究極のポーター 最弱の男は冒険に憧れる

長野文三郎

文字の大きさ
9 / 98

第9話 起動! ゴブ1号

しおりを挟む
 ギルドからの帰り道、俺は魔石を売る店に寄った。
今後、ゴーレムを作るにせよ、武器や防具を錬成するにせよ魔石は必須アイテムになるのだ。

 魔石は最低ランクのIランクが1000リムくらい。
Hランクで1500リム。
Gランクになると3000リムくらいで売られていた。
A~Fランクの魔石は個人売買が禁じられている。
迷宮から持ち出すこともできないのは前述したとおりだ。
俺は一番質のいいGランクの置かれた棚から、鑑定を駆使して特にいいものを15個選び出して購入した。
代金は全部で46200リムになった。
金貨4枚と銀貨6枚、銅貨が2枚だ。この下に銭貨と呼ばれる10リム硬貨もある。
日本の硬貨より分厚く大きさはおはじきくらいだ。

 ホテルに帰った俺は早速ゴーレムの作成に取り掛かった。
パティーに言われるまでもなく、まともに冒険をすれば地下1階層でも俺の命は危ない。
例え回復職として後衛にいたとしても攻撃は飛んでくるだろう。
だがポーターならどうだ? 
荷物持ちのポーターなら戦闘がはじまれば速やかに後方に退くはずだ。
それならば紙の防御を持つ俺でもなんとかなりそうな気がする。
当面はポーターをしながら冒険の基礎を学んでいこう。
それが最弱の俺がたどり着いた最良のプランだった。
こうして経験を積んでいけば、その内にいい素材や武器を作りだせるかもしれない。
そうすれば冒険の幅も広がっていくことだろう。
明日の俺は今日よりもビッグになっているはずさ!
だから最初に作るゴーレムの方針も既に決まっている。
こんなか弱い俺を守ってくれるゴーレムがいいだろう。
重い荷物を運ぶのは大変なので代わりに荷物を運んでくれればなおいい。
最初は騎乗して移動できるゴーレムを考えたが、魔石の能力が低すぎて大型のものは作れなかった。
自重だけで重量オーバーになってしまうのだ。
仕方がないので小型で2足歩行の人型ゴーレムを作って様子を見ることにした。
人型ゴーレムなら武器や防具に汎用性もあり、運用がしやすいという利点もある。

 一番質の高いゴブリンリーダーの魔石を主軸に計10個の魔石を組み合わせていく。
次は素材なのだが、初めは金属を使おうと思った。
しかし魔石の能力が低いために、小型化しても金属では重量オーバーになってしまう。
防御力は高いが全く動けないのだ。
仕方がないので木材で作ることにしよう。
郊外の森の中で素材を調達しなければいけないな。
遠いし面倒だ……。
馬車でも頼むか。
こういう時、高級ホテルは便利だよ。
俺はホテルのコンシェルジュに馬車を呼んでもらうことにした。

 コンシェルジュはメリッサさんという美人さんだった。
金髪に磁器のような透き通った白い肌の持ち主だ。
切れ長の目はできる女を思わせる。
右目の下のなきぼくろがそこはかとない色気を醸し出していた。
「郊外の森まで行きたいのですが、馬車を呼んでもらえませんか」
「かしこまりました。どういった馬車をご希望ですか?」
馬車にもいくつか種類があるのか? 
考えてみれば自動車にだってセダン、ワゴン、SUVなどがあるな。
「乗るのは俺一人なんです。森を散策しようかなと思って」
「それでしたら、箱馬車か軽馬車ですね。本日は天気もいいですし風もないので軽馬車の方がいいかもしれませんね」
「では、軽馬車をお願いします」
箱馬車というのは何となく想像がつく。
きっと屋根と窓のついた馬車だ。
チェリコーク家の馬車がそれだった。
軽馬車というのはどんな感じだろう?
軽自動車みたいに小さいのかな。

 あれこれと想像していたが、やってきた軽馬車は箱馬車の屋根と窓がないタイプだった。
外国の王族などがパレードの時に乗っているものをずっと簡素にした感じだ。
御者と交渉すると森まで往復で4000リムで行ってくれることになった。

 メリッサさんの言う通り、天気も良くて軽馬車での移動は気持がよかった。
「お客さん、森のどの辺に行けばいいですかね?」
「そうだなぁ…、とりあえず森の入口まで行ってみて」
「わかりやした」
俺は馬車の素材をコツコツと叩いてみる。
「この馬車はなんの木でできているんですか?」
そう聞くと御者は機嫌のよい声で答えてくれた。
「お客さんはお目が高い! こいつは最高級のモジャの木で作られてるんですよ。強度があって腐りにくい。見た目だって最高の木材でさぁ。外洋船の材料としても使われるって聞いてやすぜ」
「へー。モジャの木はこの辺の森にも生えているのかい?」
「数は少ないけどあるはずですよ」
うん。
最初のゴーレムはモジャの木で作ろう。

 馬車を待たせて、俺は森の中へ入っていく。
鑑定スキルをパッシブ状態にしてモジャの木探しだ。
30分程歩きまわってモジャの木を見つけた俺は、いつもの如く素材錬成で木を乾燥させて加工していく。
すべての素材はそろった。
いよいよ用意しておいた魔石を核にして、ゴーレムを組み立てる時がきたのだ。
俺の手から放たれる魔力に包まれて、それぞれの素材が輝きだす。
素材はゆっくりと浮かびながら一つ所に集まっていき、目も眩むような強い輝きに包まれた。
だんだんと輝きが収まっていくと現れたのは一体の人型ゴーレムだった。
つややかな木目のマネキンのような姿だ。
強度を考えて体形は少しマッチョな感じになっている。
身長は155センチくらい。
少しスレンダーなドワーフという表現がしっくりくる。

鑑定

【名前】 ゴブ1号
【年齢】 0歳
【Lv】 1
【HP】 162/162
【MP】 0/0
【攻撃力】47
【防御力】142
【体力】 320
【知力】 12
【素早さ】37
【スキル】灯火Lv.1 目の部分が光って辺りを照らす。
【備考】 半自立型ゴーレム。行動には3MP/分が必要。MPチャージは180まで。よって主人から1時間以上離れて行動できない。半径3メートル以内に主人がいれば魔力をチャージすることが出来る。
【次回レベル必要経験値】 0/300

 ゴブリンリーダーの魔石が中心となっているので名前はゴブ1号だ。
魔石を10個組み合わせただけあって【体力】の数値が高い。
これなら重い荷物も運べるし、いい装備を身につけられるだろう。
戦闘力が俺よりも上だというのがちょっとひっかかるが、護衛だと思えばもっと強くてもいい気はする。
運用するのに1時間で180の魔力が必要だが、魔力量の多い俺には関係がない。
ただし1時間以上離れて行動すると行動を停止し、休眠状態になってしまうようだ。気をつけよう。

「起動せよ、ゴブ1号!」
俺の声に従いゴブ1号が動き出す。
「よしよし、問題なく動いるようだな。ゴブ1号ついてくるんだ」
ゴブ1号を伴って馬車まで戻ったら御者のおじさんが随分びっくりしていた。
帰りは、自分の服や、素材を買い込んでホテルに戻った。
かなり大量に素材を買い込んだが、ゴブ1号がすべて持ってくれた。
可愛い奴だ。
これならポーターとして十二分につかえるだろう。

 部屋に帰ってゴブ1号に服のたたみ方を教えていたら、ゴブ1号のレベルが上がった。
正直なところ、うらやましい。
俺のステータスでは、【次回レベル必要経験値】 0/100000
になっている。
いつになったらレベルが上がることやら…。
ゴブ1号は少しだけ知力が上がっていた。

【知力】 12 → 【知力】 13
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗
ファンタジー
俺と相棒二人だけの冴えない冒険者パーティー。普段はスライム退治が専門だ。その冴えない日常を語る。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...