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第六章その12 ~魔王を止めろ!~ 決死の柱突入編
なんで子孫を守らねえ!
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「ありゃ何だ副隊長、鬼神族のとっておきか何かか?」
尋ねる香川に、カノンは迷いながら答える。
「分からない……初めて見たわ。里抜けした時、追いかけてきた黒人形に似てるけど……あそこまで凄い呪詛のは……」
カノンがそういう間にも、黒い液体は粘り気を増して這い回り、周囲の床や壁をとかしていく。
『どうだ、驚いたか七月姫。おいたが過ぎた貴様らに、そろそろ引導を渡してやる……!』
突然、黒い液体が周囲に噴き出し、触手のように伸びていく。
それ自体が生き物のようにうねり、絡み合いながら、恐ろしい速度で迫ってくるのだ。
「くっ!!!」
カノン達は身をかわし、機体の銃を掲げた。
そのまま一気に大量の弾丸を叩き込むが、攻撃の全てが表面の腐れ水で止められ、弾を溶かされていた。
『それで終わりか? ならば死ね!』
鎧の頭部……今は目も口も見えなくなったその場所に、ぽっかりと穴が開いた。
その穴にも黒い液体が滴っており、丁度頭から泥を浴びた人間が口を開けたような印象だ。
やがてその穴に、眩しい光が輝いた。魔法の発動を示す光の幾何学模様が、恐ろしく緻密に、かつ多重に展開されているのである。
…………次の瞬間、
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
先ほどとは、比べ物にならない威力の雷だった。
全員が玩具のように吹き飛ばされ、気付いた時には床に倒れ伏していたのだ。
『ふはは、どうだこの威力は! 思い知ったか裏切り者ども!』
老鬼達は狂気の叫びを上げた。
「なっ、何でこんな力が……」
カノンが何とか声を絞り出すと、老鬼達は面白そうに答える。
『分からぬだろう? 我々の奥の手だ。お前にも見せた事はないからなあ』
そこで腐れ水をまとった鎧が、片手を宙に掲げてみせる。
手の平にも黒い液体が駆け巡っていたが、やがて液体の中から、何かが競りあがってきた。
それはしわがれた……骨と皮だけになった遺体である。
一見して木乃伊のような外見なのだが、頭には2本の角が生えていた。つまりは鬼の亡骸だった。
遺体は次々せり上がり、手の平を埋め尽くす量となった。そしてその亡骸の1つ1つに、電流のようなものが駆け巡っていたのだ。
カノンは直感で理解した。間違いなく、強い呪いを秘めた呪物だ。
「まっ、まさかお前ら……!?」
何とか呟くカノンを見下ろし、老鬼達は喜びを爆発させた。
『ふはははっ、そうとも、この鎧こそがとっておきの呪物だ。愚かで若い鬼どもを生贄に、我らが育ててきた呪法具……恨みと憎しみをより合わせて作った最高傑作なのだ!』
つまり、この古鬼どもは同族殺しだ。一族の若い鬼をいたぶって殺し、怨嗟を蓄えた死体をあの鎧に組み込んでいたのだ。
恐らく恨みの強さで言えば、それぞれとてつもない力を持つ呪物の木乃伊……それを集める事で、これ程の力を発揮していたのだ。
『もちろん命は無駄にしておらぬぞ? 奴らの血はわしらがいただいた。寿命を延ばすためにな!』
嘲笑う鎧を睨みつけ、カノンは何とか機体を起こした。
「このっ……糞野郎どもがっ……!!!!!」
怒りで指が痙攣していた。
髪が逆立ち、目が血走っていくのが自分でも分かる。
「てめえら、なんで子分を守らねえっ!!? こいつらはてめえらをあがめてたんだぞ!? それを殺して食いものにするだとぉっ!?」
「姉上の言う通り、貴様らは糞だっ!!!」
そこで刹鬼姫も叫んだ。
「なぜ姉上が里を飛び出したか、改めて思い知った。人が何でも正しいとは思わん。だがお前らみたいなクズどもより、ガキのために体張ってる人の方が、1万倍マシなんだよっっっ!!!」
だが老鬼達は、何の良心の呵責も感じていない。
『それがどうした。どうほざこうが貴様らは餌でしかない。双角天の血を引くのだ、さぞやよい糧となろう……!!!』
黒き腐れ水に満たされた鎧は、そのままゆっくりと片手を掲げた。
しかしカノン達は動く事が出来ない。
先ほどの雷撃は体の隅々までダメージを与えており、啖呵を切れただけで奇跡なのだ。
……だが老鬼達の鎧が、最後の一撃を加えようとした時だった。
尋ねる香川に、カノンは迷いながら答える。
「分からない……初めて見たわ。里抜けした時、追いかけてきた黒人形に似てるけど……あそこまで凄い呪詛のは……」
カノンがそういう間にも、黒い液体は粘り気を増して這い回り、周囲の床や壁をとかしていく。
『どうだ、驚いたか七月姫。おいたが過ぎた貴様らに、そろそろ引導を渡してやる……!』
突然、黒い液体が周囲に噴き出し、触手のように伸びていく。
それ自体が生き物のようにうねり、絡み合いながら、恐ろしい速度で迫ってくるのだ。
「くっ!!!」
カノン達は身をかわし、機体の銃を掲げた。
そのまま一気に大量の弾丸を叩き込むが、攻撃の全てが表面の腐れ水で止められ、弾を溶かされていた。
『それで終わりか? ならば死ね!』
鎧の頭部……今は目も口も見えなくなったその場所に、ぽっかりと穴が開いた。
その穴にも黒い液体が滴っており、丁度頭から泥を浴びた人間が口を開けたような印象だ。
やがてその穴に、眩しい光が輝いた。魔法の発動を示す光の幾何学模様が、恐ろしく緻密に、かつ多重に展開されているのである。
…………次の瞬間、
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
先ほどとは、比べ物にならない威力の雷だった。
全員が玩具のように吹き飛ばされ、気付いた時には床に倒れ伏していたのだ。
『ふはは、どうだこの威力は! 思い知ったか裏切り者ども!』
老鬼達は狂気の叫びを上げた。
「なっ、何でこんな力が……」
カノンが何とか声を絞り出すと、老鬼達は面白そうに答える。
『分からぬだろう? 我々の奥の手だ。お前にも見せた事はないからなあ』
そこで腐れ水をまとった鎧が、片手を宙に掲げてみせる。
手の平にも黒い液体が駆け巡っていたが、やがて液体の中から、何かが競りあがってきた。
それはしわがれた……骨と皮だけになった遺体である。
一見して木乃伊のような外見なのだが、頭には2本の角が生えていた。つまりは鬼の亡骸だった。
遺体は次々せり上がり、手の平を埋め尽くす量となった。そしてその亡骸の1つ1つに、電流のようなものが駆け巡っていたのだ。
カノンは直感で理解した。間違いなく、強い呪いを秘めた呪物だ。
「まっ、まさかお前ら……!?」
何とか呟くカノンを見下ろし、老鬼達は喜びを爆発させた。
『ふはははっ、そうとも、この鎧こそがとっておきの呪物だ。愚かで若い鬼どもを生贄に、我らが育ててきた呪法具……恨みと憎しみをより合わせて作った最高傑作なのだ!』
つまり、この古鬼どもは同族殺しだ。一族の若い鬼をいたぶって殺し、怨嗟を蓄えた死体をあの鎧に組み込んでいたのだ。
恐らく恨みの強さで言えば、それぞれとてつもない力を持つ呪物の木乃伊……それを集める事で、これ程の力を発揮していたのだ。
『もちろん命は無駄にしておらぬぞ? 奴らの血はわしらがいただいた。寿命を延ばすためにな!』
嘲笑う鎧を睨みつけ、カノンは何とか機体を起こした。
「このっ……糞野郎どもがっ……!!!!!」
怒りで指が痙攣していた。
髪が逆立ち、目が血走っていくのが自分でも分かる。
「てめえら、なんで子分を守らねえっ!!? こいつらはてめえらをあがめてたんだぞ!? それを殺して食いものにするだとぉっ!?」
「姉上の言う通り、貴様らは糞だっ!!!」
そこで刹鬼姫も叫んだ。
「なぜ姉上が里を飛び出したか、改めて思い知った。人が何でも正しいとは思わん。だがお前らみたいなクズどもより、ガキのために体張ってる人の方が、1万倍マシなんだよっっっ!!!」
だが老鬼達は、何の良心の呵責も感じていない。
『それがどうした。どうほざこうが貴様らは餌でしかない。双角天の血を引くのだ、さぞやよい糧となろう……!!!』
黒き腐れ水に満たされた鎧は、そのままゆっくりと片手を掲げた。
しかしカノン達は動く事が出来ない。
先ほどの雷撃は体の隅々までダメージを与えており、啖呵を切れただけで奇跡なのだ。
……だが老鬼達の鎧が、最後の一撃を加えようとした時だった。
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