軍服の慕情

 世界中を巻き込み、多くの人を犠牲にした戦争が始まり、早くも二年が経過した。

 大和国では兵役による人手不足を補うため、学生達を働かせる学徒動員が施行された。
 軍人の身の回りを世話する『なでしこ隊』として、中本季世、佐伯結花の二人は特攻兵が暮らす兵舎を任される。

 兄の親友である立花一翔に想いを寄せていた結花は、一年前に告白したがフラレてしまった。掃除係として一翔の部屋を受け持つことが決まった日、結花は一翔から交際を申し込まれる。
『いつ死ぬか分からない特攻兵の身で、付き合うわけにはいかなかった』
 一翔の深い愛情を知り、結花は一翔と結ばれる。

 中本季世は特攻兵が通う『ふじ田屋食堂』で働きながら女学校に通う柚子と仲が良く、食堂で出会った藤岡智志に恋をしていた。一方の智志も季世に、恋心を抱いていて―――。
  
 

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