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第四章 縁と結びで縁結び
第四話 幕切れ 呪いも祝福も同じもの
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「んじゃ、噓ついても仕方ねぇからさ……『事実』を語ろうじゃないか、な? 村長さんよ」
「事実だと!?」
不死鳥の神である隊長の言葉、雰囲気が辺り一帯の人間を黙らせている。
村長だけが気を張って隊長を睨んでいた。
「まずお前らって、何で縁恨んでるんだ?」
「あの神が我々にした事を短くなぞ語れるか!」
「確かに、昔の縁は絆いじめ……いや、殺そうとしてた奴らに、身を亡ぼす幸せを振りまいてたか」
縁は絆を殺そうとした人物ほぼ全に、身を亡ぼす幸運を与えた。
斬銀と出会い改心するまでは、幸運をばらまき続ける恨まれて当然。
だが、絆を直接でも間接的にでも殺そう、危害を加えよう、そんな奴が正論を言うのも可笑しな話だ。
「でまあ? 復讐したい奴らが集まり、村を作って神を崇めたって所か」
「そうだ! 七星了司様は我々を救って下さった!」
「なら聞くが……何年も人間殺して捧げてよ、何で縁がピンピンしてんだ? 少なくとも五年以上はその生活しているんだろ?」
「そ、それは!」
「村長さん、その現人神とどんな『約束』をした?」
「縁に復讐して下さいと言った! どんな方法でもいいのでと!」
「あーそりゃ搾取されるわ、冷静な判断が出来てなかった時に、お前達は傀儡にされてたって所か」
最終的に縁に復讐してくれればいい。
これだけなら相手側に有料な条件にされるのは当たり前だ。
テキトーに何かの契約書にサインをするわけがない。
しかし、それは冷静な判断が出来ている時だけ。
件の七星了司は冷静な判断を出来ない者達に、何かしらの契約をしたのだろう。
「な、なに……を? 私達……?」
「俺の血は浄化の役割もある、不死鳥さまさまだな……ここまで浄化に時間がかかとは」
隊長の血を浴びた者達、村長を始め徐々に顔付きが穏やかになっていく。
だがそれと同時に正気に戻りつつある心は、自分達のしでかした事にも気付いていく。
発狂しそうなになる村人達は、声を上げる前に次々と気を失っていくのだった。
「予定変更だお前達を救う、今回縁達に殺された連中も助けよう、俺も本気を出さないとお前達にかけられた『術』は見破れなかった、いや『呪い』か『祝福』とでもいうか?」
隊長は高位の神、その神が本気を出さないと感知出来ないほどの術。
取り巻きは弱くとも、おそらく本人は縁よりも強い可能性がある。
「あれから10年近くたってるのに、縁だけがあからさまに恨まれている、何で縁だけが矢面に立って他が比較的静かなんだか……答えはそいつにありそうだな?」
隊長は遠くの高い木に隠れている縁達に呟いた。
縁は難しい顔をしながら考えていて、風月はいつも通りのほほんとしていた。
「縁、気付いてた?」
「恨まれて当たり前だと……気付いてなかった、そしてあの人達にかけられた『術』にもな」
「私も、つまり七星了司って奴は『私達より強い』って事になるね」
「その現人神は何で俺を狙ってるんだ?」
「理由なんてど~でもいいじゃん、知ってどうするのさ」
「ああ、確かにな」
「私の縁に悪いちょっかい出す奴は、世界を敵にまわしても絶対殺す」
界牙流、それは世界に牙をむいても絶対に伴侶、家族は守る流派。
風月はその四代目、初代を除き二代目三代目も、伴侶を守ってきたはずだ。
世界を敵にしても絶対に守る流派、ならばそれ相応戦う技術はある。
風月の言葉には絶対的な自信を放っていた。
縁は風月の表情を見て、少し考えてから話し始める。
「……よし風月、早速対策するぞ」
「お、何かあるの?」
「ああ、必殺技といってもいい、君の力を最大限に発揮できる場所は?」
「この間里を紹介した時に行った、風が吹くあの場所だね」
「行こう、今回の事は隊長が何とかしてくれるだろ」
「ほいほい~」
縁達はその場から離れ、界牙流の里を一先ず目指すのだった。
「事実だと!?」
不死鳥の神である隊長の言葉、雰囲気が辺り一帯の人間を黙らせている。
村長だけが気を張って隊長を睨んでいた。
「まずお前らって、何で縁恨んでるんだ?」
「あの神が我々にした事を短くなぞ語れるか!」
「確かに、昔の縁は絆いじめ……いや、殺そうとしてた奴らに、身を亡ぼす幸せを振りまいてたか」
縁は絆を殺そうとした人物ほぼ全に、身を亡ぼす幸運を与えた。
斬銀と出会い改心するまでは、幸運をばらまき続ける恨まれて当然。
だが、絆を直接でも間接的にでも殺そう、危害を加えよう、そんな奴が正論を言うのも可笑しな話だ。
「でまあ? 復讐したい奴らが集まり、村を作って神を崇めたって所か」
「そうだ! 七星了司様は我々を救って下さった!」
「なら聞くが……何年も人間殺して捧げてよ、何で縁がピンピンしてんだ? 少なくとも五年以上はその生活しているんだろ?」
「そ、それは!」
「村長さん、その現人神とどんな『約束』をした?」
「縁に復讐して下さいと言った! どんな方法でもいいのでと!」
「あーそりゃ搾取されるわ、冷静な判断が出来てなかった時に、お前達は傀儡にされてたって所か」
最終的に縁に復讐してくれればいい。
これだけなら相手側に有料な条件にされるのは当たり前だ。
テキトーに何かの契約書にサインをするわけがない。
しかし、それは冷静な判断が出来ている時だけ。
件の七星了司は冷静な判断を出来ない者達に、何かしらの契約をしたのだろう。
「な、なに……を? 私達……?」
「俺の血は浄化の役割もある、不死鳥さまさまだな……ここまで浄化に時間がかかとは」
隊長の血を浴びた者達、村長を始め徐々に顔付きが穏やかになっていく。
だがそれと同時に正気に戻りつつある心は、自分達のしでかした事にも気付いていく。
発狂しそうなになる村人達は、声を上げる前に次々と気を失っていくのだった。
「予定変更だお前達を救う、今回縁達に殺された連中も助けよう、俺も本気を出さないとお前達にかけられた『術』は見破れなかった、いや『呪い』か『祝福』とでもいうか?」
隊長は高位の神、その神が本気を出さないと感知出来ないほどの術。
取り巻きは弱くとも、おそらく本人は縁よりも強い可能性がある。
「あれから10年近くたってるのに、縁だけがあからさまに恨まれている、何で縁だけが矢面に立って他が比較的静かなんだか……答えはそいつにありそうだな?」
隊長は遠くの高い木に隠れている縁達に呟いた。
縁は難しい顔をしながら考えていて、風月はいつも通りのほほんとしていた。
「縁、気付いてた?」
「恨まれて当たり前だと……気付いてなかった、そしてあの人達にかけられた『術』にもな」
「私も、つまり七星了司って奴は『私達より強い』って事になるね」
「その現人神は何で俺を狙ってるんだ?」
「理由なんてど~でもいいじゃん、知ってどうするのさ」
「ああ、確かにな」
「私の縁に悪いちょっかい出す奴は、世界を敵にまわしても絶対殺す」
界牙流、それは世界に牙をむいても絶対に伴侶、家族は守る流派。
風月はその四代目、初代を除き二代目三代目も、伴侶を守ってきたはずだ。
世界を敵にしても絶対に守る流派、ならばそれ相応戦う技術はある。
風月の言葉には絶対的な自信を放っていた。
縁は風月の表情を見て、少し考えてから話し始める。
「……よし風月、早速対策するぞ」
「お、何かあるの?」
「ああ、必殺技といってもいい、君の力を最大限に発揮できる場所は?」
「この間里を紹介した時に行った、風が吹くあの場所だね」
「行こう、今回の事は隊長が何とかしてくれるだろ」
「ほいほい~」
縁達はその場から離れ、界牙流の里を一先ず目指すのだった。
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