上 下
34 / 160
第六章その5 ~恐怖の助っ人!?~ ディアヌスとの再会編

情報がないと戦えない。でも偵察も厳しい…!

しおりを挟む
「通信は出来るようになったけど、ここからが正念場だな。邪神の復活が進めば、いずれ必ずここまで来るし。待っていても死ぬだけだ」

 誠はそう言って腕組みした。

 誠を含めた第5船団の面々は、旗艦みしまの作戦会議室に座っている。

 メンバーは誠に鶴、宮島と香川、難波にカノン。

 さらに鶉谷司令や佐々木船団長、第5船団の参謀方の面々。

 もちろん鳳もいるし、コマ達神使も、テーブルや人の肩に好き勝手に乗っていた。

「ほんならとうへんぼく、さっさといつもみたく作戦立てるんや」

 キツネは誠の肩に乗り、前足でこちらの頬を叩きながら言う。

「ぐはっ! い、いきなり無茶言うなよ。いつもはある程度敵の情報が分かってるけど、今回は何もないんだぞ?」

「さすがの鶴ちゃんも、信濃までは見えないわね」

「邪神が出てくるぐらいの邪気だからね。今までとは濃さもケタ違いだよ」

 コマもそう言って頷く。

 コマかれを胸に抱く雪菜が、少し困ったように後を続けた。

「ディアヌス1体だけでもあれだけ強かったんだもの。それが徒党を組んでるとしたら、計画もなしに突っ込むのは自殺行為よね……」

「大きな機体は目立ちますから、私達全神連と神使の中から、偵察向きの者を選りすぐりましょう」

 鳳が言うと、途端に神使達が騒ぎ出した。

「ほんならワイ、ワイが行くで!」

「八幡狛犬連合の名にかけて、ワシが決め手になるんじゃい!」

「頑張って天神様に褒めてもらうのです!」

「すばしっこさならあっしでさあ!」

「筋肉なら俺だ!」

 意外にもやる気のある神使達だったが、そこで鶴が呟いた。

「……多分見つかるし、生きて戻れないわ。餓霊も黄泉醜女ヨモツシコメもいるし、千里眼だっているもの」

「せ、千里眼か……確かにあれがいる以上、近付くのは難しいな」

 鶴が映した映像を眺めながら、誠は先の逃走劇を思い出した。

「パワーアップした餓霊も、黄泉醜女ヨモツシコメも確かに強い。ただ何度か遭遇して観察してたら、あいつらそう頭も良くなかったし、小回りも利かないんだよな」

 道路に沿って逃げる場合は奴らの強さ・速さばかりが際立ったのだが……開けた場所で会ってみると、色々と付け込む隙が見つかったのだ。

「でも千里眼なら話は別だ。見える範囲ならどんなに避けても当てて来るし、偵察そのものが不可能に近いと思う」

 佐久夜姫の助けが無ければ、間違いなく倒されていただろうし、もちろん映像を見る参謀方もドン引きだった。

 だがそこでコマが駄目押しを言う。

「そして1番怖いのは、今の千里眼はもっとパワーアップしてるって事さ。この時は復活し
てすぐだったけど、もうこんなレベルの話じゃないよ」

『うっ……!!!』

 一同は絶句した。

 相手は邪神軍団、強敵なのは分かっていたが、まさかここまで厄介だとは……

「情報が無ければ戦えない……かといって偵察しようにも、千里眼あいつがいるから近づけない。今度ばかりは困ったな」

 誠の言葉に、皆が腕組みして思案した。

 戦力で劣る人間側こちらが勝つには、相手の情報が絶対不可欠なのだが……

 ……だがそこで、誠はふと誰かの囁きを耳にしたのだ。

「ん……?」

 誠は顔を上げて声の主を探した。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

ププのワープゲートトラベル

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

家事と喧嘩は江戸の花、医者も歩けば棒に当たる。

歴史・時代 / 連載中 24h.ポイント:42pt お気に入り:1

第二ボタンを下さいな

BL / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:3

王妃となったアンゼリカ

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:134,141pt お気に入り:8,540

ひかえおろ!☪吉原花転生道中記☪

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:4

それを知らなければ

BL / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:2

後悔とジジイと

大衆娯楽 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:2

獅子たちの夏➖会津戦争で賊軍となり、社会的に葬られた若者の逆転人生

歴史・時代 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:15

喰らい愛

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

くもりのち

ライト文芸 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

処理中です...