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ポルカと懐かしの鏡➅※
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そう、長生きさせてもらった。怪我も病気もなく、三人の息子が成人するのを見届けて、それぞれの結婚式も祝って、おまけに可愛い孫まで見られた。
苦労が無かったといえば嘘になるけども、ポルカはもはや下界の家族と人生に関して未練はないのだ。充分すぎるほど、やりきったから。
……だから、ポルカの未練は夫だけだ。
「折角ジルとまた会えて、こうして同じ屋根の下で生活してるのに……何でまた別れなきゃならないんだい」
また会えてどんなに嬉しかったか。ジルはきっと分からないだろう。
報復目的であれ何であれ、今、ポルカは恋しい男と一緒にいられる。ジルが報復を果たすその日まで、ジルはある意味ポルカのものだ。
「アンタがアタシを『要らない』って言うまで、此処にいるよ」
これは恋だろうか。…何だか恋よりも重苦しい気がしなくもないけど。
でもこれが、大事な羽を隠してでも独り占めしたかった恋だ。何よりも熱い、ポルカの想いだ。
この恋だけは嘘じゃない。嘘つきのポルカでも、そこだけは胸を張って言い切れる。
「……そうかよ」
唇に、再び柔からなものが降ってくる。それは何度も何度もポルカの頬や耳朶、そして唇を食んで、ちゅっと可愛らしい音を立てた。
「ん、……」
「ポルカ……ッ」
「へ……ぁっ!?」
突然うつ伏せに転がされ、ポルカは蕩け始めた目を白黒させた。そんな間にもワンピースを剥かれ、ついでに下着も剥ぎとられ、華奢な背中が顕になる。そして――
「ぁ、あぁッ、あぁあアぁァあーーッ!?」
突然、背中に走る痛みと快感。肩甲骨……震える羽の付け根に強く歯を立てられたポルカは、悲鳴とも嬌声ともつかない声をあげて目の前の枕に縋りついた。
「じ、ジルっ! や、なんれっひぃん!なんれぇ!!?」
「五月蝿えッ………お前が――――のが、悪ぃんだよ………!!」
「へ、何て言ッ……ひ、ぃ! ぁんっ! じる! じるぅ!!! ぁあ、ぁああぁああんっ」
「はぁ、はっ……ぶち込むぞ、痛かったら嘘つくな、よっポルカ…………ッぐ、ン………ッ!!」
「ぁあん! おっき、ぃっ……ヒ、ぁ!! やっ待っ!! 入れながら噛まなッ……ぁ、あぁああっ!ぁああ――……」
首を捻って振り向くと、やっぱりジルは顰めっ面で奥歯を噛み締めている。鏡の向こうにいるミゲルへ見せたような柔らかな表情は何処にも見当たらない。
……けれど
「ふっ……ふぁ、ン」
「ん、ちゅっ……はぁ、ポルカ……!!」
触れる唇は温かくて、すごく――すごく、柔らかかった。
◆◇◆
ポルカを存分に貪り尽くし、普段の寝室へと運んだジルベルトは、鏡に布をかけて戸棚にしまいこんだ。そして―――
「あ、危なかった……ポルカに見られたらと思うと玉が涼しくなったぜ」
一緒に置いてあった数冊の日記を布で包み、屋根裏に仕舞い直したのだった。
苦労が無かったといえば嘘になるけども、ポルカはもはや下界の家族と人生に関して未練はないのだ。充分すぎるほど、やりきったから。
……だから、ポルカの未練は夫だけだ。
「折角ジルとまた会えて、こうして同じ屋根の下で生活してるのに……何でまた別れなきゃならないんだい」
また会えてどんなに嬉しかったか。ジルはきっと分からないだろう。
報復目的であれ何であれ、今、ポルカは恋しい男と一緒にいられる。ジルが報復を果たすその日まで、ジルはある意味ポルカのものだ。
「アンタがアタシを『要らない』って言うまで、此処にいるよ」
これは恋だろうか。…何だか恋よりも重苦しい気がしなくもないけど。
でもこれが、大事な羽を隠してでも独り占めしたかった恋だ。何よりも熱い、ポルカの想いだ。
この恋だけは嘘じゃない。嘘つきのポルカでも、そこだけは胸を張って言い切れる。
「……そうかよ」
唇に、再び柔からなものが降ってくる。それは何度も何度もポルカの頬や耳朶、そして唇を食んで、ちゅっと可愛らしい音を立てた。
「ん、……」
「ポルカ……ッ」
「へ……ぁっ!?」
突然うつ伏せに転がされ、ポルカは蕩け始めた目を白黒させた。そんな間にもワンピースを剥かれ、ついでに下着も剥ぎとられ、華奢な背中が顕になる。そして――
「ぁ、あぁッ、あぁあアぁァあーーッ!?」
突然、背中に走る痛みと快感。肩甲骨……震える羽の付け根に強く歯を立てられたポルカは、悲鳴とも嬌声ともつかない声をあげて目の前の枕に縋りついた。
「じ、ジルっ! や、なんれっひぃん!なんれぇ!!?」
「五月蝿えッ………お前が――――のが、悪ぃんだよ………!!」
「へ、何て言ッ……ひ、ぃ! ぁんっ! じる! じるぅ!!! ぁあ、ぁああぁああんっ」
「はぁ、はっ……ぶち込むぞ、痛かったら嘘つくな、よっポルカ…………ッぐ、ン………ッ!!」
「ぁあん! おっき、ぃっ……ヒ、ぁ!! やっ待っ!! 入れながら噛まなッ……ぁ、あぁああっ!ぁああ――……」
首を捻って振り向くと、やっぱりジルは顰めっ面で奥歯を噛み締めている。鏡の向こうにいるミゲルへ見せたような柔らかな表情は何処にも見当たらない。
……けれど
「ふっ……ふぁ、ン」
「ん、ちゅっ……はぁ、ポルカ……!!」
触れる唇は温かくて、すごく――すごく、柔らかかった。
◆◇◆
ポルカを存分に貪り尽くし、普段の寝室へと運んだジルベルトは、鏡に布をかけて戸棚にしまいこんだ。そして―――
「あ、危なかった……ポルカに見られたらと思うと玉が涼しくなったぜ」
一緒に置いてあった数冊の日記を布で包み、屋根裏に仕舞い直したのだった。
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