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第二章 ジャスティスジャッジメントの正義
第九話 幕切れ ここからやり直し
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「スッキリ」
「あ、アイツは死んだのか?」
「死んだ? 違う、絶滅した」
「どう違うんだ?」
「絶滅した、の方が安心できない?」
「聞きなれないから、妙な安心感がある」
そう言った叢雲だったが、信じられないような、疲れ切った顔をしていた。
「さて、お前は……いや、叢雲君はこれからどうする? 君の障害は絶滅したが」
「考えて無かった、俺は本当に自由なのか?」
「ああ」
「……信じられん」
「簡単に確かめられるぞ? 貰った能力は使えなくなっている」
「本当か?」
その顔は半信半疑だ。
「地獄の業火よ! イフリート・ボンバー!」
言葉だけが辺りに響いた、叢雲は徐々に泣き顔になり、涙を流し始める。
「よかったな、お前は自由だ」
「そうか……俺は……死ななくて……いいのか」
泣き止むまで縁達は待ち、頃合いを見て絆は縁に話しかけた。
「お兄様、解決したからとそれでお終い知らん顔、は可哀想ですわよ?」
「だな、叢雲君は国を持ってるのか?」
「持っていたが、色々と理由を付けて任せられる人達に任せた」
「身元の整理はしているのですね?」
「死ぬつもりでいたからな」
「しかしお兄様、私達がこれ以上手出しするのも」
「ああ、偽物とは言え神から離れたのに、神に頼っちゃ説得力が無いな」
「私が支援しようか?」
「いえいえお姉様、お任せくださいまし」
「?」
絆は舞台に立っているかのように、優雅にしゃがみ、天を向き手を伸ばした。
「悪しき神の誘惑に勝つために、一人で考え抜き、最後まで実行出来た事、賞賛に値するかと」
突然吹雪が一瞬吹いた、苦笑いをしたグリオードと、呆れた顔をした麗華が縁達の前に居た。
「絆様、毎回わざとらしい口上は、止めていただけませんか?」
「あらいいではありませんか、賞賛と称賛が大好きではありませんか」
「グリオード様を、中毒者扱いしないでくださいませ」
「あらあら、ごめんあそばせ」
絆は口元を隠して笑っている。
「僕はグリオード・グリエタチ・グリンダスルト、名前が毎回変わる国の統治をしているよ」
「名前が変わる?」
「砂漠にある隠れた国さ」
「もしかして、名前が無くて『砂漠の楽園』と言われる国か?」
「そうそう、君さえ良ければ僕が支援しよう」
「いや支援て、俺を助けるメリットが無いだろ」
「僕は称賛や賞賛に値する人間が好きなだけさ、メリット云々が有るとすれば」
グリオードはニヤリと口元を尖らせた。
「君を支援すれば周りから称賛か賞賛されるだろ? いい事をしてるんだから」
「……つまり、自分が褒められたいから支援するのか?」
「身も蓋も無い事を言うとそうだね」
「俺を助けても誰が褒めるんだ?」
「君自身、または君を慕う人達だ」
「俺には居ないぞ?」
「それはどうかな? 君の国を調べたが、君を支持する声がよく聞こえた」
「あの偽物の神の力ではないのか?」
「国民はわからないが、君の側近達は色々と動いていたようだ」
「何?」
「何人かは君が神に縛られているのに気付いた、だが――」
「グリオード様、お客様を待たせています」
麗華がグリオードの言葉を遮る。
「そうだった、結果だけ言うと僕に助けを求めてきたんだ」
「はぁ!? 助け!?」
「実は僕の国に何人か来てもらっている、君を待っているんだ」
「……はぁ、わかったよ、とりあえずあんたの国に行くよ、ここで自分に悲観しててもしょうがないしな」
叢雲は気持ちを切り替える様に、ため息を吐いた。
意を決した顔をしてグリオード達に近寄る。
「でわ、参りましょうグリオード様」
「うむ」
「ああ、最後に」
叢雲は縁達の方を向き、頭を下げた。
「ありがとうな兎の神様達、そして神社ダメにしてすまなかった」
「もう変な神に捕まるなよ? 君に良き縁があるように」
「人との絆を大切になさい、不幸を簡単に打ち破れますから」
吹雪に包まれてグリオード達は消えた。
「ふぅ、終わったな」
「ええ、終わりましたね」
縁は辺りを見回した、何も無い風景が広がる。
「しっかし、更地になってしまったな」
「あ、そうだ縁君」
「どうした?」
「神社を建て直したら、風月が巫女するから」
「ファ!?」
「その音はファじゃない」
「い、いや! 何で?」
「お土産屋とか、神社の警備と手入れ」
「お、おう、そいやお土産がどうの言ってたような……っていいのか?」
「あ、別に縁起お茶でも身丈白兎神縁、に仕える訳じゃないから」
「巫女なのに新しいな」
「私の好きな人が神様しているだけだから」
「……おう」
スファーリアの言葉に照れる縁、自分が言われるのは慣れていない様だ。
「前は縁君の怒りを鎮める建てたんだよね?」
「ああ」
「今度は私達の様に素敵な出会いが訪れる神社にしましょ」
「まあ! それはいいですわ! 神社も人々の言葉によって左右されますの!」
「本格的に縁結びの神社になるわけだ」
「ふふ、忙しくなりますわねお兄様?」
「ええ~面倒くさい~幸せは自分で叶えてくれ」
「じゃあいずみさんに、それっぽい解説の立て札をお願いしよう」
「それっぽい?」
「この神社は頑張る人、本当に助けを必要とする人に力を与えます、とか」
「ストレートだな」
「オブラートに書いてもらおう」
「お兄様、お姉様、積もる話ならば、お茶でも飲みながらにいたしましょう?」
「そうするか」
「わかった」
「では私のお城ご案内しますわ」
絆は傘で地面を突いた、すると魔法陣が現れる。
「絆ちゃん城に住んでるの?」
「ええ、狭いですが」
「楽しみ」
黒い光に包まれて3人は消えた。
「あ、アイツは死んだのか?」
「死んだ? 違う、絶滅した」
「どう違うんだ?」
「絶滅した、の方が安心できない?」
「聞きなれないから、妙な安心感がある」
そう言った叢雲だったが、信じられないような、疲れ切った顔をしていた。
「さて、お前は……いや、叢雲君はこれからどうする? 君の障害は絶滅したが」
「考えて無かった、俺は本当に自由なのか?」
「ああ」
「……信じられん」
「簡単に確かめられるぞ? 貰った能力は使えなくなっている」
「本当か?」
その顔は半信半疑だ。
「地獄の業火よ! イフリート・ボンバー!」
言葉だけが辺りに響いた、叢雲は徐々に泣き顔になり、涙を流し始める。
「よかったな、お前は自由だ」
「そうか……俺は……死ななくて……いいのか」
泣き止むまで縁達は待ち、頃合いを見て絆は縁に話しかけた。
「お兄様、解決したからとそれでお終い知らん顔、は可哀想ですわよ?」
「だな、叢雲君は国を持ってるのか?」
「持っていたが、色々と理由を付けて任せられる人達に任せた」
「身元の整理はしているのですね?」
「死ぬつもりでいたからな」
「しかしお兄様、私達がこれ以上手出しするのも」
「ああ、偽物とは言え神から離れたのに、神に頼っちゃ説得力が無いな」
「私が支援しようか?」
「いえいえお姉様、お任せくださいまし」
「?」
絆は舞台に立っているかのように、優雅にしゃがみ、天を向き手を伸ばした。
「悪しき神の誘惑に勝つために、一人で考え抜き、最後まで実行出来た事、賞賛に値するかと」
突然吹雪が一瞬吹いた、苦笑いをしたグリオードと、呆れた顔をした麗華が縁達の前に居た。
「絆様、毎回わざとらしい口上は、止めていただけませんか?」
「あらいいではありませんか、賞賛と称賛が大好きではありませんか」
「グリオード様を、中毒者扱いしないでくださいませ」
「あらあら、ごめんあそばせ」
絆は口元を隠して笑っている。
「僕はグリオード・グリエタチ・グリンダスルト、名前が毎回変わる国の統治をしているよ」
「名前が変わる?」
「砂漠にある隠れた国さ」
「もしかして、名前が無くて『砂漠の楽園』と言われる国か?」
「そうそう、君さえ良ければ僕が支援しよう」
「いや支援て、俺を助けるメリットが無いだろ」
「僕は称賛や賞賛に値する人間が好きなだけさ、メリット云々が有るとすれば」
グリオードはニヤリと口元を尖らせた。
「君を支援すれば周りから称賛か賞賛されるだろ? いい事をしてるんだから」
「……つまり、自分が褒められたいから支援するのか?」
「身も蓋も無い事を言うとそうだね」
「俺を助けても誰が褒めるんだ?」
「君自身、または君を慕う人達だ」
「俺には居ないぞ?」
「それはどうかな? 君の国を調べたが、君を支持する声がよく聞こえた」
「あの偽物の神の力ではないのか?」
「国民はわからないが、君の側近達は色々と動いていたようだ」
「何?」
「何人かは君が神に縛られているのに気付いた、だが――」
「グリオード様、お客様を待たせています」
麗華がグリオードの言葉を遮る。
「そうだった、結果だけ言うと僕に助けを求めてきたんだ」
「はぁ!? 助け!?」
「実は僕の国に何人か来てもらっている、君を待っているんだ」
「……はぁ、わかったよ、とりあえずあんたの国に行くよ、ここで自分に悲観しててもしょうがないしな」
叢雲は気持ちを切り替える様に、ため息を吐いた。
意を決した顔をしてグリオード達に近寄る。
「でわ、参りましょうグリオード様」
「うむ」
「ああ、最後に」
叢雲は縁達の方を向き、頭を下げた。
「ありがとうな兎の神様達、そして神社ダメにしてすまなかった」
「もう変な神に捕まるなよ? 君に良き縁があるように」
「人との絆を大切になさい、不幸を簡単に打ち破れますから」
吹雪に包まれてグリオード達は消えた。
「ふぅ、終わったな」
「ええ、終わりましたね」
縁は辺りを見回した、何も無い風景が広がる。
「しっかし、更地になってしまったな」
「あ、そうだ縁君」
「どうした?」
「神社を建て直したら、風月が巫女するから」
「ファ!?」
「その音はファじゃない」
「い、いや! 何で?」
「お土産屋とか、神社の警備と手入れ」
「お、おう、そいやお土産がどうの言ってたような……っていいのか?」
「あ、別に縁起お茶でも身丈白兎神縁、に仕える訳じゃないから」
「巫女なのに新しいな」
「私の好きな人が神様しているだけだから」
「……おう」
スファーリアの言葉に照れる縁、自分が言われるのは慣れていない様だ。
「前は縁君の怒りを鎮める建てたんだよね?」
「ああ」
「今度は私達の様に素敵な出会いが訪れる神社にしましょ」
「まあ! それはいいですわ! 神社も人々の言葉によって左右されますの!」
「本格的に縁結びの神社になるわけだ」
「ふふ、忙しくなりますわねお兄様?」
「ええ~面倒くさい~幸せは自分で叶えてくれ」
「じゃあいずみさんに、それっぽい解説の立て札をお願いしよう」
「それっぽい?」
「この神社は頑張る人、本当に助けを必要とする人に力を与えます、とか」
「ストレートだな」
「オブラートに書いてもらおう」
「お兄様、お姉様、積もる話ならば、お茶でも飲みながらにいたしましょう?」
「そうするか」
「わかった」
「では私のお城ご案内しますわ」
絆は傘で地面を突いた、すると魔法陣が現れる。
「絆ちゃん城に住んでるの?」
「ええ、狭いですが」
「楽しみ」
黒い光に包まれて3人は消えた。
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