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第五章その4 ~神のギフト!?~ 魔王の欠片・捜索編

黄泉の追っ手を足止めしろ

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「走れ! 止まるな!」

 一同は応戦も出来ず、ただ機体を走らせた。

 相手は誠達と同様、命をかけて人々を守り抜いた友軍だ。

 そしてまだ、『人だった』彼らの意識は残っている。

 その相手に武器は向けられないのだ。

 音を聞きつけたのか、それとも生者の気配を察知したのか、相手はどんどんその数を増していた。

「まるで地鳴りだ! どんどん集まってくるよ!」

 コマの言葉通り、辺り一帯に彼らの叫びが木霊こだましていた。

 このままでは、いつか囲まれて喰い殺されるだろう。

 だがそこで、鶴が胸の前で手を合わせた。

「任せてコマ、身代わりを作るわ!」

 数瞬の後、眩い光が宙に浮かぶと、人型重機そっくりになった。

 そこに彼らが殺到した。あたかも伊邪那岐命イザナギノミコトが、黄泉の追っ手を食べ物で気を引いて足止めしたようにだ。

「みんな、今のうちよ!」

「了解っ!」

 鶴の言葉に、誠達は機体を加速させる。

 誠は機体を躍らせて、倒れた低層ビルを飛び越えた。

「あれは……!」

 目にした全員が、恐らく同時に理解しただろう。

 闇に沈んだ市街の彼方に、何かが光を発している。

「黒鷹、あれだわ!」

「分かったヒメ子!」

 接近するにつれ、その異様さが理解できる。

 巨大な何かが落下したせいだろう。市街は大きく破壊され、すり鉢状に窪んでいた。

 そしてその中心に、鈍色にびいろの風が渦巻いていたのだ。倒れた家屋を巻き込んで、粉微塵こなみじんに砕きながら。風そのものが色づいているのは、この粉塵ふんじんのせいなのだろう。

 そしてその風のとばりの中に、明らかに異常な力が存在しているのだ。

 空間が歪む程の凄まじい力場で、周囲の廃屋が崩れ、巨大な稲光が幾度も天にさかのぼっている。

 誠は瞬時に決断した。

「全機、あそこに飛び込め!」

 そのまま隊員達の返事も待たず、陥没した市街へ機体を躍らせる。

 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 風の渦に接触した瞬間、強烈な衝撃が走った。

 機体の周囲に、無数の雷に打たれたような火花が舞い散った。

 モニターに細かい飛礫つぶてが叩きつけられ、土煙で前が見えない。

 それでも何とか姿勢を制御。降下速度を調節すると、誠は機体を着地させた。

 そこで『あれ』と対峙したのだ。
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