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第二章 ジャスティスジャッジメントの正義

第四話 演目 副担任

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「縁、一本槍の実力を少し見誤ったね~」

 風月が笑いながら縁に近寄ってきた。
 観客していた生徒達は、試合の意見交換を始めた様だ。

「ああ、今の俺に怪我をさせる程の信念、凄い」
「違う違う、一本槍が使った演奏体術は消滅じゃなくて、自身の心を強化するものなんだよ」
「心?」
「そそ、簡単に言えば、好きな音楽を聴くとテンション上がるでしょ? それよ」
「なるほど、精神力の強化か」
「縁先生、実戦ではまだ使え段階ではありません」
「そうなのか? 一本槍君」
「はい、敵が黙って全部くらうとは思えませんし、スファーリア先生の様に短縮も出来ません」
「言い換えれば、まだ伸びしろがあるって事か」
「縁、次は負けんなよ~」
「ああ」
「縁さん、ちょっといいですか?」

 何時の間にか薬味が縁の後ろにいて、自分の背丈ほどある救急箱を背負っていた。

「薬味さん、どうしました?」
「傷口を見せて下さい、いくら神様でもちゃんと治療しないと」
「お心遣い感謝します」

 縁は上半身を脱いだ、そこには数多の生々しい傷痕が残っていた。
 風月は傷を睨み、一本槍はビックリする。
 薬味はその傷を見てため息をした。

「縁さん、数え切れない程、人に恨まれる事をしたのね? でもこの傷は、大切な人を守り切った傷ね」
「え? 分かるんですか?」
「長年人の傷を見てきましたからね、人柄もわかりますよ」

 救急箱から道具を取り出して治療を始めた。

「大切な人が出来たなら、自分の身体を大事にしなさい、風月先生、貴女もですよ?」
「おおう、こっちにも飛び火してきたぜ」
「でも、傷が綺麗に消えようとしている、ふふふ、縁さん、いい人と出会いましたね」
「ええ」
「ん? 傷の治りと出会いって関係あるん?」
「『結びさんの想い』が、数多の人間の負の祈りよりも、強かったって事」
「なるほどね~だから半分くらい白くなったんだ」
「ああ」
「はい、処置できましたよ」
「ありがとうございます」

 縁は服を着直した。

「あ、そうだ風月、お願いがあるんだが」
「どったの縁」
「俺を副担任にしてくれないか?」
「お、どういう風の吹き回しだい」
「君の力になりたいからだ」
「ふむ、そりゃ有り難いが唐突だね~」
「迷惑だったか?」
「いいや、なら縁に絶対守ってもらいたい約束がある」
「それは?」
「生徒は死なせない、これだけは守れ、過保護かもしれんが命は一つだけだからな」

 風月は覚悟を試す様に睨む。

「わかった」
「はい、副担任おめでとう! ささ、早速授業といきましょ~」
「ファ!? いきなり!?」
「その音は『ファ』じゃないね~」
「このやり取り前にもあったな、ってか何をすればいいんだよ」
「『殺し合いにおいて、精神力がどれだけ必要』か、とかね~」
「精神力について話せばいいのか? まあ、それなら」
「よ~し、決まり! おーい! 考察している生徒達~縁先生の授業が始まるよ~参加のしたい生徒は集合して~」
「ちょ! いきなり大人数にお話しろと!?」
「大丈夫大丈夫、ちゃんとサポートするから」
「まあ、やるしかないか」

 あれよあれよと生徒達が集まってきて、期待の眼差しで縁を見ていた。
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