僕の名前は、猫将軍眠留

初山七月

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六章

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 第一グラウンドは南北450メートルある。東側道路も同じ長さだが、一年生校舎への入り口は道路の南端より数十メートル手前にあるから、そこに着くまでに話を終えなければならない。僕らはプレハブを離れるなり会話を始めた。
「俺にできるのは、昴の心を想像することだけ。しかし今回に限っては、これで間違いないと俺は考えている。それは、眠留の成長を昴は第一に考えた、だ」
 水晶の言葉が光の矢のごとく頭の中を駆け抜けて行った。
『眠留、己を成長させるのじゃ。称え喜ぶべきはそれこそと、あの子は知っておるでの』
 何となく思った。水晶は今この時のために、あの言葉を僕に聞かせたのではないかと。
「うん、僕も北斗に同意だよ」
 それに北斗が頷いたところで僕らは練習場を出て、東側道路に足を踏み入れた。先輩に交じり一年生もいるが知り合いでは無いし、距離も2メートル以上確保している。僕と北斗はサークルで磨いた高速目配せをしたのち、音量に留意して会話を続けた。
「今の眠留は、夏休みの経験と、人生最大の自己嫌悪と、自己嫌悪に負けまいとする決意の三つを持っている。俺と昴の件を昨夜知ったからこそ、この三つを持っているんだ」
「そうだ、昨夜知ったからこそ、巨大なその三つが僕の中にあるんだ」
「ならば問う。仮に知るのがもっと早かったら、その三つは眠留の中にあったか?」
「ううん、無かったよ。もしすぐ知らされていたら、後ろ向きの気持ちばかりが肥大して、北斗と京馬に誘われてもサークルに参加しなかった可能性が高い。すると陸上部とサッカー部のかけもちも、無かったことになる。ねえ北斗、紫柳子さんのAICAの中で京馬から教わった話を僕は思い出したよ。場合によっては遅い方が、今回の僕のように良い結果に結びつくことがある。人って、不思議だね」
「ああ、不思議だ。人こそ、最高の神秘だな」
 時間は無くともあの時の気持ちに浸りたいと感じた僕らは、数秒だけ沈黙した。そして北斗と二人で、京馬の言葉に思いを馳せた。
『人の心と、社会の動きと、自然の営みの全てを知覚するその存在は、俺らが気づかぬだけで、俺らに手を差し伸べている。自分だけが知る、自分の心に浮き上がってきた選択は、差し伸べられた手の一つなのだと俺は考えているよ』
 僕が正しい方向に進んでいたから、京馬の言った存在は僕を助けてくれた。そうすることで僕は、人生最大の自己嫌悪を静かに醸造していった。そして同時に、それに打ち勝とうとする意志を、僕は育んでいった。僕は胸中空を見上げ、かの次元を振動させた。
 ――ああまったく、あなたにとって、人の成長より大切なことは、きっと無いのでしょうね。
 肯定の振動を受け取ると同時に、北斗が口を開いた。
「昴には、未来を感じる不思議な力がある。あれも、差し伸べられた手の一つなのだろう」
「それを言うなら、昴の3Dを見たとたん北斗が計画を思い付いたのも、差し伸べられた手だと思うよ。思い付いた時点では、計画は未来にあるんだしさ」
 気が軽くなり二人で笑い合う。そして、
「眠留の成長を願う昴を、俺ごときには窺い知れない何かが助けたのだと、俺も思う。だから眠留、どうか自己嫌悪に負けないでくれ。俺も、協力を惜しまないから」
「ああ、負けないよ。北斗がいてくれるなら、百人力だしね」
 再度笑い合い、僕らは昴の話を終えた。推測でしかなくても、昴の想いの大筋を捉えた確信を、僕らは持てたからだ。
 それでもお約束の、ハイタッチにはまだ早い。東側道路の中央に立つ、国旗と校旗の掲揚台が左手に近づいてくる。この場所に着く前にこの問いかけができたことを、僕は大いなる存在に感謝した。
「じゃあ最後の質問だ。北斗はなぜ、昴に協力したの?」
 だが北斗は予想外の反応をする。
「俺は昴と真逆だ。昴が利他の極みなら、俺は利己の極み。俺は自分の研究のため、そして昴に少しでも早く追いつくため、昴に協力した。ただそれだけだな」
 北斗は僕に、そう即答したのだ。

 右隣を歩く北斗の気配を探る。北斗から、話をする意志は伝わってこない。僕は残念脳味噌を総動員し、とにもかくにも会話のとっかかりを作った。
「その研究は、『個人の成長と人類全体の成長の類似性』でいいのかな?」
 すると北斗から安堵の気配が伝わってきて、僕は内心吹き出した。なあんだ北斗も、めちゃくちゃ緊張してたんじゃん!
「ああそうだ。俺は、何をもって人の成長とするかに至らねばならん。人の成長の定義を、俺は発見せねばならないんだよ」
 しかし北斗から帰ってきたその真摯な言葉に、僕は内心の笑いを収め、話を聴く姿勢を整えた。それが良い方に作用したのか、研究に関する閃きがポンとやって来た。国旗と校旗の掲揚台を通り過ぎながら、僕はそれを口にした。
「ひょっとして、北斗がそれを研究し始めたのは、僕に会ってからとか?」
「無論だ。俺の周囲に、いや俺の知る限り、眠留ほど成長速度の速い奴はいない。お前は、出会った頃とは精神的にも肉体的にも、まるで別人になっている。しかも、幾何級数的にその速度が増加しているのだ。物心ついたころから人の心に関心を寄せていた俺が、注目しない訳なかろう」
 幾何級数について教えてくれた末吉に後でお礼をしなきゃな、と思いつつ話を進める。
「つまり、研究者としての利己的動機が、昴に協力した理由の一つなんだね」
 そうだと答え、北斗は顔を赤らめ口をへの字に結んだ。やれやれと思うも、一度目の猛に続き、本日二度目の武士の情けを僕は発動する。
「了解したよ、と言いたい処だけどそれじゃ納得できない。『昴に追いつきたい』という二つ目の利己的動機については、最も近い節目である卒業式すらまだ五年と半年も先のことだから心配してないけど、一つ目については速やかに説明して欲しい。時間も無いしね」
「ああ、了解した。それはそれとして、一応確認させてもらいたいのだが、二つ目の動機について、眠留は心配していないんだな?」
 ある意味僕は今、人生最大の武士の情けを発動しているのかもしれないと胸中嘆息し、答えた。
「ああ、全然心配してない。北斗なら、それをきっと成し遂げる。僕も協力を惜しまないしさ」
 お前がいてくれるなら百人力だなんてウキウキ顔でほざき始めた北斗に相槌を打ちつつ、心の中で眉間に皺を寄せた。心配してないのは事実でも、昴のそばには輝夜さんと、あの水晶がいるのだ。こりゃ僕だけじゃなく、猛と真山と京馬と芹沢さんとサークルの先輩方と、そして湖校で縁のあった大勢の人達を総動員して掛からないと、北斗は昴に決して追いつけないだろう。いやはや北斗よ、お前はとんでもない高嶺の花に、出会っちまったんだなあ。
 とここまで考えたところで、それでは不十分なことに僕は気付いた。僕は立ち止まり北斗を見つめた。北斗も僕のただならぬ気配を感じ取り、立ち止まって僕を見つめ返した。衆目が集まるも、僕は構わず言った。
「苦しみが成長の必須条件だと僕は考えていない。けど僕も京馬も、猛も芹沢さんも、輝夜さんも昴も、そして真山も、僕の素晴らしい友人たちは皆、苦しみを背負って生きてきた。北斗に、その覚悟はある?」
 今度こそ北斗は即答した。
「ある。古い自信を何もかも失った俺が、今たった一つ持っているのは、その自信だけだ。眠留、俺にはその覚悟が、ここにあるんだ」
 北斗は自分の胸をドンッと叩いた。なら僕が言うことは何もない。笑顔で「そっか」とだけ応えて、僕らは歩みを再開した。 

 それから北斗は一つ目の動機について早口で説明した。
 当初北斗は、僕の運動能力の向上率と、モジモジ性格とあがり症の発動減少率を、僕の成長の二大基準にしていた。しかし湖校入学以降、北斗はそれに疑問を抱くようになる。この二つは成長の基準ではなく、それどころか成長の副産物ですらない、ただの「残りかす」なのではないか。北斗は、そう考えるようになったのだそうだ。
「振り返ると、俺はバカ過ぎた。運動能力の向上と短所の減少を基準にすると必然的に、運動能力の高い奴と短所の少ない奴が、成長した者になってしまう。向上率と減少率という比率に一応着目していたが、それでもやはり、運動能力の高い奴と短所の少ない奴が成長しているという結果になる。それは、人の心への冒涜だ。人の心は、そんな単純な物差しで測れるものではない。湖校に入学し、素晴らしい人達と直に接し、そして何より眠留を間近で見ていたら、俺はやっとそれに気づけたんだよ」
 そう北斗が言い終わったまさにその時、僕らは一年生校舎の敷地に差し掛かろうとしていた。といっても湖校は、緊急避難経路の確保に尽力した学校なので、校舎と東側道路の間に壁は存在しない。両者は芝生とアスファルトという、行き来に支障のない境界によってのみ区別されていた。だから気の早い一年生は、二年生校舎の敷地を通過するや道路を離れ、一年生校舎の敷地に入って行くのだけど、大多数の生徒が正規の出入り口から昇降口を目指すのが湖校の特色。その一員たる僕と北斗も、会話を締めくくる準備を始めた。
「僕に難しいことは分からないけど、以前の基準に疑問を持った今の北斗の方が僕は好きだし、その方が正解へつながる道のような気がするよ」
「俺にそれを気づかせてくれた当人がそう言うのだから、そうなのだろうな。という訳で、俺は今後も眠留を研究し続ける。一応聞いておくが、それでいいか?」
「一応かよ、と文句の一つも言いたいのが本音だけど、いいよ。北斗のことだから研究成果が出れば、教えてくれるだろうしさ」
「むっ、それは気長に待ってくれとしか言えん」
「いいよそれで。一つ目の動機が利己的なだけじゃないって告白も、気長に待つよ」
「ちょっと待て眠留、恐怖のマッドサイエンティストとしてあれは当然の動機であり」
「はいはい、二つ目が成就して誰かさんにプロポーズを済ませた後の、おまけの告白でいいから」
「グホッ、ゲホッ、ブハッ、ダハッ」
 なんて北斗イジリに勤しむ僕の胸ポケットから「ピピーピピー」という、バッテリー残量の警告音が流れた。北斗のハイ子からも、まったく同じ音が聞こえている。ニヤリと不敵な笑みを漏らした僕らは正規の出入口の前で立ち止まり、サークルの高速ハイタッチをした。
 パンッッ
 ひょっとすると歴代最高かもしれない小気味よい音が、僕と北斗の掌から鳴り響いたのだった。
      
 体育館を左手にグラウンドを背に、二人肩を並べて一年生校舎の昇降口を目指す。思い返すと、朝のこの時間にこの方角へ向かうのは、今日が初めてだった。僕はこの時間、いつも心を弾ませてグラウンドの方角へ歩いていた。そしてグラウンドを背にするのはいつも決まって、サークルと部に全力を注ぎ終えた、夕方だったのである。改めて思った。夏は終わったんだなあ、と。
 とはいえもしそれを口にしたら、僕は大ブーイングのまとになるだろう。太陽はギラギラ、大気はジメジメ、道路はメラメラ、そして蝉の鳴き声がギンギンに響く夏に、僕らはまだいたからである。九月一日の今日は夏休みが終わっただけで、夏が終わったわけではない。これが、世間一般の認識なのだ。
 よって僕もそう思うことにした。過ぎ去った夏休みに目を向けるのではなく、暑い日がまだまだ続くこれからの学校生活へ目を向けるよう、気持ちを切り替える事にした。この切り替えは、昇降口で早速役に立ってくれた。なぜなら僕はそこで、過ぎた日々には無かったものに晒されたからだ。
 それは大勢の同級生達が投げかけてくる、意味深な視線だったのである。
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