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第五章 幸せに向かって

第四話 演目 色彩の神との再会

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 学園長との話し合いを終えた縁と結び。
 納得いかない顔をしながら、学園から出で来る。

「何だかあれよあれよと決ってしまったな」
「そりゃ相手からしたら、厄介な生徒を手放せるんだもの、良かった良かった、天空原は救えるし、猫娘ちゃんも大丈夫でしょ」

 縁達の要求は簡単だった、そちらの優秀に生徒を引き抜きたい。
 対価は支払おう、そして今後の為に交流会として、私達の生徒と、引き抜く生徒での模擬試合をしたい。
 これを小難しく言ったのだ、相手の学園長は二つ返事で了承した。
 生徒2人で自分の立場が安泰、もしくは他に何か意図があるのか。
 とりあえず2人は街の中央へと歩いている。
 せっかく来たのだから、街を見て回る事にしたのだ。 

「2人もうちに来るのか」
「ああ、あの猫娘ちゃんはシーナ先生に任せようかと」
「シーナに?」
「シーナ先生凄いんだよ?」
「どんな風に?」
「ああ、縁君は知らないか」
「何を?」
「シーナ先生はちょいと訳ありの生徒達を教えているのさ」
「なるほど」
「ま、クソガキ程度はちょちょいのちょいだろうさ」
「いや……普段シーナはどんな生徒教えてるんだよ」
「ま、あんま言うもんじゃないけど、興味本位で世界征服とか、侵略とか考えていた奴らとか?」
「んな馬鹿な」
「善悪の知らない子供とか、調子に乗るクソガキとかさ」
「ほう……ちなみに聞くけど……子供は流石に大丈夫だろう」

 縁は結びの方をジッと見た。

「ん? 何が?」
「あ、いや、結びさんは何処から容赦ないのかなと」
「ああ、そうだね~先生としてなら容赦はするよ?」
「じゃなかったら?」
「ん~縁が関係していたら、全員消えてもらう」
「……暴れないでくれよ?」
「いやいや、縁君も人の事言えないのでは?」
「え?」
「絆ちゃんに聞いたよ? 私に何かあったら神として神罰を下す、ってさ」
「……ああ、この間神様の会合という名の酒飲みがあったからな、その時に言ったな」
「おお、神様の集まり、よく聞く神話っていうか、伝説みたいな感じ?」
「ああ、色々な神様が居るよ?」
「おお、会ってみたいけど、無理だよね~」
「いや? 俺の妻となる人なら大丈夫だ」
「え? そういうもんなの?」
「ああ、関係者って奴だ」
「夫婦です、結婚してないけど、関係者じゃなく、夫婦にしてください」
「お、おう」

 毎度の事だが、隙あらば夫婦を推してくる結び。
 縁もそれは否定はしないのだが、やはり街中でそれを言うのは、少々恥ずかしかった。
 結びの様な勢いと自信があれば恥ずかしくないのかもしれない。
 縁が足を止めて、街の広場の方を見た、子供達が楽しそうにお絵かきをしていた。

「ん? これは……」
「どうしたの縁君」
「……俺に魂の一撃を与えた人物を覚えているか? 色で戦ってた現人神あらひとがみ
「ああ、確か名前は田中国政たなかくにまさで、七星了司ななほしりょうじに忠誠を誓っていたね~」
「そうその人」
「で、その人がどうしたのさ」
「いや、あの子供達の近くに居るのを感じた……そして、今のままだとまずいな」
「ふむ、どうするの?」
「助けてやろうとね」
「縁は優しいね~」
「違うよ? 神は優しくない」
「ほほう」
「俺は『良き縁を持つ者を助ける』が、それは人の世の善悪の基準に当てはめると、いい神になるだけだ」
「縁君は人の世で生きてるんだから、いい奴になるじゃん」
「……それを言われると返す言葉も無いな」
「まあ私でもわかる、いい音と風を感じる……でも助けるって?」
「神の存在の安定には、社が必要だ、俺の様に半分人間なら多少融通が利くんだが」
「シンボルが必要だものね」
「彼には今社が無い、子供達の縁を守る為の交渉さ」
「なるほど」

 田中国政に向かって歩いていると、彼は子供達に囲まれていた。
 身なりは、絵の教室を開いている先生らしい服装をしている。
 子供達は、我先にと作品を見せている。

「カナリアせんせー! 僕の絵を見て!」
「私も出来たー!」
「オラも見せるだー!」
「はい、皆さんの絵は順番に見ますからね」

 ニコニコとしていた田中国政だが、縁達を見た瞬間顔を一瞬だけ強張こわばらせる。

「……皆さん、私にお客さんが来ました、少しの間新しい絵を描いて下さい」

 さすがの子供達でも、先生が何時も通りではないと感じた。
 でも言付け通り子供達は、新しい絵を描き始める。
 3人は近くにあるベンチへと座った。

「私にとどめを刺しに来ましたか? 縁の神」
「待って待って、俺は縁結びの神だ、子供達と貴方の縁を引き裂く様な事は出来ない、助けに来たんだ、せめて話を聞いてから判断してください」
「……助ける?」

 敵だと思っていた相手に助けると言われ、あっけにとられる。
 そして、縁達に敵意や悪意を感じなかった。
 田中国政はとりあえず話を聞くことにする。
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