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第五章その10 ~何としても私が!~ 岩凪姫の死闘編
不意をうつつもりだろう…?
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かつて社だった廃墟に、鳳天音は舞い降りた。
倒れた鏡や神門の瓦礫を、踏みにじりながら歩を進める。
天音はやがて耐え切れずに声を漏らした。
「……それで隠れたつもりか? 私には見えているぞ」
どうしても笑みがこぼれてしまう。
長い間狙っていた女神を仕留める絶好の機会なのだ。
どう冷静にあろうとしても、興奮を抑える事が出来ない。
「分かっている、隠れて不意をうつつもりだろう? 貴様の薄汚い考えなど、とうにお見通しなのだ……!」
「塵一つ残さん……私の殲滅呪詛で、魂の一欠けらまで砕いてやる……! あの世からもこの世からも、貴様は消えて無くなるのだ……!」
歩みを進める度に、言葉がどんどん口から出て行く。もはや自分が喋っているのかどうかさえ不確かだった。
高揚のあまり、頭がおかしくなりかけているのか?
…………いや、最早それすらどうでも良かった。
あの女神と人間どもに復讐を誓い、憤怒の炎で身を焼いたその日から、自分は壊れているのだから。
(長かった……だがこれで全てが終わる……! 見ろ、あの強大な女神が、今は野鼠のように震えながら、私を恐れて隠れているのだ……!)
天音の目には、境内に宿る全ての気が見て取れた。
微かに残るこの社の霊気……それに隠れるようにして、あいつの霊気『らしきもの』が見えていたのだ。
それは崩れた拝殿の後ろだ。
天音はますます心が逸った。
(早くあいつにとどめをさしたい……!)
(全ての望みと勝機が潰え、絶望した顔を見たい……!)
(その顔を眺めながら、あれの魂を八つ裂きにしてやりたい……!)
そんな猟奇心が胸に渦巻く。
「父の社に隠れれば、私に見えぬと思うてか……? 甘いぞ、貴様の霊気は片時も忘れた事はないのだ。復讐するこの時を夢見てな……!」
天音はそこで歩みを止め、にんまりと笑みを浮かべた。
(……そら、騙されたふりをしてやったぞ。分かっている、こっちは囮……お前自身は後ろだろう?)
拝殿の瓦礫の向こうにある霊気は、恐らくはニセモノのはず。
なぜなら女神の気が2つあるからだ。前方のものは動かず、後ろのものは高速でこちらに近づいていた。
(隠れていると見せかけ、私が気をとられている間に背後から狙う…………バカめ、それはもう学んだのだ。何度も同じ手を食らうか……!)
天音はあの南アルプスでの戦いを思い出した。
山あいに広がる濃い霧の中、天音は鶴が霧の中に潜んでいると思い込んでいた。
だが鶴姫はそこにはおらず、こちらが下を探る間に、背後から近づいていたのだ。
あれとほぼ同じ事を、この社で再現しようとしているのだろう。
かつて通用した策にもう一度すがるとは…………つくづく甘く見られたものだ。
(あの戦い以来、私は絶対に警戒を怠らなかった。特に背後は、何があっても神経を研ぎ澄ませているのだ)
もし前にある女神の気に夢中になっていたならば、後ろから迫る本物に気付かなかっただろう…………が、もう同じ策は通用しない。
(弟子とお前は思考が似ている。お前は最愛の弟子のせいで敗北し、この世から消えるのだ……!!!)
天音はゆっくりと片手を上げ、前を攻撃するふりをした。
しかし意識は背に向けている。
社に繋がる石段の上を、超低空で飛行する女神の気配を探る。
高低差があるため、直前まで姿を隠して迫れるだろうが……そんな事で自分を騙せると思っているのか?
やがて背後から、白い光が天音を襲った。
強烈な、昼と勘違いするような眩い光だ。
「そこだっっっ!!! これで終わりだ、偽りの神よっっっ!!!」
天音は振り返ると、右手に邪気を集中させた。
手の平に黒い炎が燃え上がり、瞬時に殲滅呪詛を編み上げる。
だが天音の目にした光景は、予想を大きく裏切っていた。
照らした光は、霊気ではなくライトである。
そして迫っていたのは、女神ではなく乗り物だった。
大型で、恐らく軍用のものであろうエアバイクには、白い将校服を着た青年が乗っていたのだ。
倒れた鏡や神門の瓦礫を、踏みにじりながら歩を進める。
天音はやがて耐え切れずに声を漏らした。
「……それで隠れたつもりか? 私には見えているぞ」
どうしても笑みがこぼれてしまう。
長い間狙っていた女神を仕留める絶好の機会なのだ。
どう冷静にあろうとしても、興奮を抑える事が出来ない。
「分かっている、隠れて不意をうつつもりだろう? 貴様の薄汚い考えなど、とうにお見通しなのだ……!」
「塵一つ残さん……私の殲滅呪詛で、魂の一欠けらまで砕いてやる……! あの世からもこの世からも、貴様は消えて無くなるのだ……!」
歩みを進める度に、言葉がどんどん口から出て行く。もはや自分が喋っているのかどうかさえ不確かだった。
高揚のあまり、頭がおかしくなりかけているのか?
…………いや、最早それすらどうでも良かった。
あの女神と人間どもに復讐を誓い、憤怒の炎で身を焼いたその日から、自分は壊れているのだから。
(長かった……だがこれで全てが終わる……! 見ろ、あの強大な女神が、今は野鼠のように震えながら、私を恐れて隠れているのだ……!)
天音の目には、境内に宿る全ての気が見て取れた。
微かに残るこの社の霊気……それに隠れるようにして、あいつの霊気『らしきもの』が見えていたのだ。
それは崩れた拝殿の後ろだ。
天音はますます心が逸った。
(早くあいつにとどめをさしたい……!)
(全ての望みと勝機が潰え、絶望した顔を見たい……!)
(その顔を眺めながら、あれの魂を八つ裂きにしてやりたい……!)
そんな猟奇心が胸に渦巻く。
「父の社に隠れれば、私に見えぬと思うてか……? 甘いぞ、貴様の霊気は片時も忘れた事はないのだ。復讐するこの時を夢見てな……!」
天音はそこで歩みを止め、にんまりと笑みを浮かべた。
(……そら、騙されたふりをしてやったぞ。分かっている、こっちは囮……お前自身は後ろだろう?)
拝殿の瓦礫の向こうにある霊気は、恐らくはニセモノのはず。
なぜなら女神の気が2つあるからだ。前方のものは動かず、後ろのものは高速でこちらに近づいていた。
(隠れていると見せかけ、私が気をとられている間に背後から狙う…………バカめ、それはもう学んだのだ。何度も同じ手を食らうか……!)
天音はあの南アルプスでの戦いを思い出した。
山あいに広がる濃い霧の中、天音は鶴が霧の中に潜んでいると思い込んでいた。
だが鶴姫はそこにはおらず、こちらが下を探る間に、背後から近づいていたのだ。
あれとほぼ同じ事を、この社で再現しようとしているのだろう。
かつて通用した策にもう一度すがるとは…………つくづく甘く見られたものだ。
(あの戦い以来、私は絶対に警戒を怠らなかった。特に背後は、何があっても神経を研ぎ澄ませているのだ)
もし前にある女神の気に夢中になっていたならば、後ろから迫る本物に気付かなかっただろう…………が、もう同じ策は通用しない。
(弟子とお前は思考が似ている。お前は最愛の弟子のせいで敗北し、この世から消えるのだ……!!!)
天音はゆっくりと片手を上げ、前を攻撃するふりをした。
しかし意識は背に向けている。
社に繋がる石段の上を、超低空で飛行する女神の気配を探る。
高低差があるため、直前まで姿を隠して迫れるだろうが……そんな事で自分を騙せると思っているのか?
やがて背後から、白い光が天音を襲った。
強烈な、昼と勘違いするような眩い光だ。
「そこだっっっ!!! これで終わりだ、偽りの神よっっっ!!!」
天音は振り返ると、右手に邪気を集中させた。
手の平に黒い炎が燃え上がり、瞬時に殲滅呪詛を編み上げる。
だが天音の目にした光景は、予想を大きく裏切っていた。
照らした光は、霊気ではなくライトである。
そして迫っていたのは、女神ではなく乗り物だった。
大型で、恐らく軍用のものであろうエアバイクには、白い将校服を着た青年が乗っていたのだ。
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