最悪な再会

ちゃこ

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悪夢の始まり

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屋上の片隅で、風に吹かれながらぼんやりと空を見上げていた。


さっきの出来事のせいで、思考がうまくまとまらない。壁に背中を押しつけたまま動けずにいた。


はぁーーーと長めの溜息をついた時、ふと自分のジャージの袖を見ると汚れていることに気付いた。


壁に背中をついたせいで、思ってた以上に汚れてしまっていた。


「……何なんだよ、もう」


悪態をついてからジャージを手で叩くが、全然とれない。


誰もいないからいいか……。俺はジャージを脱いでひっくり返し、汚れた箇所をパンパンと叩いた。


——もうこのまま保健室に行くか……。とっくに授業始まってるし。


色々と考えていると、屋上の扉が「ガチャッ」と開く音がした。


やばい。誰か来た——。


俺は反射的に顔を伏せ、気配を消そうとする。


けれど足音は、まっすぐこちらに近づいてくる。


「……何してんの、お前」


その低くて無感情な声に、心臓が跳ねた。


顔を上げると、逆光の中で銀色に似たアッシュの髪がキラリと光る。


この髪色の人物は多分一人しかいない。


影山だ。


「……別に」

俺は目を逸らしながら短く答える。影山は少しだけ俺を見つめたあと、ポケットから煙草を取り出して火をつけた。


静かに煙を吐いたあと、こちらを見ずに言ってきた。


「お前、転校生だよな。名前は?」


「……土屋、凛」


名前を聞いた影山の表情が、一瞬だけ動いた気がした。


でも何も言わず、彼はポケットからスマホを取り出し、カメラをこちらに向けた。


「……なっ、ちょっ……」


シャッター音が鳴る。反応が追いつかないまま、影山は画面をこちらに向けて見せてきた。


「これ、誰に見せても“何かやられた”って感じだよな?」


上半身裸、汚れた服、放心した表情……。その写真が、偽物であれ勘違いされるには充分な素材だった。


「……消して」


「やだ」


影山はあっさり言い切ると、画像を保存してスマホをポケットにしまった。


「なあ、凛。お前、これ誰にも見られたくないよな?」


「……当たり前だろ」


「だったら、これから俺の言うこと聞け」


言い方は淡々としていた。怒鳴り声も脅しもない。けど、逆らえない圧があった。


「……どうすればいいんだよ」


「呼んだら来い。それだけ」


影山はしゃがんで、俺の目をじっと見つめた。表情は変わらないのに、背中がぞわりとした。


次の瞬間、影山は俺のポケットからスマホを取り出し、自分の番号を入力して俺に投げ返してきた。


「それ、俺の番号な。忘れんなよ」


そう言い残して、彼は屋上から立ち去った。


まだ転校二日目。
俺の高校生活は、最悪な方向へと動き出した。

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