VRゲームでも運と愛し合おう!

藤島白兎

文字の大きさ
上 下
135 / 304
第三章 桜野学園編

第一話 演目 茶番でも二人の時間

しおりを挟む
 扉をくぐると其処には、絵に描いた様なカジノが広がっている。
 ポーカーテーブルにスロット、ルーレット等々。
 飲み物を提供する場所もある。 

「ここが俺のカジノだ」
「おお! スゲー!」
「カジノらいし華やかな雰囲気」

 生徒達はテンション爆上がり。

「オーナー、お帰りなさいませ」
「店長、彼ら人数分のチップカードを発行してくれ、支払いは俺でな」
「枚数はいかがいたしましょうか」
「五千で頼む」
「承知いたしました、お待ちください」

 店長は一礼して去っていった。

「初めてここに来た時とは雰囲気が違う」
「風月が来てたな、あの時は休みだったからな」
「そうだったね」
「お待たせしました」
「ありがとう、店長」

 縁はカードを受け取り、店長は一礼して去った。

「ほい、後は好きに楽しむといい」
「よっしゃ、気合いが入るぜ!」

 ろくな説明も聞かずに生徒達は早歩きで散り散りに行動し始めた。

「元気なもんだ」
「で、チップの貸し出しは何処?」
「あ、スファーリアさんもやる?」
「もちろん、楽しませてもらいます」
「案内しよう、こっちだ」

 スファーリアをチップの貸し出し機の前まで案内した。

「ここでカードの発行とチップの貸し出しが出来る」
「使えるお金は?」
「ほとんど対応している」
「了解」

 機械を操作してカードを入手する。

「よし、これで戦える」
「戦うて、いや確かに店員とカードやルーレット出来るけどさ」
「縁君に挑戦するわ」
「俺?」
「運という戦場で、貴方に挑むわ」

 スファーリアは戦う気満々の顔をしている。

「やる気満々だな」
「お互い怪我一つしなくていいでしょ?」
「まあ、怪我はしないだろうな」
「常々戦いたいとは思っていたけど、怪我はさせたくない」
「それは俺もだ、手合わせでも心は痛む」
「だだ風月は別」
「あーなんとなくわかる、こう……拳で愛し合うとか言いそう」
「よくわかってるじゃない」
「そん時は怪我しないようにしないとな」

 そんなイチャイチャを繰り広げていると、久城が2人に近寄ってきた。

「噂通り仲がいいんですね、スファーリア先生の笑顔を初めてみました」
「久城さん何時の間に」
「いや、縁先生の私生活を見たいのに、遊んでいてはダメと思い」
「っても、スファーリアさんとのイチャイチャ時間になりそうだ」
「構いません、先生達を見てて思ったのは『どうだ、俺達はこんなにも愛し合ってるんだぞ』と、自慢したいのは伝わってますから」
「自慢してるか?」
「他の人に見られて困る恋愛を、しているつもりは無いけど?」
「だな」

 堂々と恥ずかしいがる事も無く言ってのける2人。
 勝負をするテーブルに移動して、縁はトランプを鞄から出してシャッフルしだした。

「それで、何で勝負をするんだ?」
「トランプで勝負」
「ポーカーとか?」
「物事はシンプルな方がいいわ」
「ふむ、どうするんだ?」
「場に並べられたトランプから、数字が高い方を出したら勝ち、エースが最弱でキングが二番目に強い」
「シンプルだな、ジョーカーが最強か」
「引き分けか、負けしかないわね」
「その勝負受けて立つ」
「あ、これは聞いておこう」
「何を?」
「イカサマはありかしら」
「お手並み拝見といこうか」
「チップを賭けるのにはどうしたらいいの?」
「カードを目の前の端末にかざせばいい」
「わかった」
 
 スファーリアは自分が座っている目の前の端末にカードを押し当てた。
 現在のチップの残高が表示される、残り五万枚。

「んじゃ、トランプを適当にシャッフルして、置くぜ」
「ええ、オッズは?」
「二倍にして返そう」
「そう」

 一万のチップをスファーリアは賭けた。
 並べられたトランプをお互いに、何も言わずに交互に選んでいき、同時にめくるを繰り返す。
 それを繰り返して、縁が勝った。

「今度は私が置いていいかしら?」
「ああ、いいぜ、因みに俺はイカサマはしていないからな」
「でしょうね」

 スファーリアはカードをシャッフルして場に置いた。
 縁は何かに気付いた様な顔をする。

「勝負」

 今度はチップを二万枚を賭けたスファーリア。
 ニヤリと笑う縁はカードに手をかけた。
 また互いにカードを引いていく、結果は縁が惨敗した。

「ふむ」
「どうしたの?」
「見事だスファーリアさん、このイカサマはなかなか気付かないだろう」
「え? スファーリア先生は、イカサマしていたんですか?」
「カードの摩擦で判別したんじゃないか?」
「ちょっと違う、縁君」
「どうやったんですか? スファーリア先生」
「触った時に私にしか解らない音を仕掛けた」
「なるほど」
「そして、このカードが特殊なものだと分かった」
「お、正解だ」
「さらに、私に負けるカードをワザと取ったでしょ」
「どっちがイカサマなんだろうな?」

 お互いに不敵に笑い合った。

「仕掛けた時に違和感があった、その時に私のイカサマはバレた」
「どうして縁先生は勝負を続けたんですか?」
「俺はスファーリアさんと『運』で勝負したかったからだ、ま、俺もある意味でイカサマしたがな」
「試合に勝って、勝負に負けた、やっぱりイカサマはダメ」
「って、縁先生は幸運の神様ですよね? そんな人に運で勝てるんですか?」
「時と場合による、今は遊ぶ時間」
「だな」
 
 茶番だろうが、2人の時間には変わりはない、楽しそうに笑うのだった。

「うむむむ……運に勝てるんですか」
「久城さん覚えてなさい、運で起こるのは結局は何かしらの出来事よ、対処出来ればどうとでもなる」
「な、なるほど」

 久城が少々困惑していると、スロット台が有る方から歓声が上がった。

「おや、何か騒がしいな」
「歓喜の音、ちょっと見に行きましょう」
「行ってみるか」

 トランプを片付けて、3人はスロット台へと向かった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

タイムワープ艦隊2024

山本 双六
SF
太平洋を横断する日本機動部隊。この日本があるのは、大東亜(太平洋)戦争に勝利したことである。そんな日本が勝った理由は、ある機動部隊が来たことであるらしい。人呼んで「神の機動部隊」である。 この世界では、太平洋戦争で日本が勝った世界戦で書いています。(毎回、太平洋戦争系が日本ばかり勝っ世界線ですいません)逆ファイナルカウントダウンと考えてもらえればいいかと思います。只今、続編も同時並行で書いています!お楽しみに!

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】結婚式前~婚約者の王太子に「最愛の女が別にいるので、お前を愛することはない」と言われました~

黒塔真実
恋愛
挙式が迫るなか婚約者の王太子に「結婚しても俺の最愛の女は別にいる。お前を愛することはない」とはっきり言い切られた公爵令嬢アデル。しかしどんなに婚約者としてないがしろにされても女性としての誇りを傷つけられても彼女は平気だった。なぜなら大切な「心の拠り所」があるから……。しかし、王立学園の卒業ダンスパーティーの夜、アデルはかつてない、世にも酷い仕打ちを受けるのだった―― ※神視点。■なろうにも別タイトルで重複投稿←【ジャンル日間4位】。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

モニターに応募したら、系外惑星に来てしまった。~どうせ地球には帰れないし、ロボ娘と猫耳魔法少女を連れて、惑星侵略を企む帝国軍と戦います。

津嶋朋靖(つしまともやす)
SF
近未来、物体の原子レベルまでの三次元構造を読みとるスキャナーが開発された。 とある企業で、そのスキャナーを使って人間の三次元データを集めるプロジェクトがスタートする。 主人公、北村海斗は、高額の報酬につられてデータを取るモニターに応募した。 スキャナーの中に入れられた海斗は、いつの間にか眠ってしまう。 そして、目が覚めた時、彼は見知らぬ世界にいたのだ。 いったい、寝ている間に何が起きたのか? 彼の前に現れたメイド姿のアンドロイドから、驚愕の事実を聞かされる。 ここは、二百年後の太陽系外の地球類似惑星。 そして、海斗は海斗であって海斗ではない。 二百年前にスキャナーで読み取られたデータを元に、三次元プリンターで作られたコピー人間だったのだ。 この惑星で生きていかざるを得なくなった海斗は、次第にこの惑星での争いに巻き込まれていく。 (この作品は小説家になろうとマグネットにも投稿してます)

VRおじいちゃん ~ひろしの大冒険~

オイシイオコメ
SF
 75歳のおじいさん「ひろし」は思いもよらず、人気VRゲームの世界に足を踏み入れた。おすすめされた種族や職業はまったく理解できず「無職」を選び、さらに操作ミスで物理攻撃力に全振りしたおじいさんはVR世界で出会った仲間たちと大冒険を繰り広げる。  この作品は、小説家になろう様とカクヨム様に2021年執筆した「VRおじいちゃん」と「VRおばあちゃん」を統合した作品です。  前作品は同僚や友人の意見も取り入れて書いておりましたが、今回は自分の意向のみで修正させていただいたリニューアル作品です。  (小説中のダッシュ表記につきまして)  作品公開時、一部のスマートフォンで文字化けするとのご報告を頂き、ダッシュ2本のかわりに「ー」を使用しております。

処理中です...