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第93話 しっかり巻き込まれるわけです
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『基本的に他人の恋路に首を突っ込むと、ろくなことがないような気がするね。まぁ、だけれども、空き缶には突っ込む首もないので、その辺りは関係なく突っ込んで良いと思うよ。知らんけど』
「知らんのカァアァン! 絶対に酷いことになる予感しか、今の所しないカァアン!?」
カンの叫び声は、ゲス勇者に向かって降りてきた美少女魔王ヤン=ディレの、更に大きな叫び声にかき消されたのだった。
「タロウちゃん、みぃつけたぁぁあああ! タロウちゃんの魔王ヤン=ディレが、お迎えにきたよぉおおぉおお!」
「ヤン……デレ? 名前からして、もうあかん系カァン。それに、タロウって誰カァン?」
魔王の名前に身体を震わせるカンだったが、それとともに魔王が口にした〝タロウ〟という名に反応した。
「魔王ヤン=ディレ! まだ、期限は来てないはずだぞ!」
「真剣な顔しておるところ悪いが、タロウって誰ぞ? おぬしの名前は確か、天翔……」
「やめろぉおおお!? 僕の黒歴史を口にするなぁあぁああ!?」
『ゲス勇者の本名は、カミペディア調べでは〝太郎丸太郎〟と言い、異世界デビューする際に〝天翔龍 光〟と名乗っていたみたいだね。ずっと内緒にしていたみたいだけど、魔王ヤン=ディレの【強制契約】を受けたことで、情報が魔王に筒抜けになったとさ。結果、ゲス勇者の本名が魔王にバレてしまったと。魔王に、本名バレるとか術的にも色々やだよねぇ』
「山本山みたいで、分かりにくいカァン。名は『タロウ』なのカァン? それとも『マルタロウ』なのカァン?」
「マルタロウだよ! って、何故僕の本名を!?」
まさか、空き缶が自身の本名を口にするとは思わず、素直に驚く勇者マルタロウ。
「小さい事は気にするでない、ゲスタロウよ」
「勝手に改名するなぁああ! げふか!?」
「カァン!? 空気読まずに会話途中に突然、ゲスタロウボディが、ヤンデレ魔王の体当たり的な抱きつきでくの字にぃいなったカァアァン!?」
勇者マルタロウは、カンにツッコミを入れる隙を突かれ、美少女魔王ヤン=ディレからダイビング抱きつきアタックをくらってしまった。
その結果、魔王と勇者の二人は錐揉み回転で吹っ飛んでいった。
「何コレ。本気で帰りたいカァン……我、本気で関係無いし、さっさとくっついちゃえば良いカァン」
全くと言って良いほど、魔王と勇者のいざこざを他人事のように眺めるカン。
『そっとしておきたいことでも、無理やり巻き込まれる事もあるから気をつけないと。むしろ、カンの持つ巻き込まれ体質としては、身体が疼くのでは? 巻き込まれたくて』
「そんな訳あるカァアァン!」
『カンは、身体をくの字にしながら飛んでいったゲス勇者マルタロウと美少女魔王ヤン=ディレを見ながら、自分も身体をくの字にして貰いたいと考えていたりするんでしょ? M持ちだし』
「一ミリたりとも思っておらぬカァアァン!」
カンが、イチカと騒いでいると、魔王と勇者の状況は進み続ける。
「タロウちゃん、貴方に私以外の人が好きになる訳ないでしょ。ハーレムなんて、〝魅了〟なんて卑怯な真似しなければ、男としてどうしようもく、強い以外の魅力を感じないタロウちゃんにできないよ。だから、ね? もう諦めて、一緒に私達の城に戻りましょ?」
「ま……まだ、約束の日までは、一週間ある!」
「無理よ、ゲスでクズでどうしようもない沢山いる勇者の一人に過ぎず、見た目もボロボロで、すでに自分に自信もありもせず、ただ逃げているだけのタロウちゃんは……私がいないとダメな子なの」
「……酷い言われようカァン」
「うぅ……でも、まだ僕には最後の切り札が……そうだろ! 空き缶! 僕の周りの魔力の風を止めてくれ!」
「……」
急に勇者マルタロウに話しかけれたカンは、咄嗟に身の危険を感じ、無言になり、只の空き缶の振りをした。
「タロウちゃん? なに言っているの? 空き缶が、さも喋るような感じで話しかけているけど。あ、そうか。もう、色々疲れちゃったんだね。もう、色々諦めてお家へ帰りましょう」
「ちょ!? 空き缶! 散々喋ってたろ!」
「……」
カンは、美少女魔王ヤン=ディレの眼を見て確信していた。〝ガチ勢〟だと。
その為、必死に気配を消して黙り、ただのゴミの空き缶に擬態していた。そもそも、喋らなければゴミの空き缶である為、擬態は完璧だった。
「…………」
『心の中で言うくらいなら、声に出しなよ』
あくまでゴミの空き缶に擬態するカンは、心の中で勇者に別れの言葉を告げた。
「さぁ、行くよ。お家で……永遠の時を一緒に過ごしましょう」
「ぎゃあ! ちくしょぉおお! こうなったら空き缶も巻き添えだぁああ!」
「……カァン!? 何故こっちに来るでカァアァアアン!? 我を掴むでないカァアァン! 離せカァアアァアン! な!? 我をどこに入れるきカァアァアァァァ……」
ゲス勇者マルタロウは、往生際悪くカンのところに駆け寄り手に掴んだ。
そして、カンを自分のマジックバックに収納したところで、美少女魔王ヤン=ディレに捕獲され空高くへ拉致られていったのだった。
「知らんのカァアァン! 絶対に酷いことになる予感しか、今の所しないカァアン!?」
カンの叫び声は、ゲス勇者に向かって降りてきた美少女魔王ヤン=ディレの、更に大きな叫び声にかき消されたのだった。
「タロウちゃん、みぃつけたぁぁあああ! タロウちゃんの魔王ヤン=ディレが、お迎えにきたよぉおおぉおお!」
「ヤン……デレ? 名前からして、もうあかん系カァン。それに、タロウって誰カァン?」
魔王の名前に身体を震わせるカンだったが、それとともに魔王が口にした〝タロウ〟という名に反応した。
「魔王ヤン=ディレ! まだ、期限は来てないはずだぞ!」
「真剣な顔しておるところ悪いが、タロウって誰ぞ? おぬしの名前は確か、天翔……」
「やめろぉおおお!? 僕の黒歴史を口にするなぁあぁああ!?」
『ゲス勇者の本名は、カミペディア調べでは〝太郎丸太郎〟と言い、異世界デビューする際に〝天翔龍 光〟と名乗っていたみたいだね。ずっと内緒にしていたみたいだけど、魔王ヤン=ディレの【強制契約】を受けたことで、情報が魔王に筒抜けになったとさ。結果、ゲス勇者の本名が魔王にバレてしまったと。魔王に、本名バレるとか術的にも色々やだよねぇ』
「山本山みたいで、分かりにくいカァン。名は『タロウ』なのカァン? それとも『マルタロウ』なのカァン?」
「マルタロウだよ! って、何故僕の本名を!?」
まさか、空き缶が自身の本名を口にするとは思わず、素直に驚く勇者マルタロウ。
「小さい事は気にするでない、ゲスタロウよ」
「勝手に改名するなぁああ! げふか!?」
「カァン!? 空気読まずに会話途中に突然、ゲスタロウボディが、ヤンデレ魔王の体当たり的な抱きつきでくの字にぃいなったカァアァン!?」
勇者マルタロウは、カンにツッコミを入れる隙を突かれ、美少女魔王ヤン=ディレからダイビング抱きつきアタックをくらってしまった。
その結果、魔王と勇者の二人は錐揉み回転で吹っ飛んでいった。
「何コレ。本気で帰りたいカァン……我、本気で関係無いし、さっさとくっついちゃえば良いカァン」
全くと言って良いほど、魔王と勇者のいざこざを他人事のように眺めるカン。
『そっとしておきたいことでも、無理やり巻き込まれる事もあるから気をつけないと。むしろ、カンの持つ巻き込まれ体質としては、身体が疼くのでは? 巻き込まれたくて』
「そんな訳あるカァアァン!」
『カンは、身体をくの字にしながら飛んでいったゲス勇者マルタロウと美少女魔王ヤン=ディレを見ながら、自分も身体をくの字にして貰いたいと考えていたりするんでしょ? M持ちだし』
「一ミリたりとも思っておらぬカァアァン!」
カンが、イチカと騒いでいると、魔王と勇者の状況は進み続ける。
「タロウちゃん、貴方に私以外の人が好きになる訳ないでしょ。ハーレムなんて、〝魅了〟なんて卑怯な真似しなければ、男としてどうしようもく、強い以外の魅力を感じないタロウちゃんにできないよ。だから、ね? もう諦めて、一緒に私達の城に戻りましょ?」
「ま……まだ、約束の日までは、一週間ある!」
「無理よ、ゲスでクズでどうしようもない沢山いる勇者の一人に過ぎず、見た目もボロボロで、すでに自分に自信もありもせず、ただ逃げているだけのタロウちゃんは……私がいないとダメな子なの」
「……酷い言われようカァン」
「うぅ……でも、まだ僕には最後の切り札が……そうだろ! 空き缶! 僕の周りの魔力の風を止めてくれ!」
「……」
急に勇者マルタロウに話しかけれたカンは、咄嗟に身の危険を感じ、無言になり、只の空き缶の振りをした。
「タロウちゃん? なに言っているの? 空き缶が、さも喋るような感じで話しかけているけど。あ、そうか。もう、色々疲れちゃったんだね。もう、色々諦めてお家へ帰りましょう」
「ちょ!? 空き缶! 散々喋ってたろ!」
「……」
カンは、美少女魔王ヤン=ディレの眼を見て確信していた。〝ガチ勢〟だと。
その為、必死に気配を消して黙り、ただのゴミの空き缶に擬態していた。そもそも、喋らなければゴミの空き缶である為、擬態は完璧だった。
「…………」
『心の中で言うくらいなら、声に出しなよ』
あくまでゴミの空き缶に擬態するカンは、心の中で勇者に別れの言葉を告げた。
「さぁ、行くよ。お家で……永遠の時を一緒に過ごしましょう」
「ぎゃあ! ちくしょぉおお! こうなったら空き缶も巻き添えだぁああ!」
「……カァン!? 何故こっちに来るでカァアァアアン!? 我を掴むでないカァアァン! 離せカァアアァアン! な!? 我をどこに入れるきカァアァアァァァ……」
ゲス勇者マルタロウは、往生際悪くカンのところに駆け寄り手に掴んだ。
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