294 / 369
【第二部】第一章
カタツムリ 8
しおりを挟む
「んっ、うぅん、んっ」
潤が、かわいそうな泣きそうな顔で、自分の腹の上で捕食されるカタツムリを見ていた。
おじ様が潤の背を支えながら、潤の怯えた顔を、楽しそうに見ていた。
まるで蛇に捕食されるカタツムリは、潤のようだった。
潤の運命のようだった。
潤は、運命を予感するように、実感するように怯えていた。
「怖い……」
潤は、蛇とカタツムリから目を逸らして、おじ様の胸にすがった。
被食者の潤にとっては、捕食者のおじ様に、潤は、すがりついた。
危ないよ潤。
それは間違ってるよ。
でも潤は、出られない。
この支配の迷宮から。
逃れられない。
残るのは、やるせない諦め、年不相応な諦観。
運命と諦めて、受け入れて、支配される。
それが、できない。
できないから、苦しんでいるのに。
潤は、気づかない。
潤の高貴なる魂は、支配されることを望んでいない。
けれど偽りの快感を入れられて、潤はコントロールされていた。
気づかない限り、助けられない。
僕が連れ出してあげたいけど、連れ出せない。
苦しんでいるのに。
本人の潤は苦しんでいるのに。
そして賢い潤は、この支配構造をも認識しているのだろう。
それでもおじ様の巧妙な支配の技は、さらにその上を行っていた。
おじ様は、外には紳士の顔をすることはもちろん、家でも紳士の顔をしながら、残虐とも言える精神的支配を成員に行っていた。
おじ様の支配体制を受け入れているらしい譲は、かわりに弟たちを支配下に置いていた。
次兄の昴は、逃げ出していた。
潤は逃げ遅れていた。
なぜなら一番幼かったから。
それ以上下の、自分より弱いものを支配することで、おじ様の支配体制を受け入れることもできなかった。
なぜなら潤が一番下だから。
家族の階級の中で一番下だったから。
学校でも一見、ちやほやされていたが、異質な存在として、階級の外に置かれていたと考えられるかもしれなかった。
潤が、かわいそうな泣きそうな顔で、自分の腹の上で捕食されるカタツムリを見ていた。
おじ様が潤の背を支えながら、潤の怯えた顔を、楽しそうに見ていた。
まるで蛇に捕食されるカタツムリは、潤のようだった。
潤の運命のようだった。
潤は、運命を予感するように、実感するように怯えていた。
「怖い……」
潤は、蛇とカタツムリから目を逸らして、おじ様の胸にすがった。
被食者の潤にとっては、捕食者のおじ様に、潤は、すがりついた。
危ないよ潤。
それは間違ってるよ。
でも潤は、出られない。
この支配の迷宮から。
逃れられない。
残るのは、やるせない諦め、年不相応な諦観。
運命と諦めて、受け入れて、支配される。
それが、できない。
できないから、苦しんでいるのに。
潤は、気づかない。
潤の高貴なる魂は、支配されることを望んでいない。
けれど偽りの快感を入れられて、潤はコントロールされていた。
気づかない限り、助けられない。
僕が連れ出してあげたいけど、連れ出せない。
苦しんでいるのに。
本人の潤は苦しんでいるのに。
そして賢い潤は、この支配構造をも認識しているのだろう。
それでもおじ様の巧妙な支配の技は、さらにその上を行っていた。
おじ様は、外には紳士の顔をすることはもちろん、家でも紳士の顔をしながら、残虐とも言える精神的支配を成員に行っていた。
おじ様の支配体制を受け入れているらしい譲は、かわりに弟たちを支配下に置いていた。
次兄の昴は、逃げ出していた。
潤は逃げ遅れていた。
なぜなら一番幼かったから。
それ以上下の、自分より弱いものを支配することで、おじ様の支配体制を受け入れることもできなかった。
なぜなら潤が一番下だから。
家族の階級の中で一番下だったから。
学校でも一見、ちやほやされていたが、異質な存在として、階級の外に置かれていたと考えられるかもしれなかった。
0
お気に入りに追加
284
あなたにおすすめの小説

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!


塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。

学園の卒業パーティーで卒業生全員の筆下ろしを終わらせるまで帰れない保険医
ミクリ21
BL
学園の卒業パーティーで、卒業生達の筆下ろしをすることになった保険医の話。
筆下ろしが終わるまで、保険医は帰れません。

男子寮のベットの軋む音
なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。
そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。
ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。
女子禁制の禁断の場所。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる