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藤島白兎

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第四章 縁と結びで縁結び

第四話 演目 灰から飛び立つ

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 縁達は隠れ里や村に行き、自分達の障害となる者達を葬り続けた。
 だが次が最後、陣英がメインディッシュと言っていた村、縁を恨む者達の総本山である。
 その最後の目的地を目指して、人が寄り付かない獣道を歩いていた。
 歩きながら縁はまいっていた、人を葬り過ぎたからだ。

「ああ……気が滅入る、この三日間人を葬りすぎた」
「うんうん、それは縁が正常な証拠だね、私は何とも思わない」
「まじか」
「一般的な考えてに当てはめると、私も気が滅入るとか言えるけどさ、本心じゃないね」

 何処か楽しそうである風月は、あっけらかんとそう言った。
 縁はここぞとばかりに、疲れた顔からキリッとした顔になる。 

「それはどうかな?」
「お、何だ何だ」
「この間一本槍君達が無茶した時、君は本気で心配して怒っただろ? その色々は捨てずに残っている証拠だ、それでも捨てたと言うなら」

 縁は立ち止まり、風月の左手を両手で握って目を見ていった。

「拾う神ありだ」
「……それ言われたら何も言えなくなるじゃないか~」

 風月は恥ずかしさからか、目をそらして歩き始める。
 縁の言葉、自分の捨てた『人間らしさ』それを俺が拾う。  
 風月がどれだけ自分を卑下しても、縁が持ち上げる。
 捨てたと思っていた物も、縁と一緒に居ると持っていると気付かされる。
 ニヤける風月は、自分のほほを両手で軽く叩いた。

「まあ気を取り直して、陣英達がメインディッシュとか言ってた村で最後だね」
「どうせ今までみたく、隠れているか、普通の村を装っているか」
「どちらにしても今回のは最後でしょ、しばらくは大人しくなるね~」
「どんな事でもそうだが……敵って減らねーな」
「だね~」

 ふと風月は当たり前の事に気付いた。

「てか、私達は何をすればいいの? 殲滅?」
「見てればいいんじゃない? 流石にこれ以上はやってられん」
「確かに、縁の過去を清算って事だったけど……無報酬はねーわ、仕事量多すぎ」
「んだな、何か要求しよう」
「よ~し、のりこめ~」

 目的地の最後の村へ、もはや説明の必要もない。
 村の中央に血だらけの女神像が立っている。
 生贄にされる少女がが首を切られそうになっている。
 村人達は正気を失っているようにも見える。
 縁達には見慣れた光景になってしまった。

 村の近くにある高い木の上で成り行きを見守る縁達。

「……とは言ったものの、こそこそと見る私達」
「メインディッシュは譲ろう」
「だね、前菜が多すぎ」

 今まさに生贄にされる少女は、斧で首を斬られようとしていた。
 少女は暴れているが、もちろん拘束されている。
 無論、この少女は縁達に今回の話を持ちかけた隊長だ。 

「我らが神よ! 我らの悲願! 縁起えんぎ身丈みのたけ白兎神しろきうさぎのかみえにしに制裁を!」
「むぐぐぐく! むぐぐぐ!」
「我らを救いたまえ!」

 村人に押さえつけられた少女の首は、あっけなく斧で切り落とされた。
 少女の血が辺り一帯に飛び散り、村人達は歓喜の声を上げた!

「これでまた一つ、我らの悲願に近づいた!」
「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!」
「いいぞー!」

 だが少女の血が止まらない、勢いもなく滴る程度になるはずが、壊れた蛇口の様に切り口から血が噴き出していた。

「な、何だ? 血が止まらない!? 何故止まらん!?」
「そりゃ、俺が神様だからよ」

 切り離された首が、村長らしき男をゆっくりと見た。

「神だと!? 貴様何者だ! 神とて生きては返さん!」
「おお? 驚かないとはな」
「なめるな! 対神の方法は調べ尽くしている!」
「ほう」
「……この気配……貴様、高位の神だな!? ならば!」

 村長は慌てる事無く右手を上げた、村人達が少女もとい隊長を囲む。
 素早く両手で呪文らしき言葉と印を結び、地面に魔法陣が浮かび上がった。
 そして障壁をも生み出し、隊長を出られなくする。

「「「「「対神様絶対崩壊の陣!」」」」」
「カアアアアァァァァァ!」

 仕上げに村長が気合の入った声と共に、魔法陣を両手で触れた。
 障壁内で大爆発が起きる、次の瞬間には隊長の姿は無く、ただ『灰』らしき物がその場にある。 

「高位の神だろうと……我々の敵ではない! 証明出来た! これであの憎き神も殺せる!」

 何やら確証を得た村長達、その様子を見ていた風月は縁に質問をした。

「縁、あの隊長さんてどの位高位なの?」
「株式会社で例えるなら……筆頭株主?」
「いや、一番じゃん」
「神様の順位って小難しくてな、まあ色んな神様が居ると思ってくれ」
「それ人間とかでも言えるじゃん、でさ、あの隊長さんはどんな性格なの?」
「うーむ、喋り好きで好戦的で話は通じる人……かな? 俺もそこまで交流がある訳じゃない」
「なるほど……後、対神様絶対崩壊の陣だっけ? あれって凄いの?」
「凄い、俺でもタダではすまないな」
「おお、そんな強い攻撃だったのね」
「でも相手が悪かった、高位の神って『司る存在』なんだよ」
「……前に聞いた事があったような? 合ってるかは分からないけど」
「聞こう」

 風月は小難しそうな顔をしながら話し出した。

「例えば縁だったら縁結びの神様、世に『縁結び』がある限り死なない……みたいな?」
「正解、ま、神なんてふんわりしているから、正解なんて本当はないんだがな」
「縁は何時も言ってるよね、人に理解出来る神は神じゃないって」
「母さんの教えだけどな」
「話を戻して、あの隊長さんは不死鳥だっけ? なら『命とか生命』を司っていると」
「そそ、だから滅ぼすなんて無駄無駄」
「なるほど、多分命あるもの全て葬らないとダメ……みたいな?」
「そんな感じだ」
「なるほど」

 風月は視線を『灰』に向けた。
 その灰はよく見ると所々に燃えた様な跡がある。

「ほう? 俺を消滅させれる人間が居るとはな? いいぞいいぞ! お前達を気にいった! 俺は強い奴は大好きだ!」

 村長達は歓喜するのを止めて、隊長だったもの、灰に目をやった。
 するとその灰から、神話で描かれる様な見事な不死鳥が空へ飛び出す!
 その不死鳥は地面へと舞い降り、鳥の形から燃え盛る炎になり、それが徐々に人の形へとなる。
 バンダナを巻き、迷彩服を着た歴戦の猛者を感じさせる初老の男性になった。 

「不死鳥……血……ま、まさか! 我らは不死身に!?」
「いや、一時的だ安心しろ?」

 隊長は右指を鳴らす、すると村長の近くにいた村人の一人が、唐突に人体発火した。

「ぎゃああああああああ!」

 右腕が火だるまになる村人、だがその炎は直ぐに止み無傷。
 不死鳥の伝説通り、血を浴びたり飲んだりすれば、不老不死になるのだろう。 

「人間のお前達が望む『不老不死』ってやつだ」
「き、貴様!」
「でも残念だな、依頼だから最終的にお前達を殺さなきゃならん、無駄に命を散らした貴様らを裁かないとな? 正に生き地獄」
「無駄……無駄だと!? 我々がどんな思いであの神を殺そうとしてるかわかるまい!」
「ああ知らねぇよ、んじゃ教えてくれねぇか? どんな神を崇めているかな」
「我々が崇めているのは! 『七星了司ななほしりょうじ』様だ!」

 隊長は腕を組み空を見上げて、本でも読んでいる様な顔をした。
 高位な神だからこそ、知らない事は何かを通して知る事が出来るのかもしれない。

「はあ? お前ら人間崇めているのか? いや、現人神も神っちゃー神だが……その現人神の個人的な思想に、お前達は利用されたのか……お前達が哀れすぎて涙が出てくるぜ」
「わ、我々が……あ、哀れだと!?」
「よし、解説と説明の神みたくはいかねーが、説明してやろう、人間ってごちゃごちゃ聞きたがるからな?」

 隊長は血だらけの女神像を蹴り飛ばして倒した。
 そして横たわった女神像に腰を掛ける。

「人を導くのも神の仕事だ」

 不死鳥の神直々の、どれだけ自分達が哀れかの説明を開始するのだった。
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