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第五章その3 ~夢のバカンス!~ 隙あらば玉手の竜宮編
タイトルが恥ずかしいと、映画は見づらい
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「お好きなものを選んで下されば、それを上映しますので」
そう言われて一同が奥に進むと、壁には幾つかのポスターが貼ってあった。さっそく目を通したのだが…………
「うわ、俺んちのやつじゃん……」
宮島はポスターの前で固まった。そこには『炎の野球魂・宮島一家~ああ白球に込めた愛と青春~』と書かれている。
父親が甲子園のヒーローを経てプロ野球選手となり、栄光とケガによる挫折を経験しながら家族と共に歩んでいくドキュメンタリー映画らしい。
父親が指差した方を家族全員が見ているので、昭和感が物凄い。
「な、なんかこうなると照れ臭えな」
普段は細かい事を気にしない宮島も、さすがに赤くなっている。
「どひゃ~……うちの家のもあるで……」
「あ、あたしの里抜けしてからのもあるわね……」
難波のものは『ナニワのたこ焼き一家! かなわんわ、人生これコテコテやで!』だったし、カノンのものは、『鬼嫁になりたくて~純な私の、ラブで一途な500年(ハート)~』と書かれていた。
2人とも真っ赤になって俯き、プルプルと震えている。
「さ、さすがに自分ちのは照れ臭くて見れないよな……」
誠はカノン達にフォローを入れる。
香川のものは『仏罰が当たるぞ! いざや頭髪七変化!』と書かれていたし、鳳は『ナウい私のガンバリ☆修行日記~でも実は干し柿がお好き~』を見つけて青ざめていた。
誠はたまりかねて提案した。
「……こ、これさ、帰った方が良くないか?」
「せ、せやな。見たいのが無かったって事で……」
だがその時だった。
床をぶち抜き、2匹のヤドカリが錐揉みしながら現れたのだ。
「フハハ、逃げようったってそうはいかんぞ!」
先ほどまで紳士的だったヤドカリは、飛び出した目に邪悪な笑みを浮かべた。
「ヒーヒッヒッ、そうさ、折角の獲物だからねえ!」
白髪でパーマをかけた、配偶者であろうヤドカリも、刃物をペローと舐めながら叫ぶ。
「あんたらをもてなしたら、たんまり補助金が出るんだよ! こんなおいしい事は無いからねえ!」
「こ、ここは竜宮だろ? そんな卑劣な事していいのか?」
誠が焦りながら言うと、ヤドカリ達はあざ笑った。
「何を呑気な! 海は生物誕生以来、バトルロイヤル続行中じゃ!」
「あたしらヤドカリだよ! 奪う事が生業なのさ!」
宿も命も刈り取るよ~っ、と凄むヤドカリ婆に脅され、一同はじりじりと追い詰められたが、そこで誠は気が付いた。
後ずさった場所……壁際のポスターに、母の名が書かれている事に。
題名は『鳴瀬かおり物語~恋の夜露死苦珍道中~』だった。年代を確認すると、どうやら誠はほぼ登場しないようだ。
「か、母さんの物語だ……俺が生まれる前の話か……!?」
途端に難波が食いついてきた。
「そっ、それええやんっっっ!! 鳴っちのお母さんやろ、うち俄然興味湧いたでっっ!!!」
「そそそうです黒鷹様っ、それがよろしいかとっ!!! この場の誰も出ないのでしたら、誰の心も痛まないですしっ!!!」
普段真面目な鳳までもが必死である。
包丁やトゲ付き鉄球を振り回しながら迫るヤドカリに、誠は慌てて向き直る。
「こっ、この母さんの映画をお願いしますっ!!!」
その瞬間、ヤドカリ達は豹変した。
いかにも人の良さそうな笑顔となり、誠達を席に案内したのである。
「……で、でも、いい事ではあるのですよ??」
誠の母をダシに使って、結構気まずかったのだろう。
席に座り、まだ真っ白なスクリーンを眺めながら、鳳はフォローするように呟いた。
「ご家族の思い出を見るのはいい供養ですし、結婚とか幸せとか、そういうものを考えるきっかけになりますですし……」
「……そ、そうですかね」
誠も気まずかったので、曖昧に返事をした。
「でも、結婚なんてまだ先でしょ?」
「そうでもありませんよ?」
鳳は首を振った。
「人口の9割が失われたのですから、先送りは出来ません。ここまでくれば、人口減という名の災害なのですから」
「なんかのキャッチフレーズみたいやな。少子化という災害、とか」
「そうですね。穏やかなようで、国や文化を滅ぼす恐ろしい事態なのです」
難波の言葉に鳳は頷いたが、そこで館内の照明が消えた。
スクリーンにカウントダウンの数字が現れ、やがて映像が映し出されたのだ。
そう言われて一同が奥に進むと、壁には幾つかのポスターが貼ってあった。さっそく目を通したのだが…………
「うわ、俺んちのやつじゃん……」
宮島はポスターの前で固まった。そこには『炎の野球魂・宮島一家~ああ白球に込めた愛と青春~』と書かれている。
父親が甲子園のヒーローを経てプロ野球選手となり、栄光とケガによる挫折を経験しながら家族と共に歩んでいくドキュメンタリー映画らしい。
父親が指差した方を家族全員が見ているので、昭和感が物凄い。
「な、なんかこうなると照れ臭えな」
普段は細かい事を気にしない宮島も、さすがに赤くなっている。
「どひゃ~……うちの家のもあるで……」
「あ、あたしの里抜けしてからのもあるわね……」
難波のものは『ナニワのたこ焼き一家! かなわんわ、人生これコテコテやで!』だったし、カノンのものは、『鬼嫁になりたくて~純な私の、ラブで一途な500年(ハート)~』と書かれていた。
2人とも真っ赤になって俯き、プルプルと震えている。
「さ、さすがに自分ちのは照れ臭くて見れないよな……」
誠はカノン達にフォローを入れる。
香川のものは『仏罰が当たるぞ! いざや頭髪七変化!』と書かれていたし、鳳は『ナウい私のガンバリ☆修行日記~でも実は干し柿がお好き~』を見つけて青ざめていた。
誠はたまりかねて提案した。
「……こ、これさ、帰った方が良くないか?」
「せ、せやな。見たいのが無かったって事で……」
だがその時だった。
床をぶち抜き、2匹のヤドカリが錐揉みしながら現れたのだ。
「フハハ、逃げようったってそうはいかんぞ!」
先ほどまで紳士的だったヤドカリは、飛び出した目に邪悪な笑みを浮かべた。
「ヒーヒッヒッ、そうさ、折角の獲物だからねえ!」
白髪でパーマをかけた、配偶者であろうヤドカリも、刃物をペローと舐めながら叫ぶ。
「あんたらをもてなしたら、たんまり補助金が出るんだよ! こんなおいしい事は無いからねえ!」
「こ、ここは竜宮だろ? そんな卑劣な事していいのか?」
誠が焦りながら言うと、ヤドカリ達はあざ笑った。
「何を呑気な! 海は生物誕生以来、バトルロイヤル続行中じゃ!」
「あたしらヤドカリだよ! 奪う事が生業なのさ!」
宿も命も刈り取るよ~っ、と凄むヤドカリ婆に脅され、一同はじりじりと追い詰められたが、そこで誠は気が付いた。
後ずさった場所……壁際のポスターに、母の名が書かれている事に。
題名は『鳴瀬かおり物語~恋の夜露死苦珍道中~』だった。年代を確認すると、どうやら誠はほぼ登場しないようだ。
「か、母さんの物語だ……俺が生まれる前の話か……!?」
途端に難波が食いついてきた。
「そっ、それええやんっっっ!! 鳴っちのお母さんやろ、うち俄然興味湧いたでっっ!!!」
「そそそうです黒鷹様っ、それがよろしいかとっ!!! この場の誰も出ないのでしたら、誰の心も痛まないですしっ!!!」
普段真面目な鳳までもが必死である。
包丁やトゲ付き鉄球を振り回しながら迫るヤドカリに、誠は慌てて向き直る。
「こっ、この母さんの映画をお願いしますっ!!!」
その瞬間、ヤドカリ達は豹変した。
いかにも人の良さそうな笑顔となり、誠達を席に案内したのである。
「……で、でも、いい事ではあるのですよ??」
誠の母をダシに使って、結構気まずかったのだろう。
席に座り、まだ真っ白なスクリーンを眺めながら、鳳はフォローするように呟いた。
「ご家族の思い出を見るのはいい供養ですし、結婚とか幸せとか、そういうものを考えるきっかけになりますですし……」
「……そ、そうですかね」
誠も気まずかったので、曖昧に返事をした。
「でも、結婚なんてまだ先でしょ?」
「そうでもありませんよ?」
鳳は首を振った。
「人口の9割が失われたのですから、先送りは出来ません。ここまでくれば、人口減という名の災害なのですから」
「なんかのキャッチフレーズみたいやな。少子化という災害、とか」
「そうですね。穏やかなようで、国や文化を滅ぼす恐ろしい事態なのです」
難波の言葉に鳳は頷いたが、そこで館内の照明が消えた。
スクリーンにカウントダウンの数字が現れ、やがて映像が映し出されたのだ。
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