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第四章その7 ~急転直下!~ 始まりの高千穂研究所編

思い出の終点

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「…………っ!」

 カノンはそこで我に返った。

 いつも見慣れた人型重機のコクピット、けれど目の前の座席には、あの愛しい人が座っていた。

 昔の鎧をパイロットスーツに着替え、現世でも戦い続けているのだ。いつもどこかの誰かを守って、毎回毎回ボロボロになって……

 見ているだけでたまらなくなり、今にも飛びつきたくなるカノンだったが、それだけは必死に我慢する。

 そんなこちらの視線を感じ取ったのだろうか。不意に彼が言葉を発した。

「……………………大丈夫か、カノン?」

 少し声が変だったのは、やはり緊張しているのだろう。

「……大丈夫、平気よ」

「……………………そっか」

 彼は静かに言って、それから前を指差した。

「……多分、ここが終点だ」

「えっ?」

 突然の言葉に、カノンは驚いてモニターを見つめた。

 機体のライトに照らされる前方には、今までの人工的な壁とは違う光景が浮かび上がっていた。

 それは苔むした岩……そう巨岩だ。青い光を帯びた岩肌が、機体の行く手をはばんでいたのだ。



「なんじゃあここは? 図面とまるで違うわい」

 音を立てて伸びていく建築物を眺めながら、剛角は困ったように頭をかいた。紫蓮もそれに同意する。

「そりゃ剛角、10年前の図面じゃからのう。それだけ経てば、もう別物じゃろ」

「関係ない、下らないもんに惑わされるな」

 刹鬼姫は抜き放った太刀の峰で肩を叩き、部下達に言い放つ。

「狙いは1点、人族の英雄だ。他の何物でもないさ」

 刹鬼姫は剛角から見取り図をひったくると、地に落とし、中央研究棟の場所を太刀で突き刺した。

「やつらは必ず中央研究棟ここに来る。なれば我らも行くだけだ……!」

 配下の鬼は、応!と叫んで気合いを入れた。

 突き刺した太刀の周囲には、大地から白い光が舞い上がった。

 光は蝶の姿に変わったが、刹鬼姫はそれを握りつぶしたのだ。
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