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第六章 新教会のお披露目
200 これで解除できた
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いつの間にか200話です!
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まとめた書類や証拠品は部屋の隅に寄せ、監査をしていた白夜部隊と、様子を見に戻ってきた騎士とアルキス、それと、教会に残っていた兵達も集め、コウヤ達はルディエとビジェが大量に買ってきた屋台の食べ物を並べた。
「美味しそうっ! 早く食べようっ。いただきます!」
《足りる? (๑╹ω╹๑ ) 》
「うん。だってパックン、まだ全部出してないでしょ」
コウヤは焼きそばを食べながら、楽しそうに足下にやって来たパックンへ視線を落とす。
《バレた…… (¬_¬) 》
「パックンだしね。っていうか、やっぱり美味しい! ルー君、ビジェありがとう」
「ん……」
「ヤクに立てて、よかっタ」
ビジェは、キイによる指導を受け、言葉も大分滑らかになってきたようだ。
ルディエとビジェが教会建築予定地に戻った時、サーナからコウヤとベニの動向を聞いたらしい。ルディエもそろそろお腹が空いたということで戻ってきたのだ。コウヤもお腹を空かせているだろうと思った。
ルディエは、コウヤ限定でとっても気がきく。ただ、今回はせっかくだし一緒に食べたいなという思いが働いた結果だったのだが、口にはしない。
実際、大量に持って来たのは、キイに言われたからだ。兵達にも食べさせてやりなという言葉で、ならばパックンにお願いしようと決まった。ただし、このキイの提案が労いからの善意かと言われれば微妙なところだ。
『コレを食べたらクセになるやろ? そしたら、客になって明日からは並んどるわ』
キイは昔は商人に憧れがあったらしく、思考が時折こっちの方向へ向く。いつもは三人の中でも大人しい方なので、本当に時折だ。
因みにベニは武力を使いながらも、冷静に敵味方の区別を付け、殴り付ける。セイは直感を信じて敵対する者を殴り付ける。そして、キイは静かに見回し、現状の把握をした後、油断した者を一撃で沈める。ある意味、一番怖いのがキイだ。
「本当に美味しいですね。これが屋台の物ですか……」
ニールが驚きながらも美味しそうに焼きそばを食べていた。
「値段も安いから、子どものお小遣いでも買える物があるんです。ユースールでは、屋台部隊が出る度に、小遣い稼ぎに沢山の人がギルドに押しかけるんで、とっても忙しくて楽しいんですよ」
「なるほど。これを買えると思えば、活気付くのも頷けます」
仕事中毒者にとって『忙しくて楽しい』は心が躍るもの。よって、ニールは羨ましいという表情が出ていた。
「気のせいか? 忙しいのが楽しいって聞こえたぞ?」
「私もそう聞こえました」
アルキスと騎士が理解出来ないものを見るような目でコウヤとニールを見てしまうのは、正しい反応だろう。ただし、その手にあるお好み焼きを摘む手は休めなかった。
目の前でひょいひょいとタコ焼きを一気に三舟
平らげているベニは、聞かなかったことにしている。コウヤの仕事病は今更だ。
「そういえばルー君。調査はどこまで進んだの?」
ルディエとビジェは、王都内の孤児の数を調べていたはずだ。
「半分。けど、それでも結構な人数が居たよ」
「あんな、ハシの下とか……たてモノのカゲにたくさん……」
ビジェには少々、衝撃だったらしい。自国でも同じかもしれないと焦りのような感情もあるようで、落ち込んだように手を止めていた。
「長く普通に同じ場所で生活してると、人も景色の一部としか見えなくなるって言うし、普段は認識出来なくなるんだろうね」
最初は絶対に気になっているはずだ。だが、慣れてくるとそれが当たり前で、視界に入っていても、景色と同じに見えてくるようになってしまう。ほとんど動かなければ尚更だ。
「特に王都は人も多いし、建物も多いからね。死角に居る子達と合わせると、かなりの人数になりそうだね」
「それでも、予想より遥かに多いよ。全員は無理なんじゃないかな」
今建てている教会の敷地内に建てる予定の孤児院。受け入れられる人数には限りがある。
「う~ん。今から図面引き直すのもな……」
地下を使えば問題はないだろうが、それでも今後増えることを考えると無茶かもしれない。
「なら、ここを使えばいいさね」
「ここ? あ、そっか」
未だ黙々と食べていたベニの提案に目を丸くする。確かに、広さも問題ない。こう言っては何だが、運良く教会と呼ばれていた建物を二つ手に入れたのだから。
「人員は問題ないからねえ。無駄に優秀になり過ぎたもんだから、少ない人数でも回せるさね」
ついでに、教会が建て終わったら、ここも改装してもらうと良いねと付け足すベニ。言葉から分かるように、既に教会はベニ達のものになったらしい。この場に反論出来る者は居ない。
アルキスも挨拶を少々しただけだが、ベニに任せておけば何も問題はないと理解したようだ。疑問にも思わない。
「なら、使える部屋とか後で確認しておくね」
「任せるよ。ルディ、お前は調査が済み次第、危なそうな子を優先して運んでおいで。ここも落ち着いただろうから、部隊も使いな」
ルディエへ指示を出すのも慣れたものだ。ベニはやるべきことを分かっている。これを受けて、ルディエは白夜部隊に命じる。
「分かった。おい、ここから半数は孤児の回収だ。もう一つの教会からも半数出すように伝えろ。範囲は先ず西側半分。二時間後にここへ一旦集まる。状況を確認してから東側だ」
指示を聞き、白夜部隊が全員立ち上がる。今にも行ってしまいそうだったので、コウヤは慌てて声をかける。
「あ、ちょっと待ってね」
コウヤは立ち上がり、少しだけ皆より距離を取ると、とある魔法を発動させる。足下に瞬いた魔法陣。それが一際強く白い光を放つと、ルディエ達の下げている四円柱が光を数秒纏った。
「うん。これで解除できた」
「何をしたんだい?」
ベニの問いかけに、コウヤはいたずらが成功した時の子どものように笑った。
「転移を出来るようにしたんだ。範囲はあるけど、この王都内ぐらいからなら、どこからでも跳べるよ。ただ、聖域へだけだけど。ここと、もう一つの教会もすぐに聖堂を調整するから、とりあえず一時間ちょうだい。それまではセイばあさま達の所にね。そろそろ、計画通りだと使える部屋とか出来てるはずだから」
「ほほっ、あの大工は本当に優秀だねえ」
「「「「「……」」」」」
ルディエや白夜部隊の面々も含めて、注目するところはそこではないだろうと、引き攣った表情を見せていた。
「ま、まあ、兄さんだしね。うん。日が落ちるまでに終わらせるぞ」
「「「「「はっ!」」」」」
ルディエ達は切り替えが早かった。コウヤはこういう人だ。食事も十分なのだろう。素早く空になった器などを置くと、スッと姿を消した。きっちり半数だ。残った者達が片付け始める。
「じゃあ、ボクらも行く。兄さん、あんまり無理しないでね」
「ふふっ、ルー君もビジェも気を付けて」
「行ってクル」
ビジェを連れて、ルディエも出て行った。
「なあ、あいつ……凄えな……」
「さすがは教官殿です! 尊敬します!」
「あ~……まあ、お前らが気に入るのがちょい分かった……あれを従えてるとか、やっぱコウヤ凄えわ」
「ですよね!」
これを聞いて、なぜかニールは少し不満そうにしながらも一つ頷いていた。
************
読んでくださりありがとうございます◎
二日空きます。
よろしくお願いします◎
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まとめた書類や証拠品は部屋の隅に寄せ、監査をしていた白夜部隊と、様子を見に戻ってきた騎士とアルキス、それと、教会に残っていた兵達も集め、コウヤ達はルディエとビジェが大量に買ってきた屋台の食べ物を並べた。
「美味しそうっ! 早く食べようっ。いただきます!」
《足りる? (๑╹ω╹๑ ) 》
「うん。だってパックン、まだ全部出してないでしょ」
コウヤは焼きそばを食べながら、楽しそうに足下にやって来たパックンへ視線を落とす。
《バレた…… (¬_¬) 》
「パックンだしね。っていうか、やっぱり美味しい! ルー君、ビジェありがとう」
「ん……」
「ヤクに立てて、よかっタ」
ビジェは、キイによる指導を受け、言葉も大分滑らかになってきたようだ。
ルディエとビジェが教会建築予定地に戻った時、サーナからコウヤとベニの動向を聞いたらしい。ルディエもそろそろお腹が空いたということで戻ってきたのだ。コウヤもお腹を空かせているだろうと思った。
ルディエは、コウヤ限定でとっても気がきく。ただ、今回はせっかくだし一緒に食べたいなという思いが働いた結果だったのだが、口にはしない。
実際、大量に持って来たのは、キイに言われたからだ。兵達にも食べさせてやりなという言葉で、ならばパックンにお願いしようと決まった。ただし、このキイの提案が労いからの善意かと言われれば微妙なところだ。
『コレを食べたらクセになるやろ? そしたら、客になって明日からは並んどるわ』
キイは昔は商人に憧れがあったらしく、思考が時折こっちの方向へ向く。いつもは三人の中でも大人しい方なので、本当に時折だ。
因みにベニは武力を使いながらも、冷静に敵味方の区別を付け、殴り付ける。セイは直感を信じて敵対する者を殴り付ける。そして、キイは静かに見回し、現状の把握をした後、油断した者を一撃で沈める。ある意味、一番怖いのがキイだ。
「本当に美味しいですね。これが屋台の物ですか……」
ニールが驚きながらも美味しそうに焼きそばを食べていた。
「値段も安いから、子どものお小遣いでも買える物があるんです。ユースールでは、屋台部隊が出る度に、小遣い稼ぎに沢山の人がギルドに押しかけるんで、とっても忙しくて楽しいんですよ」
「なるほど。これを買えると思えば、活気付くのも頷けます」
仕事中毒者にとって『忙しくて楽しい』は心が躍るもの。よって、ニールは羨ましいという表情が出ていた。
「気のせいか? 忙しいのが楽しいって聞こえたぞ?」
「私もそう聞こえました」
アルキスと騎士が理解出来ないものを見るような目でコウヤとニールを見てしまうのは、正しい反応だろう。ただし、その手にあるお好み焼きを摘む手は休めなかった。
目の前でひょいひょいとタコ焼きを一気に三舟
平らげているベニは、聞かなかったことにしている。コウヤの仕事病は今更だ。
「そういえばルー君。調査はどこまで進んだの?」
ルディエとビジェは、王都内の孤児の数を調べていたはずだ。
「半分。けど、それでも結構な人数が居たよ」
「あんな、ハシの下とか……たてモノのカゲにたくさん……」
ビジェには少々、衝撃だったらしい。自国でも同じかもしれないと焦りのような感情もあるようで、落ち込んだように手を止めていた。
「長く普通に同じ場所で生活してると、人も景色の一部としか見えなくなるって言うし、普段は認識出来なくなるんだろうね」
最初は絶対に気になっているはずだ。だが、慣れてくるとそれが当たり前で、視界に入っていても、景色と同じに見えてくるようになってしまう。ほとんど動かなければ尚更だ。
「特に王都は人も多いし、建物も多いからね。死角に居る子達と合わせると、かなりの人数になりそうだね」
「それでも、予想より遥かに多いよ。全員は無理なんじゃないかな」
今建てている教会の敷地内に建てる予定の孤児院。受け入れられる人数には限りがある。
「う~ん。今から図面引き直すのもな……」
地下を使えば問題はないだろうが、それでも今後増えることを考えると無茶かもしれない。
「なら、ここを使えばいいさね」
「ここ? あ、そっか」
未だ黙々と食べていたベニの提案に目を丸くする。確かに、広さも問題ない。こう言っては何だが、運良く教会と呼ばれていた建物を二つ手に入れたのだから。
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ついでに、教会が建て終わったら、ここも改装してもらうと良いねと付け足すベニ。言葉から分かるように、既に教会はベニ達のものになったらしい。この場に反論出来る者は居ない。
アルキスも挨拶を少々しただけだが、ベニに任せておけば何も問題はないと理解したようだ。疑問にも思わない。
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「任せるよ。ルディ、お前は調査が済み次第、危なそうな子を優先して運んでおいで。ここも落ち着いただろうから、部隊も使いな」
ルディエへ指示を出すのも慣れたものだ。ベニはやるべきことを分かっている。これを受けて、ルディエは白夜部隊に命じる。
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コウヤは立ち上がり、少しだけ皆より距離を取ると、とある魔法を発動させる。足下に瞬いた魔法陣。それが一際強く白い光を放つと、ルディエ達の下げている四円柱が光を数秒纏った。
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ベニの問いかけに、コウヤはいたずらが成功した時の子どものように笑った。
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「ほほっ、あの大工は本当に優秀だねえ」
「「「「「……」」」」」
ルディエや白夜部隊の面々も含めて、注目するところはそこではないだろうと、引き攣った表情を見せていた。
「ま、まあ、兄さんだしね。うん。日が落ちるまでに終わらせるぞ」
「「「「「はっ!」」」」」
ルディエ達は切り替えが早かった。コウヤはこういう人だ。食事も十分なのだろう。素早く空になった器などを置くと、スッと姿を消した。きっちり半数だ。残った者達が片付け始める。
「じゃあ、ボクらも行く。兄さん、あんまり無理しないでね」
「ふふっ、ルー君もビジェも気を付けて」
「行ってクル」
ビジェを連れて、ルディエも出て行った。
「なあ、あいつ……凄えな……」
「さすがは教官殿です! 尊敬します!」
「あ~……まあ、お前らが気に入るのがちょい分かった……あれを従えてるとか、やっぱコウヤ凄えわ」
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