジャイアントハリーを相手にできないといけない。
その他の建材も、急ぎの時はコウヤが取りに行っているが、その日その日で担当を決めて、迷宮に潜り、ドラム組の者たちだけでそれらを取ってきていたりする。
よって、冒険者ギルドに、ドラム組からの調達依頼はほとんど出ない。自分達で出来てしまうからだ。それだけの力が普通にある。
「コレはあれだね。逆にドラム組の子達の中でも、明日の迷宮攻略に参加するって子が出てくるかもねっ」
「あり得そうです……っ、あっ!」
「どうしたの?」
コウヤが目を向けたのは、武器や武具を調査員しているドワーフ達の中。その中に、見覚えのあるものを見つけた。
「あのグローブっ、棟梁のだ!」
「うわ……これ、本当に明日の迷宮討伐、参加しそうだね」
「……たまたまだと思いたいんですけどっ」
「いやあ~、もうなんかさあ、みんな揃って、ちょっとお祭り騒ぎみたいになってるじゃない? この調子だと、ゼスト様まで参加しそうっ」
「っ……」
「いや、冗談だよ? あははっ。そんなこと……っ、今猛烈にあり得る気がしてきた!!」
そのために、冒険者達の手も受け入れているのではないかと思えてならなかった。
「……さっきから、あっちの、森の方でばばさま達が暴れてるのは多分……それを予想してかも……」
特別訓練中のような気がしてならなかった。その上、他の神子達も集まりつつあるようだ。
「っ、こうしちゃいられない!」
「え!? ちょっ、ジンクおじさん!?」
「明日のために体動かしてくるよ~!」
里の外に向かって駆け出したジンクは、もう振り返らなかった。
「おじさんも行く気!? これは……マスター達と打ち合わせをもう一度しておく必要があるかな……」
人数と戦力が大幅に増えることを考え、明日の攻略についての作戦と割り振りを、今一度早急に話し合う必要がありそうだと、珍しく頭を抱えるコウヤだった。
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